原題:L'ora di religione

2002年/イタリア/

2003年4月27日〜29日、5月3日〜5日まで有楽町・朝日ホールにて上映

公開初日 2003/04/27

公開終了日 2003/05/05

配給会社名 0364

解説


古くは『ポケットの中の握りこぶし』以来、数多くの問題作を発表し続けているイタリア映画界の鬼才、マルコ・ベロッキオの『母の微笑』は、2002年上半期もっとも映画人の脳髄を刺激した作品だ。ペロッキオ映画につきものの謎めいたシチュエーション、不可解な展開、いわくつきの人物、思めせぶりな台詞や行動は健在で、ここでもまた、観客には例によって大きな命題が般げかけられる。今日のイタリアにおける宗教の意味を問う本作の原題は「宗教の時間」。イタリア人にとってのみならず、世界じゅうの人間にとって、もう一度改めて考え直してしかるべき重大なテーマだ。難解でどちらかというとシニカルな作品で知られるベロッキオだが、今回は、人間たちの混迷や欺瞞や過信や願望や救いの可能性を、いつものように奥行きのある独特の筆致で、しかしさらりと、痛烈な皮肉とある種の心地好さすらもたらす軽やかな距離感とともに描写してゆく。信仰というイタリア人にとってはきわめて日常的で重いはずのテーマを扱いながら、苦々しさや閉塞感はなく、いつになくスムーズな流れが印象的で、たしかな見応えばかりか映画ならではのカタルシスも味わえる。巨匠の最新作にふさわしい、すべての映画ファン必見の作品。

ストーリー

成功したイラストレーターであり無神論者のエルネストは、ある日プ一ニ師の訪問を受け、兄エジディオに刺殺された母を聖女とするための手続きが行われていることを知る。一家はエルネストを蚊帳の外において、母の死をカトリックヘの殉教として認めるようヴァチカンに働きかけていた。過激派からカトリックに転向したエットレ、母のおかげで病から奇跡的に回復したと主張するフィリッポ・アルジェント、宗教は利用するものと主張し人生の保証のために母の聖女化は必要と説く叔母マリア、聖女を祖母にもつことが息子の将来に有利に働くと考える妻イレーネ、そして精神病院でいまだに涜神の言葉しか吐かないエジディオ。エルネストは一家の暗部を直視せざるえない状況に巻き込まれてゆく。その中で彼が発見したものは、周囲に意外な波紋をもたらす、彼の顔から決して取り去ることはできない母譲りの微笑みであった。

スタッフ

監督・原案・脚本:マルコ・ベロヅキオ
撮影:パスクゥアーレ・マーリ(A.I.C.)
編集:フランチェスカ・カルヴェッリ
美術:マルコ・デンティチ
衣装:セルジョ・バッロ
録音:マウリツィオ・アルジェンティエーリ(A.E.S.-A.I.T.S.)
音楽:リッカルド・ジャーニ
製作指揮:ルイジ・ラグラスタ
製作:マルコ・ベロッキオ、セルジョ・ペローネ
製作会社:フィルマルバトロス、ライ・チネマ

キャスト

セルジョ・カステッリット(エルネスト)
ジャクリーヌ・ルスティーグ(イレーネ)
キアーラ・コンティ(ディアーナ)
アルベルト・モンディ一二(レオナルド)
ピエラ・デリ・エスポスティ(叔母マリア)
ジャンニ・スキッキ(フィリッポ・アルベルト)
ジージョ・アルベルティ(エットレ)
ドナート・プラチド(エジディオ)
マウリツィオ・ドナド一二(ピウミ一二枢機卿)
ブルーノ・カリエッロ(プ一ニ師)
トニ・ベルトレッリ(ブッラ伯爵)

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