いのちが、欲しがっている。

2003年/日本/R−18 配給:シネカノン

2005年07月08日よりDVDリリース 2005年07月08日よりビデオリリース 2004年11月13日よりアミューズCQN渋谷他にて全国ロードショー 2004年10月30日よりシネカノン有楽町、他にて全国ロードショー

公開初日 2004/10/30

配給会社名 0034

解説


谷崎潤一郎賞受賞を受賞した、高樹のぶ子氏の同名小説がついに映画化!秋吉久美子と永島敏行が、激しく濃密な大人の純愛を見事に演じている。

25年ぶりに出会ってしまった山崎千桐と今井郷。かつて同じ鶴来の街で出会った頃の面影が、そのまま残る二人。時えを経て必然のように出会った郷に、千桐は言う。「私を買ってください」と。借金に追われる父の介護をしながら娘を3人で暮らす千桐の、決して楽ではない生活を知った郷は、その援助を申し出る。それは、求め合わずにはいられない二人の最初で最後の、命まで貫く永遠の愛の始まりだった……。

ストーリー


山崎千桐(秋吉久美子)は、鶴来の街で、借金に追われながら寝たきりになってしまっている父・火峯(高橋昌也)の介護をしながら娘と3人で暮らしていた。ある日、25年ぶりに一人の男と会う。東京から仕事のついでにこの街を訪れていた、今井郷(永島敏行)だった。彼は25年前、有名な刀鍛冶であった火峯を取材しに鶴来を訪れており、その時に六郎杉と呼ばれる大きな杉の樹の下で、高校生だった彼女のセーラー服姿を写真に撮っていたのだ。くすぶっていた想いが、蘇っていく二人。

千桐のことを想う郷。ある夜、電話をかける。
 「借金があるなら、僕に返済を手伝わせてください」
 「なぜ?」
 「あなたが目当て。目的は、あなたしかない」
言ってしまってからうろたえる郷に、千桐は答える。
 「…お願いします。私で、よかったら…」
電話は、唐突に切れた。

郷に絵葉書が届く。
−−平泉寺のカタクリの花をお見せしたいと思います−−
金沢駅の改札口で迎える千桐。二人は平泉寺を訪れる。
 「このあたり寒いから、一気に来るんです、春が。だから、みんな狂っちゃう」
千桐にお金を渡す郷。郷に抱かれる千桐。
 「心に決めていたんです。私、郷さんの娼婦になるって」

ある日、郷はバーのトイレで倒れる。千桐は、赤坂にある郷の会社まで訪ねて来る。25年前に火峯からもらった小刀を見せる郷。千桐の家には1本も残っていないことを聞き、
 「じゃあ、僕が死ぬ時は、あなたに返すよ」
 「その時は、私も死にます」
 「それだけは、絶対にいけない」
会社の壁に貼られたポスターの水着姿の女に、小刀で郷のGの字を刻む千桐。そして、千桐のCの字をそれに重ねる郷。その形は、まるでつながった二人の体のようだった。
やがて検査で、郷の病気が明らかになる。直腸がんだった。郷は、手術して少しばかりの延命治療をするより、千桐との逢瀬を選ぶ。社員たちに、身を退けることを告げる郷。がんに蝕まれる体で、再び石川を訪れる。海を眺められる民宿で、激しく抱き合う二人。
 「この、右の耳は、僕の耳で、右の乳房は、僕の右胸で、この右目が見てるものは、実は僕の目が見ている…」

半年後、家の前に停まっていたハイヤーの中に、郷の気配を感じる千桐。だが、姿は見えない。やがて小包が届く。中には、あの小刀が入っていた。郷が、死んだ。六郎杉を訪れ、自分も死のうと太い枝に腰を下ろした千桐の目に映ったのは、Gの中にCのマーク、千桐と郷の刻印だった。

15年後、千桐はおばあちゃんになっている。孫のことも、娘の眉のことも、誰なのか分からない。アルツハイマー病が進行しているのだ。まるで廃人のような母・千桐の姿に、娘の眉は、それでもその体に大きな幸福を閉じ込めているように感じるのだった。千桐がつぶやく。
 「あなたのこの右耳は、僕の耳…右の乳房は僕の右胸…」
それは、確かに、郷が千桐に言った、あの言葉だった。そこには命まで貫いた、永遠に終わることのない本当の愛だけが、あった。

スタッフ

監督:根岸吉太郎
製作:朝野勇次郎(『透光の樹』製作委員会 東洋コンツェルン)
プロデューサー:岡田裕
原作:高樹のぶ子(谷崎潤一郎賞受賞)
脚本:田中陽造
音楽:日野皓正
製作プロダクション:スタッフ東京、イマージュ、アルゴ・ピクチャーズ

キャスト

秋吉久美子
永島敏行
高橋昌也
吉行和子
平田満
寺田農
田山涼成
うじきつよし
村上淳
唯野未歩子
松岡俊介
戸田恵子

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