原題:Kirikou et la sorcière

小さな男の子の大きな好奇心が世界を変えた。

スタジオジブリ第1回洋画アニメーション提携作品

1998年12月9日フランス初公開

1998年/フランス/カラー/71分/ドルビーSR/ビスタサイズ/ 協力:ローソン/提供:スタジオジブリ、日本テレビ、博報堂、ニューセレクト 後援:フランス大使館文化部 配給:アルバトロスフィルム

2007年07月18日よりDVDリリース 2003年8月2日より、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー

公開初日 2003/08/02

配給会社名 0012

解説


キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの恐ろしい呪いにかけられていた。泉の水は涸れ、魔女を倒しに出掛けた男たちはすべて魔女に食われ、村に残っているのは、女子供と老人だけ。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」。持ち前の好奇心と行動力で、小さなキリクは賢者が住むという“禁じられたお山”へ旅に出る……。
人類誕生のアフリカだけが生み出し得た、この全く新しい世界神話は、フランスの公開で観客動員130万人、興行収入650万ドルという異例の大ヒットをおさめた。これはアニメーション作品におけるフランスでの歴代興行収入第1位の記録でる。さまざまな関連グッズも浸透し、ひとつの社会現象と呼べるまでに発展し、ビデオもアニメ作品としては異例の60万本のセールスを記録。いまだ本国では、伝説的に語られている希有な作品となっている。
原作・脚本・監督は、これが初めての長編作品になるミッシェル・オスロ。彼は幼少時代をギニアで過ごし、そこでの強烈な体験が、『キリクと魔女』を作る大きな動機になっている。アフリカは彼の原点でもあり、長年あたためてきた念願のテーマでもあった。監督の意図は多くの賛同者を得、サウンド・トラックにはあのユッスー・ンドゥールも参加した。また、彼は日本文化をこよなく愛する人物でもあり、若い頃、日本に滞在し、墨絵を描き、葛飾北斎の絵の心酔者でもある。『キリクと魔女』の映像に、どこか親しみを感じるのはそのせいかもしれない。
日本では、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『となりの山田くん』の高畑勲が日本語版を手掛け、自ら演出も担当。さらに吹替え版ではカラバ役に浅野温子、キリク役に『千と千尋の神隠し』“坊”役で注目を浴びた神木隆之介を迎え、本作に新しい息吹を与えている。
また、『キリクと魔女』は、フランスでの亜主—国際アニメーション映画祭グランプリはもとより、シカゴ国際児童映画祭での長編劇場・ビデオアニメーション部門成人審査員賞・児童審査員賞、モントリオール国際児童映画祭での長編部門審査員特別賞など多くの賞にも輝き、世界的な評価を得ている。

ストーリー

母の胎内から声が聞こえる。「母さん、ぼくを生んで!」母は驚く。が、静かに答える。「母さんのおなかの中で話す子は、自分ひとりで生まれるの」母から出てきた小さな男の子は、へその緒を自分で切って言う。「ぼくの名はキリクだ」
キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの呪いに晒されていた。父をはじめ、村の男たちは魔女カラパに戦いを挑み、彼女に喰われてしまったのだ。泉は過れ、黄金(きん)は奪われ、村は瀕死の状態にあった。キリクは知恵を使ってカラバに戦いを挑んだ叔父を助けるが、騙されたと知ったカラバは村からすべての黄金を奪い、隠し持っていた女の家を焼き払ってしまう。
災いはなおも続いている。「黄金はなくても生きていけるけど、水がなければ生きて行けない。愛する者がいなければ生きて行けないのに、カラパは男たちをみんなとってしまう。次々と」そして子供たちまでもがカラバにさらわれそうになる。しかし、間一髪のところでキリクによって救われる。“呪われた泉”では、制止する声をよそに涸れてしまっている水の注ぎ口に入ってゆくキリク。暗闇の中では、雷鳴をとどろかせて泉の水を吸い込んでいる、はちきれそうに巨大な怪物の姿があった。小さな注ぎ口から入って怪物を退治出来るのは小さなキリクだけだ。少し怖いけれど、知恵と勇気をもって怪物を退治する。呪われた泉からは再び水が注ぎ出した。
キリクは思う。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」村の人たちは誰も答えられない。「どうして?」母に訊ねると、“禁じられたお山”の反対側にいる“お山の賢者”だけがその質問に答えられると告げる。“お山の賢者”は、じつはキリクのお祖父さんだ。お祖父さんのところに行くためには、魔女の家のてっぺんにいる屋根鬼に見つからずに魔女の縄張りを越えてゆかなければならない。
小さなキリクは父の形見の短剣を持ち、“禁じられたお山”に向かう。魔女の家の地下にめぐらされた動物たちの巣穴を抜け、時には自ら穴を掘り、リスや小鳥たちに助けられながらなんとか山に辿り着いた。そして大アリ塚の穴の奥で、賢者がキリクを待っていた。賢者はあるがままの事実をキリクに話して聞かせる。「水を奪ったのは魔女ではない。魔女は男たちのことを食べてもいない。ただ、村人にそう思わせておいた方が恐れられる。怖がれば怖がるほどますます強くなれるからだ」「みんなに与えたいのだ、あらんかぎりの苦痛を」「どうして?」「それは自分が苦痛だからだ」「なぜ?」「毒のトゲを背中に打ち込まれたから」
カラバがトゲを抜こうとしないのは、抜く時に恐ろしい苦痛が襲うからだ。そしてそのトゲこそが、魔女に力をあたえているのだ。そうと知ったキリクはカラバのもとへ向かう。父と同じように。小さなキリクの息の根を止めようと躍起になるカラパ。いよいよ自ら家の外に出てとどめを刺そうとしたその時、キリクはカラバの背中に飛び乗りひと思いにトゲを抜き取った。
絶叫があたり一帯に響き渡る。枯れた植物たちが息を吹き返し、森は花と緑に包まれてゆく。カラバは解放されたのだ。そしてキリクは思いもよらぬことをカラバにお願いする。
村人たちは帰らぬキリクを案じている。愛と感謝の意を伝えなかったことを悔やんでいる。しかしカラバとともに戻った青年を彼らはキリクと認めない。ただ母だけが、真実を知っている。
村人たちが愚かにもカラバを襲おうとしたそのとき、向こうから太鼓の音と男たちの声が聞こえてく乱夫が、息子が、恋人が、女たちのもとに帰って来たのだ。

スタッフ

原作・監督・脚本:ミッシェル・オスロ
協力:レイモン・ビュルレ
製作担当:ミッシェル・ドゥティユ
製作助手:サラ・ブンザ
チーフ・レイアウト:パスカル・ルメール
美術監督:アンヌ=リズ・コレール/チエリ・ミリオン
アニメーションスタジオ:リジャ・ステュディオ(リガ)
            エグジスト・ステュデイオ(ブダペスト)
背景スタジオ:レ・ザルマター(アングレーム)
       ティラミス(ルクセンブルグ)
デジタルペイント・合成スタジオ:
       レ・ザルマター(アングレーム)
       ベネディクト・ガルップ、マリー=ポール・パチュロー
       オーデーウーセー・キッドカルトゥーン(ブリュッセル)
       フィリップ・ヴェークリュイセン
       クリスチャンヌ・ヴェルムラン
編集/ポストプロダクション:ドミニック・ルフェバー
助手:ドミニック・ブリュン=ダーセン
ラボラトリー:GTC、ダニエル・ボレンスタン
製作:ディディエ・ビュルネール
   ジャック・ヴェークリュイセン=ワチャ
   ポール・ティルゲス
共同製作:レ・ザルマター
     オーデーウーセー・キッドカルトゥーン/モニポリー
     トランスユーロップ・フィルム/ストゥディオ・オー
     フランス3シネマ
     R.T.B.F.(ベルギーテレビ)、エクスポージャー
音響:ポール・ガニョン/アレック・ゴース
音楽:ユッスー・ンドゥール

キャスト

ドドゥ・ゲイエチャ
アウ・セヌザー
マイモウナ・エヌジャイエ
ロベール・リンソル
マリー=オーギュスティーヌ・ディエッタ
ウィリアム・ナディラン=ヨツンダ
セバスチャン・エブラン
チロンボ・ルバンブ
(日本語吹替版)
浅野温子
神木隆之介

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