原題:Luce dei minei occhi

2001年ヴェネチア映画祭最優秀男優賞・最優秀女優賞 トロント映画祭出品

2001年/イタリア/120分

2003年4月27日〜29日、5月3日〜5日まで有楽町・朝日ホールにて上映

公開初日 2003/04/27

公開終了日 2003/05/05

配給会社名 0364

解説


心にしみる名品『もうひとつの世界』が昨年のイタリア映画祭で絶賛されたジュゼッペ・ピッチョー二の新作は、若く生真面目なハイヤーの運転手と心を閉ざした冷凍食料品店の女とその小さな娘をめぐってふたたび描かれる、無力な人間たちの孤独と心のふれあいの寓話である。ピッチョー二は舞台を灰色の街ミラノから(とりわけ夜の)ローマに移し、前作で完成された映像表現をさらに大胆に押し進め、いくぶん絞りこまれた物語の枠を時に崩しながらも、じかに感情を揺さぶるシーンをふんだんに盛り込み、蒼白い光に照らされた登場人物たちの内面を映し出す。心の叫びが聞こえてくるような痛切なイメージと、前作に引き続いてスコアを提供するルドヴィコ・エイナウディのつぶやくような旋律が合わさった時にもたらされる感動には、ピッチョー二映画でしか味わえない色あいがある。選び抜かれた俳優陣のひとつひとつの所作、こまやかな表情の綾も秀逸だ。『ペッピーノの百歩』(イタリア映画祭2001で上映)で信念に身を捧げる若者の激情を豊かに表現したルイジ・ロ・カーショは、ここではまったく異なるナイーヴな青年の内面を描き出した。ほとんど無名だったサンドラ・チェッカレッリの、頑な心と肌の温もりも感じさせる存在感が素晴らしい。そしてイタリア映画のお家芸ともいえる子役のバルバラ・ヴァレンテののびやかな輝きには幾度となくはっとさせられる。人生をいとおしむ気持ちを強く与えてくれる、さみしくもすがすがしい余韻を残す映画だ。

ストーリー

運転手アントニオは自分の仕事を愛している。彼の仕事は顧客が決めた道筋を旅し、車中で彼らが話すことを聞き、彼らの人生を静かに見守ること。そして顧客を待つ間、彼はSF小説を読む。ある晩飛ぴ出してきたリーザを轢きそうになったアントニオは、彼女の母マリアと知り合う。マリアは一人で冷凍食料品店を経営し、娘を育てている。マリアに惹かれたアントニオはこの母娘を助けようとする。マリアがサヴェーリオヘの支払いに苦労しているのを知ると、彼女には何も言わず、彼の運転手を買ってでる。だが、マリアはリーザとの生活を守ることに精一杯で、アントニオの好意を素直に喜べない。アントニオは外国人労働者を搾取するサヴェーリオに耐えられなくなる。アントニオはミスを犯し解雇され、マリアは力尽きてリーザを祖父母に引き渡す。頑なに守っていたものを失ったとき、マリアはアントニオを受け入れることができた。

スタッフ

監督・脚本:ジュゼッペ・ピッチョーニ
脚本:ウンベルト・コンタレッロ、リンダ・フェッリ
撮影監督:アルナルド・カティナーリ
編集:エズメラルダ・カラブリア
美術:ジャンカルロ・バージリ
衣装:マリア・リータ・バルベラ
録音:レモ・ウゴリネッリ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
製作:リオネッロ・チェッリ、ルイジ・ムジーニ

キャスト

サンドラ・チェッカレッリ
ルイジ・ロ・カ−ショ
シルヴィオ・オルランド
バルバラ・ヴァレンテ
トニ・ベルトレッリ

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