原題:salome

2002年/スペイン映画/86min 配給:日本ヘラルド映画

2003年11月8日よりBunkamura・ル・シネマ他にてロードショー公開 2004年05月19日よりビデオ・DVDリリース

公開初日 2003/11/08

配給会社名 0058

解説



結末の知れた悲劇!それなのに、見る者の心は引き裂かれる。
その妖しい美しさで義父ヘロデ王の心を奪って離さない王女サロメは、月の光のもと、七つのベールの踊りと引き替えに、洗礼者ヨハネの生首を所望する…。幻想の怪奇と文章の豊穣さで知られる世紀末文学、あのオスカー・ワイルドの傑作「サロメ」が今、フラメンコとバレエの華麗なる融合によって蘇る!

「カルロス・サウラほど、アラメンコを語ることに長けた映画監督はいない。そして今日、アイーダ・ゴメスほど胸の高鳴るリズムを表現できる舞踊家はいない」。アカデミー賞最優秀外国語映画賞ノミネート作品の『カルメン』(83年)、『タンゴ』(98年)などの傑作を世に送りだし、これまでで四度ものオスカーノミネートを受けたスペインの巨匠カルロス・サウラ。そして元スペイン国立バレエ団芸術監督にして伝説的フラメンコ・ダンサーのアイーダ・ゴメス。世界的なふたつの才能と魂が共鳴し合って織り上げた究極の愛と欲望と死の物語、それが映画『サロメ』である。
フラメンコとバレエの融合による舞台「サロメ」の演出をアイーダ・ゴメスから依頼されたカルロス・サウラ監督は、平行してフィクション映画を製作するアイディアを提案する。こうして映画『サロメ』は、舞台「サロメ」の創造の過程で創造され、同時に誕生した。しかし映画は、舞台の単なる映像化ではない。舞台上の世界と映画のなかの現実が、さらには、スクリーンの外の現実までもが、虚々実々に混じり合い、互いを呑み込み、新たな次元へと向かう。
床を踏みならす両足の乱舞、しなる身体の重みと汗、匂い立つ欲望…。アイーダの踊りは、音楽や光と影を基調とする大胆な演出と融合し、セリフのない、しかし言葉以上に雄弁な物語を語り、見る者を圧倒する。
この官能的で幻想的な世界は、早くも世界の話題を呼び、2002年モントリオール映画祭芸術貢献賞を獲得。さらに、2000年ラテン・グラミー賞を獲得したフラメンコ・ギターの名手トマティートが音楽を担当、哀しく深みのある独創的なサウンドは、スペインのアカデミー賞にあたる2003年スペイン・ゴや賞最優秀オリジナル・ソングに輝いている。
サロメというキャラクターは私達の誰もやらないことをやってのける。しかしその姿に魅惑されるのは、おそらく全ての欲望のうずきの下に眠るひとつの衝動を、その行為に認めるからに違いない。サロメ伝説がカルロス・サウラ監督の手にかかると、歴史的な事柄を超えて欲望の化身としての姿が露になる。アイーダ・ゴメスという本物の表現者を得て初めて可能となった、観る者の心をかき乱さずにはいられない繊細で雄弁な映画『サロメ』の誕生である。

ストーリー


伝説のフラメンコ・ダンサー、アイーダ・ゴメスが、舞台のリハーサルを始めている。その舞台を演出し、さらに映画に撮るため、監督(ペレ・アルキリュエ)が音楽監督や衣装担当達と話し合っている。ひとつずつ、ひとつずつ、生まれ、育っていく“イメージ”…。
アイーダが、自身のことを語り出す。「現実が好きじゃない。ダンスヘの情熱が私の支えなの」。そして「二度と踊れない」と医者から宣告された過去…。
しかし、いつしか音楽が流れ、照明が当てられ、衣装を身にまとったダンサー達が舞台に登場すると、もう、ここは、古代ローマ時代の月光の宴…。

ガリラヤの領主である義父ヘロデ王(パコ・モラ)の心を、その妖しい美しさで奪って離さない王女サロメ(アイーダ・ゴメス)。ヘロデは、自身の誕生祝の宴で、サロメの踊りを所望する。しかし、サロメはいかなる褒美を与えると言われても、首を縦に振ろうとしない。彼女の心は、洗礼者ヨハネ(ハビエル・トカ)ただひとりに向けられていたのだ。この聖者の思いを勝ち取ろうと、サロメはあらゆる手で彼を誘惑する。しかし、神のもとで生きるヨハネにはその試みは空しく届かず、サロメは苛立ちと怒りとで身悶えする。
ヘロデの願いを叶える決心をしたサロメは、七重の薄衣をまとってその前に立つ。官能と刺激に満ちた妖艶な七つのペールの踊り。苦悶に身をそらせ、歓喜に酔いしれ、怒りに床を打ち鳴らす。欲望がほとばしり、リズムが高まり、衣が捨て去られて行く。最後の一枚まで脱いだサロメの裸身が月光につつまれた。あまりの美しさと激情の表現に一瞬動きを止めるヘロデだが、満場の喝采に我に返ると、望みのものを問いかける。サロメは、ヘロデを見据え、要求した。「洗礼者ヨハネの首を!」

スタッフ

脚本・演出・監督:カルロス・サウラ
振付:ホセ・アントニオ、アイーダ・ゴメス
撮影監督:ホセ=ルイ・ロペス=リナレスA.E.C、テオ・デルガード
音楽:ロケ・バーニョス
特別協力:トマティート
音響:ハイメ・バロス
編集:フーリア・ファニス
衣装デザイン:ペドロ・モレノ
メイク:ホセ・クエトグラス
ヘアスタイル:ブランカ・サンチェス・トーレス
プロダクションマネージャー:カルメン・マルテイネス
アソシエイト・プロデューサー:ナターシャ・クシック、アントニオ・ヘルナンテ"ス
製作総指揮:アントニオ・サウラ、サウラ・メドラーノ

キャスト

サロメ:アイーダ・ゴメス
「監督」:ペレ・アルキリュエ
ヘロデ:パコ・モラ
ヘロデヤ:カルメン・ビリェナ
洗礼者ヨハネ:ハビエル・トカ
ダンサーたち:ドス・イ・ダンサ舞踊団

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