原題:Roman Holiday

永遠に続く、たった一日の恋。

2003年/アメリカ/118分/スタンダード/モノクロ/モノラル 字幕:高瀬鎮夫/字幕監修:東北新社 配給:パラマウント ホーム エンタテインメント

2003年12月17日よりビデオリリース 2003年12月17日よりDVD発売開始 2003年9月13日より、テアトルタイムズスクエア他全国ユナイテッドシネマにて公開

(C)2003 Paramount Pictures Corporation.All Rights Reserved.

サブ題名 製作50周年記念デジタル・ニューマスター版

公開初日 2003/09/13

配給会社名 0154

解説


アメリカン・フィルム・インスティテユートが2000年に発表した“アメリカが生んだ最も素晴らしいラブストーリー ベスト100”の第4位に選ばれ、世紀を超えて世界中の人々に愛され続けている恋愛映画の最高傑作。あの『ローマの休日』の“デジタル・ニューマスター版”が、製作から50周年を迎えた今年、日本の劇場で世界初公開される!
この映画によって、無名の女優からハリウッド伝説のスターになったオードリー・ヘプバーンの主演、観光ガイドとしても楽しめるローマの美しい風景など、魅力を数え上げていくとキリがないが、この映画が数十年にわたって観客を強く魅了してきた最大の理由は、ウェルメイドなラブストーリーとしての完成度の高さである。
主人公のふたりは、最後の最後まで告白めいたことは一度も口に出さない。それでいて映画を観ている私たちは、ふたりが体験する胸のときめき、一緒にいるときの安心感、相手を思いやる気持ち、別れる時の身を切るようなせつなさなど、美しい恋愛のエッセンスを凝縮させたような、さまざまな感情を共に感じることができる。
身分違いの恋という設定のためか、夢のあるおとぎ話と評されることの多い『ローマの休日』は、その甘く楽しげなロマンティック・コメディの顔の奥に、大人への通過儀礼や、孤独と向き合う覚悟といったテーマまでもをさりげなく隠している。無邪気な少女時代にブラウン管の中で見たときは「こんな恋がしてみたい!」と素直に憧れた映画を、「人生はままならぬもの」と知った今、もう一度観たときにどう感じるのか。観るたびに新たな共感を呼び起こす真の名作は、ときに自分の成長を気づかせてくれる合わせ鏡のような存在でもあるのだ。
また、最新のデジタル技術によって画像処理を施した今回の“デジタル・ニューマスター版”では、古いフィルムの劣化した部分に、気の遠くなるような細かい修復作業を加え、明るさやコントラストなどを全般に補正。これまで私たちが目にしてきたものよりも、はるかに鮮明で美しい映像を取り戻し、当初ウィリアム・ワイラー監督が意図したとおりの作品へと見事によみがえった。モノクロ・プリントだからこその洗練された雰囲気や、『ローマの休日』の大きな特徴ともいえる、役者たちのクローズ・アップ場面のみずみずしさ、生き生きとした表情を心ゆくまで堪能できるようになっている。
クローズ・アップにはオードリー・ヘプバーンの美貌を際立たせることはもちろん、登場人物たちの心の動きを、そのままスクリーンに映し出すという重大な意味がある。オープニングの舞踏会の場面でのオードリーも清楚な美しさをきらめかせているが、クライマックスとなる記者会見での彼女の表情には、凛とした大人の女のオーラがあふれている。髪型や服装とは別の、王女の内面の微妙な変化をカメラはしっかりとらえているのだ。
物語のラスト、グレゴリー・ペック演じる新聞記者ジョーとオードリー・ヘプバーンのアン王女は、万感の思いをこめて見つめ合う。ふたりの表情と視線だけで、お互いへの想いや信頼感が、痛いほど伝わってくる名場面だ。余計なセリフやアクションを使わず、クローズ・アップの表情だけで、すべてを語ってしまう役者の演技力、ひいては監督の演出の神髄がここにある。
アメリカでこの映画が公開された1950年初頭の古きよき時代、休日に映画館へ行き、お目当ての映画を観るという行為は人々にとって大きな娯楽だった。暗くなった劇場の椅子に深く身をうずめて、大好きな人と緒に、銀幕に映し出される夢の世界に入り込むという映画本来の醍醐味をたっぷり味わってほしい。

ストーリー


ヨーロッパ最古の王室の王位継承者、アン王女(オードリー・ヘプバーン)は、欧州親善旅行でロンドン、パリなど各地を来訪。ローマでは、駐在大使主催の歓迎舞踏会に出席する。強行軍にもかかわらず、元気に任務をこなしていた王女だが、内心では分刻みのスケジュールと、用意されたスピーチを披露するだけのセレモニーにいささかうんざり気味。就寝の時間になると、侍従たちを前に軽いヒステリーを起こしてしまう。
主治医に鎮静剤を注射されたものの、気が高ぶっているため、なかなか寝つけない。ふと思いついた彼女は、宿舎である宮殿をひそかに脱出する。夜のローマをぶらぶら歩いていた彼女は、やがて先ほどの鎮静剤が効いてきて、道ばたのベンチに身体をぐったりと横たえる。
そこを偶然通りかかったのが、アメリカ人の新聞記者ジョー・ブラドリー(グレゴリー・ペック)。若い娘がベンチに寝ているのを見て、何とか家に帰そうとするが、アンの意識は朦朧としていて埒があかない。彼女をそのまま放っておくこともできず、ジョーはアンを自分のアパートへ連れて帰り、一晩の宿を提供する。
翌朝、うっかり寝過ごしたジョーは、まだ眠っているアンを部屋に残したまま、新聞社へ向かう。支局長から「アン王女は急病で、記者会見は中止」と聞いたジョーは、そこではじめて昨晩の娘の正体が、実はアン王女だったことに気づく。王女には自分が彼女の身分を知ったことを明かさず、ローマの街を連れ歩いて、その行動を記事にできたら大スクープになる!ふってわいたチャンスに色めき立ったジョーは、アン王女の特ダネを取った場合の破格のボーナスを支局長に約束させる。
ジョーのアパートで目を覚ましたアンは、思いがけない事態に驚くが、同時にワクワクするような気分も感じていた。アパートを出た後も、せっかく手に入れた自由をすぐに捨て去るには忍びず、街をのんびりと散策。ジョーに借りたお金で、かわいいサンダルを買ったり、ヘアサロンに飛び込んで長い髪をショートにしたりと、ごくふつうの女の子のように楽しい時間を満喫する。アンがスペイン広場でジェラートを食べていると、彼女の後を追ってきたジョーに声をかけられる。偶然の再会を装う彼の「思いきって1日楽しんだら?」という声に押され、アンは宮殿に戻るのを夜までのばすことに決める。
スクープに必要な証拠写真をおさえるため、ジョーは同僚のカメラマン、アービング・ラドビッチ(エディ・アルバート)も誘って、アンにローマ案内を買って出る。オープンカフェでは初めてのタバコを試し、2人乗りしたスクーターで街中を疾走。真実の口や、祈りの壁など名所の数々も訪れた。夜は、サンタンジェロの船上パーティーに参加するが、その会場にはついにアン王女を捜しにきた情報部員たちが現れる。アンとジョーは情報部員相手に大乱闘を繰り広げた後、一緒に河へ飛び込んで追手の目を逃れる。
つかの間の自由と興奮を味わううちに、いつの間にかアンとジョーの間には強い恋心が生まれていた。河からあがったふたりは、抱き合って熱いキスを交わす。
お互いへの本当の想いを口に出せないまま、アンは祖国と王室への義務を果たすために宮殿へ戻り、ジョーは彼女との思い出を決して記事にはしないと決意する。
その翌日、宮殿ではアン王女の記者会見が開かれる。アービングは撮影した写真がすべて入った封筒を、王女にそっと渡す。見つめ合うアンとジョー。「ローマは永遠に忘れ得ぬ街となるでしょう」笑顔とともに振り向いたアン王女の瞳には、かすかに涙の跡が光っていた。

スタッフ

監督・プロデューサー:ウィリアム・ワイラー
アソシエイト プロデューサー:ロバート・ワイラー
原作:イアン・マクレラン・ハンター
脚本:イアン・マクレラン・ハンター
   ジョン・ダイトン
編集:ロバート・スィンク
音楽:ジョルジュ・オーリック
衣裳:イーディス・ヘッド
美術:ハル・ペリーラ
   ウォルター・タイラー
撮影:アンリ・アルカン
   フランツ・F・プラナー

キャスト

ジョー・ブラドリー:グレゴリー・ペック
アン王女:オードリー・ヘプバーン
アービング・ラドビッチ:エディ・アルバート
ヘネシー支局長:ハートリー・パワー
大使:ハーコート・ウィリアムズ
ビアバーグ伯爵夫人:マーガレット・ローリングス
プロブノ将軍:トゥリオ・カルミナチ

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