原題:Tokyo Godfathers

『千年女優』『パーフェクトブルー』—— 世界が認めた映像作家・今 敏監督 ついにアニメーションの限界を突破する! 元競輪選手×元ドラッグ・クイーン×家出少女 赤ちゃんの親を探して、雪に包まれたクリスマスの東京を東へ西へ “温かな幸運”が捨てられた人々に味方する!!

2003年/日本/90分/カラー/ドルビーデジタル 配給:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント

2015年12月19日(土)20日(日)ユジク阿佐ヶ谷にて上映 2012年11月21日よりDVDリリース 2004年04月28日よりDVDリリース 2004年04月28日よりビデオリリース 2003年11月15日よりテアトル池袋ほかにてロードショー 2003年11月8日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー

(C)2003 今敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

公開初日 2003/11/08

配給会社名 0042

解説


映像作家・今 敏監督の最新作が世界を席巻する!

第75回アカデミー賞では、『頭山』(山村浩二監督)がアニメ部門にノミネート、『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)が長編アニメ部門を日本作品で初受賞という前代未聞の快挙を達成。また、『アニマトリックス』が川尻善昭、森本晃司、渡辺信一郎ら日本アニメ界の名だたるクリエイターを指名して製作されるなど、いまや日本発のアニメは、世界の映画界の話題を独占している。
中でも今敏監督は、日本固有でかつ斬新な映像を次々と世界に向けて提示し続ける最大の注目株だ。第1回監督作品『パーフェクトブルー』(1998年)は、海外で高く評価され、第2作『千年女優』(2002年)は公開前からドリームワークスによる全米配給権取得が決定したほどであった。さらに『千年女優』は第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、東京アニメアワード劇場映画部門最優秀作品賞、第6回ファンタジア映画祭(カナダ)最優秀アニメーション映画賞など内外の数々の賞を獲得した。
いまやクリエイター、今敏は「次に何をつくるのか?」と、全世界から熱い視線を一身に集める作家となった。その期待に応える最新作がソニーピクチャーズエンタテインメントが全米配給を視野に入れて送り出す『東京ゴッドファーザーズ』だ!
今敏監督のリアルさと誇張の両面を兼ね備えた鮮やかな映像テクニックは、まさにアニメーション・マジック。今夏、本作品は日本公開に先がけて、ニューヨークのBAAF(Big Apple Anime Fest)2003でもワールドプレミア上映が予定され、早くも参加者注目の的だ。
アニメーションという表現手段を駆使した今敏監督の最新作が、いまこそ世界を席巻する!

“ホームレス”だから発見できる“幸運の物語”

今敏監督が選んだ新作の題材は、“ホームレス”だ。
アニメは、宇宙、超能力、魔法と、日常から飛躍したものを描くことが多い。対する“ホームレス”は都会に暮らす者には日常的な存在そして、社会に捨てられ、すべてを失いゼロになってしまったと思われている人たちで、華やかなアニメ向きとは言いがたい。
だが、今敏監督のアニメーション・マジックは、ホームレス3人組を威勢よく温かくて輝かしい存在へと変えていく。捨てられた赤ちゃんを助けようと奮起する彼らの前には、次から次へと“幸運”が積み重なっていく、この“幸運”が、次の場所へ、次の出会いへと彼らを導いていく。そんなラッキーづくしのストーリー展開は、この映画の大きな見どころだ。
“幸運”とは、科学や論理では説明のつかないような出来事を意味する。幸運が重なり人を結びつけ、流れをつくり出していくのは、誰もが経験していること。しかし、目をそらしてしまえば、“幸運”はすぐに遠ざかってしまう……。
ホームレスは何もないゼロの存在なのだろうか。いや、彼らの方こそ活き活きとしており、東京の裏側の風景をよく知って生活する、たくましい人びとではないのか。そんな裏の存在だからこそ、活力を持っていて“幸運”を見つけられるという逆転の発想が、この映画を支えている。
そして、今敏監督の卓越した映像テクニックが、この発想に根拠とパワーを与える。現実そっくりに、汚れた部分まで細かく描かれた東京の風景。そこに確かに満ち満ちている“人の暮らし”の臭いの中で、哀愁に満ちたホームレス3人組がエネルギッシュに動き、“幸運”を見つけていくことで、驚きが生まれる。これぞまさに、今敏監督がアニメーションの限界を突破した瞬間なのだ。
『東京ゴッドファーザーズ』のアニメーション世界は、大都会の日常のベールをはがし、見失われがちな“幸運”の実像を浮き彫りにしていく。そこには、人としての“喜び”も隠されている。そんな温かな“幸運の物語”は、邦画の枠を越えて、世界中の観客の心を揺さぶるに違いない!

超豪華スタッフ陣、日本映画界
注目のキャストが集結!

今回の作品には、各界から超豪華スタッフ、キャストが参加している。
脚本は『カウボーイビバップ』『白線流し』などの代表作を持つ信本敬子。音楽は北野武監督最新作『座頭市』でも音楽を担当するムーンライダーズの鈴木慶一。
キャラクターデザイン(今敏と共同)と作画監督は『ホーホケキョとなりの山田君』『千年女優』の小西賢一。原画マンも『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』の作画監督・安藤雅司、『平成狸合戦ぼんぽこ』の作画監督・大塚伸治といった日本を代表するアニメーターが結集。今敏監督特有の繊密かつリアルな画面への要求に応え、さらにキャラクター崩しやオーバーアクションをふんだんに取り入れて、アニメーションの原点回帰的な動きの楽しさを見せてくれる。
アニメーション制作はマッドハウス。『アニマトリックス』、『バンパイアハンターD』、『メトロポリス』、『茄子アンダルシアの夏』といった、ダイナミックな映像感覚で数々の作品を送り出し、世界中て高く評価されているプロダクションだ。
キャストにも注目して欲しい。中年オヤジのギンちゃんはシェイクスピア劇の実力派俳優で『幻魔大戦』などアニメ映画への出演経験も持つ実力派俳優の江守徹。赤ちゃんへの愛を注ぐ元ドラッグ・クイーンのハナちゃんはTVバラエティやCMの人気者、WAHAHA本舗の梅垣義明が演じる。そして家出少女のミユキには『あずみ』での熱演が記憶に新しい岡本綾が声優初挑戦。ひと癖もふた癖もあるキャラクターに個性的な面々が生命を吹き込むことで、今敏監督の映像に独特の味わいが醸し出された。

ストーリー



白い雪に染まりいくクリスマスの東京の街…

新宿の町の片隅に、威勢よく生きているホームレスたちがいた。元競輪選手のギンちゃん(江守徹)、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん(梅垣義明)そして家出少女のミユキ(岡本綾)の3人組である。
聖なる夜に、運命の出会いは訪れた。

ゴミ袋の山の中から、大きな泣き声が聞こえてくる。そこには天使のような赤ん坊がいた。ギンちやんは捨て子だから警察に行けとわめくが、ずっと赤ん坊が欲しかったハナちャんは“清子”と名前も勝手に決めてしまった。
かくして3人の奇妙な名づけ親“ゴッドファーザーズ”は、捨て子の「親探し」を始めることになった……。

手がかりは、スナックの名刺と数枚の写真くらいと乏しい。だが、この子は幸運のプレゼントをもたらす赤ん坊なのだろうか、運命の出会いが次々と3人の前に訪れる。
電車に乗ったミユキは、豪雪で停止した反射側の車両に捨てたはずの父親がいることを発見し、あわてて逃げ出した。その途中で、思わず粉ミルクを全部こほしてしまったのに、墓場にそこには供えられたミルクがあった……
そんな偶然が偶然を呼び、幸運の連鎖が発生していく。
そして3人は、高級車と地面の間にはさまり苦しんでいたヤクザの男、太田を助けた。この出会いは、まさにラッツキー。太田の行き先とは娘の結構式で、その結婚相手こそが、探していたスナックのオーナー、ミツオだった。

しかし、喜びの出会いだけではない。ミツオはギンちゃんを破滅させた憎い借金取りだとわかった。怒りにうち震えながら、殴りかかろうとするギンちゃん。
その瞬間……突然現れたヒットマンが、拳銃を発砲!
ミツオは太田の盾となって銃弾を受け、倒れてしまった。
あわてたヒットマンはミユキと清子を連れ去り、残ったギンちゃんとハナちゃんは大喧嘩を始めて、一同はとうとう離ればなれに。「親探し」の旅もこれまでなのか……

みんなと別れたギンちゃんは、瀕死のホームレスを介抱していたところを中学生たちに襲われ、大ケガをしてしまった。一方、大事な家族を捜そうと懸命のハナちゃんは、執念でミユキと清子の行き先を発見し、感動の再会を果たす。
だが、この寒空では赤ん坊に野宿はさせられない。困り果てたハナちゃんは、かつての勤め先だったバー“Angel Tower”のドアをノックした。するとその中には、新たな驚きが待っていた。傷ついたギンちゃんが、運び込まれ手当てを受けていたのだ。しかも、新しい手がかりを持って……

ここまで幸運が重なれば、もう行くところまで行くしかない。3人いっしょの捜索が、もう一度始まった。
ついに清子の家らしき場所を突きとめたものの、すでにそこは廃屋……、めげずに転居先を突きとめている途中で、とうとうハナちゃんは血を吐いて倒れてしまった。
駆け込んだ病院にも幸運な出会いかあった。銀ちゃんの別れた娘が看護婦をしていたのである。
清子の家はもうすぐだ。そのとき、ハナちゃんとミユキの前に、川へ身投げしようとする女性が現れた。必死で助ける二人。その女性が、探していた写真の女、幸子だった。
最後の最後まで幸運続きの出会いによって、赤ん坊は無事に母親のもとに帰り、幸せが戻った……はずだった。

ところが、ギンちゃんが写真の男を訪ねてみて、驚くべき事実がわかった。清子は幸子の娘ではなく、病院から盗み出した赤ん坊だったのだ。
清子が危ない!

ふたたび合流したホームレス3人組。決死の赤ん坊救出は、はたして間に合うのだろうか……。

スタッフ

企画:丸山正雄
監督・原作・脚本・キャラクターデザイン:今 敏
脚本:信本敬子
音楽:鈴木慶一
演出:古屋勝悟
キャラクターデザイン・作画監督:小西賢一
美術監督:池信孝
撮影監督:須貝克俊
撮影:スタジオイプセ
音響監督:三間雅文
制作プロデューサー:豊田智紀
アニメーション製作:マッドハウス
製作:「東京ゴッドファーザーズ」製作委員会
配給:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント

キャスト

ギンちゃん:江守徹
ハナちゃん:梅垣義明
ミユキ:岡本綾

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