原題:BUENA VISTA SOCIAL CLUB

チェ・ゲバラ、ヘミングウェイが愛してやまないキューバ。 そこには、豊かな文化と色彩、忘れられたノスタルジアがあった。

1999年/ドイツ・アメリカ・フセンス・キューバ/ビスタサイズ/カラー 105分/日本語字幕:石田泰子/提供:日活、パップ 後援:キューバ共和国大使館/協賛:renoma/配給・宣伝:日活株式会社

2015年7月25日(土)〜8月14日(金)、Bunkamuraル・シネマにてリバイバル上映 2000年9月1日よりDVD発売 2000年9月16日よりビデオレンタル開始 2000年1月15日よりシネマライズにて公開

公開初日 2000/01/15

配給会社名 0006

解説


20年来の友人であリ、カンヌ映画祭グランプリ『パリ、テキサス』そして『エンド・オブ・バイオレンス』で見事なコラボレーションをみせてきた監督、ヴィム・ヴェンダースとUSロック界の異端ギタリスト、ライ・クーダー。キューバ音楽に魅せられた二人は、感動の音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を完成させました。ライ・クーダーが、敬愛するキューバ音楽界の古老たちとともに創り上げたアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、世界中で100万枚以上のヒットをとばし、97年のグラミー賞を受賞しました。「初めて耳にした瞬間から、素晴らしい音楽だと思った」と語るヴェンダースは、98年ライ・クーダーと共に撮影クルーを伴ってキューバに訪れます。ヴェンダースは、ハバナのエレガンスな街並み、アムステルダムでの名高いコンサート、さらにニューヨークの輝かしいカーネギーホールでの歴史的ステージも加えて、アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に参加したキューバ・ミュージシャンたちのセクシーな音楽を彼らの人生とともにフィルムに収めました。と同時に、キューバという国が特つ過去と現在のいくつもの顔を見事に集約し、いまだかつて描かれたことのない、ハバナの横顔を浮き上がらせてみせたのです。
キューパの“ナット・キング・コール”と敬愛される、生まれながらのシンガー、イブライム・フェレール。愛敬のある笑顔が印象的な彼は、ライ・クーダーに見い出される前は、靴磨き職人でした。音祭を続けていたものの生活出来なかったのです。92才のギタリスト、コンパイ・セグンドは、常に、帽子と葉巻を欠かしません。生涯ダンディーな彼は、「6人目の子作りにも励んでいるところさ」と笑っています。
彼らには、ストーリーがあります。そのストーリーは語られるのではなく、音楽を通じて、伝えられます。彼らの目は、光り輝き、その表情や感情には生命力がみなぎっています。愛、人生、哀しみを包み隠すことなく、ダイレクトに威厳をもって語りかけてくる曲の数々。ミュージシャンたちの人生は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』全編を通じて輝きを放っています。さらに、彼らが夢にまでみた、ニューヨーク・カーネギーホールでの歴史的なコンサート。イブライムが、マンハッタンを歩きながら眩きます。「なんとまあ、なんとまあ…。こんなことは夢にも想像できなかったことだよ」ヴェンダースと撮影クルーが捉えた彼らのいきいきとした表情と、コンサートの臨場感は、映画を見る者全てに、永遠の若さを誇る奇蹟のミュージシャンたちとの至福の時を約束してくれるでしょう。
キューバは独自の文化と風土を守ってきました。映画の中でも度々、登場するアバナ・ビエハ(ハパナ旧市街)は、その美しい姿を残すため世界遺産に認定されています。「チャン・チャン」のメロディーとリスムが流れる中、ハバナの海岸とベルベットのような黄金に包まれた街並みがあらわれる。目に飛び込んでくるヴィンテージ車の鮮やかなキャンディ・カラー、ラクダ型をしたピンクのバス…。それらが一体になった時、かつてそこで、展開されていたであろう官能の世界のきらめきが残像として甦ってきます。マンボとサルサを生んだ、タイムレスな音楽…。映像と音楽が一休になった時、時を超えて、私達の目の前に、チェ・ゲパラ、ヘミングウェイが愛しやまなかったキューバが映し出されます。

ストーリー



・映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』ことの次第。
「ライ・クーダーと『エンド・オブ・バイオレンス』の音楽を作っていた時、彼はいつも僕に、キューバ音楽の素晴らしさを語って聞かせ、一刻も早くハバナに戻りたそうにしていた」20年来の友人のただならぬ興奮に興味を抱いていたヴェンダースは、アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のレコーディングを終えて帰ってきたライから、ラフ・ミックスのテープをもらった。この音楽に忽ち魅了され、数ヶ月間テープを聴き続けたヴェンダースは、「今度君が行く時は知らせて欲しい。僕も一緒に行くから」とライに申し出た。その話は2年後に実現することになる。1998年「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメンバーである“黄金の声の持ち主”イブライム・フェレールのソロアルバムのレコーディングに合わせて、彼らはキューバに向かうことになったのだ。
アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の世界的な大成功により、バンドはアムステルダムに招かれる。ここでのコンサートにライ・クーダーは勿論、ヴェンダース以下撮影スタッフも同行した。イブライム・フェレールと歌姫オマーラ・ポルトゥオンドが失った愛の物語をデュエットで歌う…“私の庭にはチューベローズ、バラ、白百合が咲いている。私の心はとても悲しく、重い。この心の痛みを花々には見せたくない…”。バラードを歌うオマーラの瞳からは涙がこぼれ、イブライムが恋人のように寄り添い、そっと優しく涙を拭う。キューバ音楽のソウルが凝縮した煌めく瞬間をロビー・ミュラーが絶妙にカメラに納めるこのシーンは、映画の中でヴェンダースが最も気に入っているという。

母の形見である黒檀のステッキについて思いを語るイブライム・フェレール。その天才的な音楽性と同様に、現実離れした活力に溢れるコンパイ・セグンド。伝説的なピアニストでありながら、引退して、家にはピアノさえなかったというルベーン・ゴンサレス。彼女をヒロインにして映画を撮りたいとヴェンダースにいわしめるオマール・ポルトゥオンド。アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の演奏者たちの素顔は、その音楽と同様に優雅で気品に溢れ、それでいて愉快で慎ましやか。そしてレコーディングの合間、キューバの風を全身に受け、バイクを走らせるライ・クーダーと息子のヨアキム。音楽の楽園の太陽が、風が、光が、ミュージシャンたちの顔にこれ以上ない輝きを与える。
ヴェンダースもライ・クーダーも、カーネギーホールのコンサートに関しては当初、半信半疑だったという。しかし「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のマジックは、憧れのの殿堂でのセッションを現実のものとした。本やテレビでしか知らない、或は数十年ぶりに、アメリカに降り立つミュージシャンたちの興奮、不安、奇蹟がカメラに収められる。ルベーン・ゴンサレスは、エンパイア・ステート・ビルディングに登り、自由の女神の小ささに訝しんでいる。夜の闇ときらめくマンハッタンの喧噪が、切めてアメリカの地を踏んだイブライムを刺激する。「私には想像すらできなかった」空を見上げ、辺りを見回し彼は言う「私はニューヨークに魅了された」と…。いよいよこの素晴らしい旅のフィナーレを飾るコンサートの幕が上がる。「チャン・チャン」の大合唱が超満員のホールにこだまし、拍手が鳴り止まない。その至福の時は、スクリーンを見つめる観客に、このまま映画が終わらぬことを祈らせる。
ライ・クーダプロデュースアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は記録的なヒットをとばし、97年グラミー賞を獲得。加えて、各国での相次ぐ『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の公開により、現在でも世界中のチャートを賑わせ、そのセールス枚数は、すでに150万枚以上を記録している。その勢いは音楽・映画だけでなく、ファッション界や観光でもキューバに注目が集まり、世界中でキューバ・ブームを巻き起こしている。さらにブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバー、イブライム・フェレール、ルベーン・ゴンサレスらは、アメリカでツアーを実現し、そのチケットは音楽関係者でも手に入らないプレミアチケットとなっている。ドイツでは映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がドキュメンタリー作品では初の50万人を動員し、パリやミラノでも大ヒットが続いている。日本でも、ラテンダンスブームからじわじわとキューバ音楽が注目され始め、今回、待望の映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がいよいよ公開の運びとなった。

スタッフ

監督: ヴィム・ヴェンダーズ
製作: ライ・クーダー
製作総指揮: ニック・ゴールド
製作: ジェリー・ボーイズ
A&Rコンサルタント: ファン・デ・マルコス・ゴンザレス
プロダクション・サウンド: マルティン・ミュラー
編集: ブライアン・ジョンソン
撮影・ステディカム監督: イェルク・ヴィトマー(ハバナ)
             ロビー・ミュラー(アムステルダム)
             リサ・リンズラー(ニューヨーク)
アソシエイト・プロデューサー: ローザ・ボッシュ
製作総指揮: ウルリヒ・フェルスバーク
製作: ウィルヒ・フェルスバーグ、デイーバク・ネイヤー
スチィールカメラマン: トナータ・ヴェンダース、スーザン・タイトルマン
レコードのオリジナル・コンセプト及び製作総指揮: ニック・ゴールド
                         ワールド・サーキット
全音楽のレコーディング: ジェリー・ボーイズ
全音楽のリミックス: ラウル・ロガット、ライ・クーダー、
           オーシャン・ウエイ・スタジオズ

キャスト

<CAST>
コンパイ・セグント、テリアデス・オチョア、ライ・クーダー
ヨアキム・クーダー、イブライム・フェレール、オマーラ・ボルトゥオンド、
ルベーン・ゴンザレス、オルラド“カチャイート”ロベス
アマディート・バルデス、マヌエル“エル・グアヒーロ”ミラバール
バルバリート・トーレス、ビオ・レイバ、マヌエル“プンティタージ”リセア
ファン・デ・マルコス・ゴンザレス

<MUSICANS>
オクタビオ・カルデオン、ヨアキム・クーダー、ライ・クーダー、
アルヘン・テリー、イブライム・フェレール、イブライム・フェレールjr.、
ヌマエル・ガルバン、ロベルト・ガルシア、ウーゴ・ガルソン、
カルロス・ゴンザレス、ファン・デ・マルコス・ゴンザレス、
ルベーン・ゴンザレス、ピオ・レイバ、マヌエル“プンティジータ”リセア
オルラド“カチャイート”ロベス、マヌエル“エル・グアヒーロ”ミラバル
エリアデス・オチョア、ヒルベルド“バビ”オビエド、
アレハンドロ・ペレス・ピチャルド、ヤンコ・ピスカコ・ピチャルド、
オマーラ・ポルトゥオンド、ヘスース“アグアヘ”モラス、
サルバドール・レビラド、ホセ・アントニオ・ロドリゲス、コンパイ・セグンド、
ベニート・スアーレス、バルバリート・トレース、アマディート・バルデス、
アルベルト“ビルヒリオ”バルデス、ラサロ・ビージャ

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