原題:L'ora di religione

2001年/イタリア・スイス/118分/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSRD 配給:樂舎

2004年6月19日より「チャオ!チネマ・イタリアーノ イタリア映画傑作選」、ユーロスペースにて連続ロードショー!

公開初日 2003/04/27

公開終了日 2003/05/05

配給会社名 0364

解説


西暦二千年、それまでおよそ採算を顧みずに冷徹に自分の信じる映画作りを続けていた孤高の作家、シルヴィオ・ソルディ一二は異例のコメディ・タッチのラブ・ストーリー『ベニスで恋して』を発表した。映画は長編四作目にして初めての大成功を記録し、日本でも公開されて高い支持を得た。しかしこの時、彼はすでに次の原作にアゴタ・クリストフの『昨日』を選んでいた。彼としては初めての翻案物であり、スイスを舞台にフランス語とチェコ語で撮りあげられた作品は、監督の意向を尊重した映画館ではイタリア語の字幕付きで上映されるという特異な試みがなされた。初期の傑作が巧みなプロットを介して表していた都市生活における不安や孤独、焦燥、疎外感といった感情ではなく、ここではいささか不思議な恋愛の物語が淡々と、しかし詩情豊かに、かつてなかったほど自然な語り口で語られる。これまでインテリ風の才気がやや目立ったソルディ一ニだが、作家としての深い力量を感じさせる逸品だ。ソルディー二のもっとも映画的な作品といえるかもしれない。もちろん、いつもながらルカ・ビガッツィの撮影による、フェルメールの絵画を思めせる落ちついた色調のストイックな叙情性も白眉。

ストーリー


東欧のとある国の名も無い村に生まれ育ったトビアシュは15才の時にスイスに亡命し、昼は時計工場で働き、夜は作家を夢見てフランス語での執筆に耽っている。過去を封印したはずのトビアシュには、小学校の先生で、母と関係を持ち、自分を生んだ男を殺したことが忘れられない。朝5時に起床し労働する単調な毎日のなかで、小学校のクラスメイトであった異母妹リヌが同じ工場で働いていることを知る。記憶と夢の女リヌの突然の出現にトビアシュの生活は一変する。リヌは物理の研究者と結婚し女児をもうけていた。現在の生活に満足していないリヌは、彼女の後をつけるトビアシュに次第に打解け、彼を愛し始める。リヌの夫は妻のトビアシュヘの愛に気づき、リヌに新たに宿った子を姦通の結果だとして堕胎させてしまう。トビアシュはリヌの復讐を果たし、リヌの結婚生活も終わりを告げる。二人の秘密を胸に秘めたままトビアシュは、リヌとその子と共にイタリアヘと行く。

スタッフ

監督・脚本:シルヴィオ・ソルディ一二
原作:アゴタ・クリストフ作『昨日』
脚本:ドリアーナ・レオンデフ
撮影監督:ルカ・ビガッツィ
編集:カルロッタ・クリスティア一二
美術:パオラ・ビッザッリ
衣装:シルヴィア・ネビオ一ロ
録音:フランソワ・ミュジィ
音楽:ジョヴァンニ・ヴェノスタ
製作:リオネッロ・チェッリ、ルイジ・ムジー二
製作会社:アルバキアーラ、ライ・チネマ、ヴェガ・フィルム(チューリッヒ)

キャスト

イヴァン・フラネク(トビアシュ)
バルバラ・リレクソヴァ(リヌ)
カロリーヌ・バエル(ヨランデ)
シトラド・ゲーツ(ヤネク)
イッカ・イェコヴァ(母)
ヤロミール・ドュラヴァ(父)

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