原題:Fellini: Sono un gran bugiardo

「私にとって、この世でもっとも真実なものは、私が描いた絵によって創り出された幻なんだ。その他のものは砂上の楼閣にすぎない」−フェリーニ

2002年/フランス・イタリア・イギリス/カラー/35mm/ドルビーSR/105分/ 配給:ザジフィルムズ

2004年09月24日よりDVD発売開始 2003年11月1日よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー

公開初日 2003/11/01

配給会社名 0089

解説

1993年10月31日に亡くなったイタリアが生んだ巨匠フェデリコ・フェリーニ。本作は、その最晩年に監督のダミアン・ペティグリュー自身がフェリーニに対し行なったインタヴュ−をもとに構成される。

幼少時の思い出から遺作となった『ボイス・オブ・ムーン』まで、まるでフェリーニの頭の中を覗き込むように繰り広げられる対話と映像の数々。その一節を抜き出すと−−−。

 フェリーニ「私には生まれつき創作の才能があって、子供時代や家族との関係も、女性や人生の関係も全部創作してきた。現実より創作したもののほうが本物に思える。生まれ故郷もそうだ。少年時代を過ごしたリミニは影が薄くなり、自分で創ったリミニが本物になった。『青春群像』と『アマルコルド』のリミニだ。この映画用に復元されたリミニのほうが、私の人生でしめる割合が大きいのだ。アドリア海岸の小さな町ではなくてね。つまり、私は大嘘つきなんだ。」

そんなふうに語るフェリーニの背後では、リミニの町並みが写し出され、話題となっている映画の収録されなかったアウトテイクや、撮影のビハインド・シーンが次々と現れては消えてゆく。そしてさらに、ジュリエッタ・マシーナ、ロベルト・ベニーニやドナルド・サザーランド、テレンス・スタンプといった、フェリーニ作品の出演した人々、あるいはダンテ・フェレッティ、ジュゼッペ・ロトゥンらクルーたちの証言によって、壮大なフェリーニ世界がスクリーンに描き出されてゆく。

まさにフェリーニをめぐるドキュメンタリーの集大成と言っても過言ではない、壮麗な映画の世界。フェリーニ自身、自分のヴィジョンと言葉がもっとも長く記録された映像と語っているように、フェリーニ・ドキュメンタリーの決定版と言える。

監督のダミアン・ペティグリューは、このドキュメンタリーをつくるにあたって、覚え書きのなかに次のように記している。

「私はフェリーニ神話を破壊するつもりも、多数の愛人を抱えていたこの男を糾弾するつもりもない。ただ、ひとりの映画監督、彼の芸術、そして彼の嘘をよりよく理解するよう努めた。そして映像によるポートレートをつくり上げようと細心の努力を払った(・・・)フェリーニを撮影しながら私は、彼が、私達の間の言葉のやりとりを、次第に自分が主役となった小さな映画に作り替えていることに気づいた。といってもこの手品は決して自己中心的なものではなかった。ずべてのものを芸術に作り変えてしまうのは、フェリーニのどうしようもない癖なのだ。彼にかかっては、ありふれた質疑応答の儀式も、ノスタルジーに止まるのみにあらず、自己を知る行為となるのだ。そしてこのインタヴュ−も、フェリーニの真実=偽りの人生と、彼の映画創りの手法に焦点を当てている。(・・・)このアーティスティックなバイオグラフィを準備するにあたり、私は撮影された膨大な映像を整理し、できる限りの真実を観客に伝え、そして楽しんでもらえるものにしようと努力した。”芸術家と創造”というテーマは、フェリーニ自身の奔放なまでの想像力を考えると、理想的なパースペクティヴを与えるものだった。彼の映画の最大のパラドクスは、一本ごと見事なまでに完成された作品となっていながら、彼の映画の総体が、一本の長く感動的な自叙伝となっていることだ。」

ストーリー

スタッフ

監督:ダミアン・ペティグリュー
脚本:ダミアン・ペティグリュー、オリヴィエ・ガル
音楽:ニーノ・ロータ、ルイス・バカロフ
撮影:パコ・ウィゼール
編集:フローレンス・リカルド、マニュエル・デ・スーザ
音響:アンドレア・モゼール
音響編集:ジャン=ポール・ルブリエール
製作:オリヴィエ・ガル

キャスト

フェデリコ・フェリーニ
ロベルト・ベニーニ(「ボイス・オブ・ムーン」出演)
ドナルド・サザーランド(「カサノヴァ」出演)
テレンス・スタンプ(「世にも怪奇な物語」出演)
ダンテ・フェレッティ(美術スタッフ)
ジュゼッペ・ロトゥン(撮影監督)
トゥリオ・ピネッリ(脚本家)
ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ(プロデューサー)
リナルド・ジェレング(友人)
ルイジ・”ティッタ”・ベンジ(友人)

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