パーティ★モンスター

1980年代後半から90年代初頭にかけて、ニューヨークのダウンタウン、ソーホーを拠点としたクラブシーンに颯爽と現われ、カリスマ的な人気を博したひとりの青年≪マイケル・アリグ≫。彼は「ライムライト」「トンネル」「パラディウム」といった当時の名立たるナイトスポットで数々のパーティをオーガナイズし、一躍時代の寵児となる。
本作はそんな彼が、カネ、成功、名声、栄光を手にするまでの≪ファビュラス≫な道のりと、孤独に苛まれ、遂にはドラッグに溺れ衝動的に殺人事件を犯してしまうまでを、当時のクラブシーンを忠実に再現しながら、センセーショナルかつドラマティックに綴っていく。

監督は、これまでアメリカのアンダー・カルチャーを代表するアイコン的人物やその時代の風俗をテーマに、ユニークな視点で数々のドキュメンタリー作品を発表し続けている、フェントン・ベイリーとランディ・バルバートのコンビ。
原作はジェイムズ・セント・ジェイムズの著書「ディスコ殺人事件」。彼はまだ無名だったマイケルをこの世界に導いた自称「元祖クラブ・キッズ」で、マイケルの憧れの対象だった。マイケルとの「ねじれた友情関係」と当時の時代の空気を綴ったセント・ジェイムズの奔放な文体を、フェントンとランディは巧みに組み立て直し、ナイーヴな少年が“パーティ・モンスター”と化し、遂には殺人に至るまでの真実をドラマティックに仕上げている。

本作品の最大の話題は、あの『ホーム・アローン』（1990）のマコーレー・カルキンが、マイケル・アリグ役で9年ぶりのスクリーン復帰を果たしたことだ。今年22歳に成長した彼は、少年のあどけなさと青年らしい男らしさとの境界線を自在に往来する不思議な魅力を発散させている。
物語の語り手となるジェイムズには、『オースティン・パワーズ』シリーズのスコット・イーヴル役で、全米ティーンのアイドル的存在であるセス・グリーン。
マイケルのグルーヴィーとなる美少女ギッツィには、『ボーイズ・ドント・クライ』『ブラウン・バニー』など≪インディペンデント映画のミューズ≫クロエ・セヴィニーがかつてないグラマラスな魅力で、当時の≪クラブ・キッズ≫になりきってみせるほか、マリリン・マンソンが、マイケルが生んだ≪スーパースター第1号≫クリスティーナを、ブロンドにボンテージ・ファッションで怪演している。

また、当時のポップス＆ディスコ・ミュージックに現代のエレクトロニカ、テクノなどのクラブ・ミュージックをミックスしたサントラも、映画の雰囲気を効果的に盛り上げている。

ちなみに、マイケルのクラブ活動の拠点となった「ライムライト」は2003年秋、当時の場所で再オープン。早速、トレンドに敏感なニューヨーカーたちが押しかけ、連日連夜、列を成す盛況を博しているという。