2003年/日本/110min 配給:アートポート

2003年10月24日よりDVD発売開始 2003年10月24日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年8月30日より新宿武蔵野館にてレイトショー公開

(C)2003 セディックインターナショナル

公開初日 2003/08/30

配給会社名 0014

解説


現実の事件をもとに書かれた松田美智子の「女子高校生誘拐飼育事件」を原作に、アブノーマルな愛の姿を様々な設定の中で描いてきた「完全なる飼育」シリーズ。
特異な題材と過激な性描写によって一作ごとに物議を醸すこの人気シリーズの最新作が、松田自身が2002年に書き下ろした同名小説の映画化という形で装いも新たに完成した。それがこの『完全なる飼育 秘密の地下室』である。
今回描かれるのは、恋人から暴カを受け捨てられた女子高生・梨里、過去のトラウマから口が利けない男・タケル、そしてタケルの過去を知る謎の女・隆子の重層的に絡み合った関係だ。飼育する者とされる者の立場が時に逆転しながら、匂い立つような官能に彩られた背徳の世界が鮮やかに秦でられてゆく。
タケル役は『バトル・ロワイアル』『夜を賭けて』の山本太郎。壮絶な過去によって記憶と言葉を失った男を繊細に演じ切り、今までのイメージを覆す新たな魅力を発揮する。毎回話題となる“飼育される女子高生”役には、CFなどで活躍するしらたひさこ。透けるように白い肌と真っ直ぐに見つめ返す瞳が印象的だ。これまでの清純派イメージに囚われない大胆な演技で梨里役を演じたことで、今後さらなる注目を集めるのは間違いないだろう。そして、舞台で半世紀以上に渡り華々しいキャリアを築き、『野菊の墓』『花いちもんめ。』などの映画でも圧倒的な存在感を見せろ加藤治子や、レギュラー出演となる竹中直人らの実カ派が脇を固め、この耽美な愛の物語を盛り上げる。
監督は、『ひき逃げファミリー』『ISOLA 多重人格少女』の鬼才、水谷俊之。

ストーリー



雨の公園で、梨里(しらたひさこ)はポロポロになるまで恋人に蹴られた。30万円すら作れないヤツなんかいらないよ、男はそう言い捨て去っていった。水たまりの中にうずくまり、ずぶ濡れになった少女を置いて。その様子を少し離れた物陰からじっと見つめる一人の男がいた…。その夜、同じ公園をサラリーマン風の男が公衆便所に向かって走っている。突然、暗がりから女子高生が現れ、男の手をつかむと自分の胸へ強引に引き害せた。「30万…お願いなんでもするから」と、睡れあがった顔で迫ってくる。気圧された男は、もみ合っている内に少女を突き飛ばしてしまう。コンクリートの階段を転がり落ち、ゴミ捨て場に倒れ込む梨里。土砂降りの雨が、白いブラウスに染みた血を冷ませていた。

しばらくして雨も上がったころ、梨里を物陰から見ていた男があらわれた。男は少女を担ぎあげると、月明かりが照らす道を歩き出した…。

梨里は清潔なベッドの上で目を覚ました。見まわすとそこは屋根裏部屋のようだ。日頃から人が住んでいるのか、整頓された生活感がある。そこへ男が入ってきた。梨里はあわてて飛び起きようとするが、全身に激しい痛みが走る。気を失った時に着ていたブラウスとスカートは脱がされ、いまは下着しか身につけていない。逃げだそうともがいた拍子に、ベッドからドスンと落ちてしまう。男はお粥をのせたお盆を置き、小型ワープロのキーボードを叩いた。“名前は、タケル”。梨里は恐怖にすくんだ身体をなんとか動かそうとするが、足に激痛が走りまともに歩くこともできない。扉に向かって這うようにして進むが、タケル(山本太郎)は少女の真先で扉を閉め鍵を掛けて行ってしまった。

梨里を監禁した男、タケルは口が利けないようだ。他人に話しかける時は小型ワープロを使って画面に文字を打ち出す。梨里は結び合わせたシーツをロープ代わりにして屋根裏部屋から逃げようとすろが、タケルに見つかりカずくで連れ戻されてしまった。しかし監禁しておきながら、タケルは梨里のために精いっぱいの気遣いを見せた。「もう逃げないから、縛らないで」と梨里が懇願すると、タケルは縛ることを止めた。

ある日、タケルが出かけたのを見計らい、梨里は体当たりで部屋の扉を壊した。足音を忍ばせ一階まで下り、玄関の手前までたどりついたとき、開け放された居間に自分の制服が積んであるのを見つける。さらに、好奇心から部屋の中を探ってみると、女物の着物や、ホームレス姿のタケルが写った写真などが出てくる。そして、テーブルの上に置かれた一冊の入院案内書。そこには、「三杉隆子」と患者の名前が表記されていた。

そこヘタケルが帰ってきた。慌てて梨里は屋根裏部屋へ戻ろうと階段を駆け上るが、足がもつれて階段を転がり落ちてしまう。物音に驚いてタケルが駆けつけると、梨里は足首を押さえて痛みに苦しんでいた。傷の具合を看ようと梨里の足に手を伸ばしたとき、タケルの手が小刻みに震えだす。激しい頭痛と呼吸困難。タケルの脳裏には、長い髪をなびかせる一人の少女の幻影が浮かんでいた。タケルは声にならない叫びをあげ、胎児のようにひざを抱えておびえ続けた…。

それ以来、梨里の心の中に、タケルに対する複雑な想いが生まれ始めていた。自分を監禁しておきながら優しく接し、時には避けるような衆振りさえ見せるタケルに興味がわいてきたのだ。梨里はタケルに問いただす。「隆子さんて、だれ?」どうして私を監禁するの?」。梨里の真剣な表情に押され、タケルはワープロに文字を打ち込む。“君はいつも殴られていた”。“君を助けたかった、話がしたかった。

その夜、梨里は風呂上がりの身体にバスローブをまといタケルの前に立った。「隆子さんとは…本当に寝てないの?」。タケルはキーボードを叩き応える。“隆子さんはぼくを助けてくれた、大切な人だ。そんな関係じゃない”。すると、梨里は突然バスローブを脱ぎ落とし、美しい裸身をタケルの前にさらした。目をそらしバスローブを拾おうとすろタケルに梨里は囁く。「抱いて…ほしい」。タケルの震える手がためらいがちに伸び、梨里の白い胸に触れようとしたとき、再び頭を激しい痛みが襲う。長い髪が風に揺れ、幸せそうに微笑む少女…。タケルは身を丸め、真っ青な顔で苦しみだした。梨里に触れようとすると、失われた記憶がフラッシュバックして、耐え難い苦痛に襲われるのだ。梨里はある決意をする。隆子と会って、タケルの過去の記憶を取り戻す方法を探るのだ。それには、すべてが封印された、禁断の地下室への扉を開けなければならなかった…。

スタッフ

製作:中沢敏明
企画:松下順一
プロデューサー:米山紳
        加藤東司
原作:松田美智子
脚本:我妻正義
音楽:澄淳子
撮影:志賀葉一
美術:稲垣尚夫
監督:水谷俊之

キャスト

山本太郎
しらたひさこ
加藤治子
竹中直人

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