原題:B Comme Bejart

チュチュをとりました。そのとき、光がバレエを照らしました。

2002年ヴェネチア国際映画祭特別招待作品

2002年/スイス/カラー/ビスタ/95分/ 配給:日活

2004年12月10日よりDVD発売開始 2004年12月10日よりビデオレンタル開始 2004年6月19日より恵比寿ガーデンシネマにてロードショー

公開初日 2004/06/19

配給会社名 0006

解説


20世紀後半、バレエに新しい光を注ぎ、その革新的な創作の数々でセンセーションを巻き起こした天才振付家モーリス・ベジャール。日本でも、映画『愛と哀しみのボレロ』(81)でジョルジュ・ドンの踊る名作「ボレロ」が大きな話題を呼んだこともあり、バレエ・ファンならずとも彼の名を知る人は多いだろう。『ベジャール、バレエ、リュミエール』は、舞台「リュミエール」公演初日までの半年間を追い、華麗な舞台の裏側にあるベジャールとダンサーたちのバレエへの愛と創造の喜び、そして苦悩を描きだす感動のドキュメンタリー作品である。バレエ、音楽、映画という3つの芸術的要素が織り成す舞台「リュミエール」。その舞台裏は、人生のすべてをバレエに注いだ、ベジャールの溢れる情熱、生き様そして、それをうけるジル・ロマンほかダンサーたちのバレエを生み出す苦しみ、それらが集まり大きな創造のエネルギーとなって華麗な舞台を作りあげていく。監督は、スイス出身のマルセル・シューバッハ。人物を中心にテレビドキュメンタリーの分野で活躍する彼は、最小限のスタッフで60時間以上のカメラを回しながらベジャールに接近。シューバッハ監督は、「リュミエール」の舞台裏を中心に77歳・天才振付家ベジャールの内面と創造の秘密に鋭く迫り、舞台上に新たなバレエが生まれる瞬間をみずみずしく捉え、ひたむきに努力し、何かに無償の愛を捧げることの美しさを丁寧に描き出していく。

 舞台「リュミエール」は、“リュミエール=光”をコンセプトに、映画、そしてバッハ、バルバラやジャック・ブレルのシャンソンなどを重層的に織り交ぜ構成していく、ベジャールならではの壮大なバレエだ。2001年6月に、リヨンのフルヴィエール・ローマ円形劇場で1万5千人の観衆を前に初演された。本作では、2001年2月から初演に至るまでを撮影期間に費やしているが、ここで大きな見どころのひとつになっているのは、普段は決して見ることのできないバレエ団の舞台裏。創造の迷宮に舞い込みながら、スタジオでジル・ロマンをはじめダンサーたちによどみなく振りを付けるベジャール。その指導に熱心に耳を傾け、マジックのように彼の意図を肉体化していくダンサーたち。 また、スタジオや舞台の袖で見せるダンサーたちの真剣な表情もカメラはとらえる。本番が近づく中、二転三転する衣装合わせ、悪天候のせいでたびたび中断される屋外リハーサル、楽屋でひとり静かに苦悩するベジャールの顔。新しい舞台を生み出すアーティストたちのストイックかつ情熱的な姿がそこにはある。

 クラシックの楽曲にとどまらず、これまでも民族音楽からクィーンなどのロックまで、幅広い音楽を作品に使用してきたベジャール。そして、「リュミエール」の音楽に彼が選んだのは、バッハと、ベジャールの友人でもある今は亡き2人の偉大なシャンソン歌手、バルバラとジャック・ブレルだった。ベジャールは、彼らの紡ぐ繊細な言葉にインスパイアされ、“光”のバレエを見い出していく。2人の歌声にのってダンサーたちが軽やかに舞う姿は、シンプルな愛の一幕を見るような幸福感をもたらす。バッハの音楽が醸す抽象的で崇高な光と、バルバラとブレルが歌いあげる日常の光。異質の光が融合する奇跡の瞬間を、映画は巧みにすくい取っている。

ストーリー

2001年2月。ベジャール・バレエ団では、新作「リュミエール」の準備が進められていた。

公演2ヶ月前。衣装の打ち合わせが開始。記者会見も開かれ、新作への意欲を語るベジャール。

5月。ローザンヌ近郊マレーで、初試演が行われる。衣装をつけず、観客を前に通しで踊ることで全体を調整するという試みだ。再びスタジオに戻り、振付けは佳境を迎える。

初日の10日前。公演の舞台となるリヨンのフルヴィエール・ローマ円形劇場では、リハーサルが進行。突然の悪天候により、野外舞台のリハーサルはしばしば中断のアクシデントに見舞われる。一方で、ジル・ロマン、エリザベット・ロスはじめ、ベジャール・バレエ団のダンサーたちは、完璧な踊りを見せていく。

そして6月19日。1万5千人の観衆の熱気の中、ついに「リュミエール」初演の幕が上がった。

スタッフ

監督:マルセル・シューバッハ
ナレーション:エヴァ・セッサロリ
プロデューサー:ジャン・ルイ=ポルシェ、ジャラルド・ルイ
配給:日活

キャスト

モーリス・ベジャール
ジル・ロマン
エリザベット・ロス
ドメニコ・ルブレ
小林十市
クリスティーヌ・ブラン
ジュリアン・ファヴロー
カトリーヌ・ズアナバール

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