原題:Barking Dogs Never Bite

第13回東京国際映画祭シネマプリズム部門 第25回香港国際映画祭国際映画批評家連盟賞 第30回ロッテルダム国際映画祭 第46回サン・セバスチャン国際映画祭新人監督賞コンペ部門 第11回アジアフォーカス・福岡映画祭2001

2000年/韓国/カラー/110分/35mm/ビスタサイズ/ 配給:ファイヤークラッカー/配給協力:グアパ・グアポ

2004年05月02日よりDVDリリース 2004年05月02日よりビデオリリース 2003年10月18日より渋谷ユーロスペースにてロードショー

公開初日 2003/10/18

配給会社名 0377

解説



フリーターのような生活をしているユンジュはゴミの分別収集に意欲を燃やし、サンダルをひっかけてスーパーに行く。ヒョンナムは朝一番に管理事務所に出勤するが、退屈そうな表情で掃除をし、だらだらと過ごす日々。そんな我々の日常と類似した生活を送っている主人公たちは、子犬失踪事件をきっかけにありふれた日々から突然抜け出すことになる。

一見つまらなそうに思える事件だが、観客は客観的に事件を解くことに熱中せず、登場人物と一体化して自分の観点から事件を追ってしまう。ユンジュから始まった映画の視点は、ヒョンナムによって完結する。観客はヒョンナムの視点を追って共感の対象を変えながら事件にのめりこみ、自分以外の人物を観察することになる。

脚色されたヒーローの世界でなく、「普通の人間」が見せてくれる誇張された行動や想像の世界。あまりにも現実的な雰囲気で展開したかと思うと、突然呼吸を止め、想像の表現、あるいは漫画的な表現に急展開する。その絶妙なバランスとテンポがたまらなく面白い。ポン・ジュノ監督は、本作で自ら完璧な世界を構築し、新しい想像のリアリズムを生み出すことに成功した。劇中、たくさんの”さり気なさ”を発見することによって、本作は180度違った印象を与えてくれ、心から映画を楽しむことを教えてくれる。

ストーリー



●ユンジュは怒っていた。
ユンジュは出産間近の妻に養われている大学の非常勤講師。最近、マンション内に響き渡る犬の鳴き声に神経過敏となっていた。ある日、隣のドアの前にチョコンと座る犬を見つけて、地下室へ閉じ込めてしまう。

●ヒョンナムは立ち上がる。
ヒョンナムはマンションの管理事務所で経理の仕事をしている。毎日、ボーっと仕事をしていたが、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったことを知ると、街のすみずみにチラシを貼りまくるのだった。

●ユンジュは困惑していた。
教授になるには学長への賄賂が必要だと先輩に諭され、ヤケ酒を飲んで家に帰ったユンジュ。どこからか聞こえる犬の鳴き声!声の主は切干大根ばあさんのワンちゃんだった。間違いを悟ったユンジュは、閉じ込めた犬を救出するため地下室に向かう。

●謎(?)の警備員は語りだす。
閉じ込めた子犬が消えていることに焦るユンジュは、物音に気づいて身を隠す。そこに現れたのは警備員ピョン。なにやら美味しそうなナベの準備を始めるが、たまたまやって来た管理主任に、この団地の隠された秘密を語りだす…。

●ヒョンナムは追撃する。
友人のチャンミと屋上でだらだらしていたヒョンナムは、持っていた双眼鏡で向いの屋上にいた男が取った衝撃の行動を目撃してしまう。追うヒョンナムと逃げる男。あと少しで犯人に手が届くと思えたその時。ある部屋のドアが開き…。

●ユンジュは苦悩していた。
ユンジュと妻ウンシルとの間にはお互いの不満が渦巻いていた。そして、ウンシルが子犬を買ってきたことでユンジュの怒りが爆発してしまう。さらに悪いことには、その子犬スンジャがユンジュとの散歩中に消えてしまうのだった。

●ヒョンナムはヒーローを目指す。
少女の愛犬ピンドリ。切干大根ばあさんのワンちゃん。そして、ウンシルの大事なスンジャ。チャンミの警告も耳に入らぬヒョンナムは、次々と起こる子犬失踪事件の犯人をその手で捕まえることに燃えていた。市民栄誉賞を取ってテレビに出演するために。

スタッフ

監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ソン・テウン、ソン・ジホ
製作総指揮:チャ・スンジェ
音楽:チョ・ソンウ

キャスト

イ・ソンジェ『プライベートレッスン青い体験』
ペ・ドゥナ『美術館の隣の動物園』『エンジェルスノー』
キム・ホジョン
ピョン・ヒボン
コ・スヒ
キム・レハ
キム・ジング
イム・サンス
ソン・ジョンソン
チョ・ジェハ
ファン・チェリン

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