2002年/イタリア/

2003年4月27日〜29日、5月3日〜5日まで有楽町・朝日ホールにて上映

公開初日 2003/04/27

公開終了日 2003/05/05

配給会社名 0364

解説


『グラツィアの島』は、アフリカにも手の届きそうなくらいの距離にあり、まばゆいばかりの光に溢れたシチリアの海に浮かぶランペドゥーザ島を舞台に展開される、島の伝説と化した自由奔放で天衣無縫な母親の生き生きとした感性の物語だ。この世の楽園とおぼしき、しかしあまりにも圧倒的な自然、そのすべてを灼きつくすかのような陽射し、あらゆる豊かさを生み育んできた母なる海、それとは対照的にあまりにも保守的な島民のメンタリティ、そして、本能のおもむくままに行動し、激しすぎる感受性につき動かされてしばしば常軌を逸した行動に及ぶ母親グラッィア。監督のクリアレーゼはグラツィア役にその野性的な褐色の瞳に宿る地中海の美でハリウッドをも魅了したヴァレリア・ゴリーノを迎え、他のキャストは地元の素人俳優で固め、方言と即興を織り込みながら、真夏の白昼夢にも似た物語をゆるやかなテンポと賛沢な映像で綴ってゆく。なによりも背景をなすランペドウーザの自然の美しさは、スクリーンに映し出されるたびに目と心を奪い、映画を観終わる頃には網膜にしっかりと焼きつけられてしまう。

ストーリー

シチリアのランペドゥーザ島は、漁師の島である。男たちは漁に出て魚を捕り、女たちはそれを工場で缶詰めにする。漁師の夫を持ち、3人の母であるグラツィアの気性は風変わりで炎のように激しく、理解者は子供と犬と海だけだ。彼女に手を焼いている親戚たちは、ミラノで彼女を治療することを内密に相談している。ミラノ行きを缶詰工場の同僚から揶揄されたグラッィアは、島に自分の居場所がないことを感じ、海に飛び込む。ある日、彼女は観光客の船に乗り込もうとしたのを夫にとめられ、その腹いせに村はずれの犬小屋からすべての犬を解放する。長男は、家を飛び出した母を断崖の洞窟にかくまい、その衣服を浜に置く。グラツィアの死を深く悲しむ夫は、狩の最中に海で妻が泳いでいるのを見かける。息子が洞窟に駆け付けた時、母の姿はどこにもなかった。

スタッフ

監督・原案・脚本:エマヌエーレ・クリアレーゼ
撮影監督:ファビオ・ザマリオン
編集:ディディエ・ランツ
美術:ベアトリーチェ・スカルパート
衣装:エヴァ・コーエン
録音:ピエール=イヴ・ラヴエ
製作指揮:ルイジ・ラグラスタ
製作:ドメニコ・ブロカッチ
製作会社:ファンダンゴ、レ・フィルム・ドゥ・トゥルネル、ロワシー・フィルム(パリ)

キャスト

ヴァレリア・ゴリーノ(グラツィア)
ヴィンチェンオ・アマート(ピエトロ)
フランチェスコ・カシーザ(パスクゥアーレ)
ヴェロニカ・ダゴスティーノ(マリネッラ)
フィリッポ・プチッロ(フィリッポ)
エンマ・ロッフレード(祖母)

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