ホーリー・スモーク
原題：Holy Smoke
1999年12月3日アメリカにて初公開
1999年／アメリカ・オーストラリア／カラー／115分／ビスタサイズ／ドルビー・デジタル／6巻・3,145m 日本語字幕：岡田壮平／原作：新潮文庫刊 配給：松竹
2003年12月25日よりビデオレンタル開始 2003年12月25日よりＤＶＤ発売＆レンタル開始 2003年5月31日よりシネリーブル池袋、シアターイメージフォーラムほか全国公開
公開初日 2003/05/31
配給会社名 0003
解説
魂はどこから来たの?
私たちは、この世で何を得て、どこへ帰るの?
彼女は“特別な愛”からそれを知った——。
女性であることの哀しみと幸福を描き続けるジェーン・カンピオン監督の“感動的な”問題作!
１９９３年、カンヌ映画祭のパルム・ドールを獲得し、アカデミー賞でも９部門にノミネートされ３部門を受賞、その他にも数々の国際的な賞に輝いたジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』は、全世界を魅了した感動作として今も語り継がれている。目を見張るような美しい映像と心を揺さぶる音楽はもちろん、女性に対して封建的であった１９世紀のニュージーランドを舞台に、愛と精神の自由を手に入れようとするホリー・ハンター演じる主人公の姿に、国境や世代を超えて世界中の女性たちが胸を熱くしたのだ。続く９６年の『ある貴婦人の肖像』でもアカデミー賞2部門にノミネートされ、ジェーン・カンピオン監督は、女性であることの哀しみと幸福を激しく深く描き続ける真のアーティストとして認められた。
そして、待ち望まれたジェーン・カンピオン監督の次なる作品は、あまりにも衝撃的かつ感動的な“問題作”だった。全米で公開されるや否や、その大胆かつ奔放な性描写に話題騒然となったが、愛と性を通して“生きる”ことの真実に真正面からぶつかっていく一人の女性の姿にマスコミも大絶賛、ジェーン・カンピオン監督の勇気ある挑戦に惜しみない拍手が送られた。ジェーン・カンピオン監督が探求し続けるテーマが、さらに過激に深化した作品、それが本作『ホーリー・スモーク』である。
魂と肉体を注ぎ込んだ
ケイト・ウィンスレットの迫真の演技に全米マスコミが大絶賛！
若さと美貌に恵まれた魅力的な女性ルース。オーストラリアに住む彼女は、インドを旅行中に出会ったヒンズー教の導師に魅せられ、彼との結婚を願うほど熱狂的な信者になる。心配した家族は父親が危篤だと偽ってルースを連れ戻し、アメリカから洗脳を解く専門家Ｐ・Ｊを呼び寄せる。自信にあふれ人を惹きつける才能を持つ彼は、３日間でルースを元に戻すと約束、二人きりで砂漠の真ん中の小屋に閉じこもる。やがて魂と肉体をむき出しにして闘う二人の間に、誰も予想しなかった新たなる“関係”が生まれようとしていた……。
官能的な肉体に清冽で自立心旺盛な精神が宿るルースを演じたのは、『タイタニック』のケイト・ウィンスレット。全裸もいとわず、女優生命というよりも人間としての尊厳すらかけた迫真の演技で新境地を開拓、「現代最高の女優」と高く評価された。
マインド・コントロールを解くはずが、ルースとの出会いで１８０度違う人生に思い切り飛び込んでしまうＰ・Ｊ・ウォータースを演じるのは、『ピアノ・レッスン』『レッド・ドラゴン』のハーヴェイ・カイテル。数多くの作品で様々な役柄をこなしてきた彼だが、本作では初めての“ファッション”を披露してくれる。また、『ジャッキー・ブラウン』のパム・グリアがＰ・Ｊの秘書兼恋人という重要かつ印象的なキャラクターで登場している。
「賞賛すべきスペシャリストとしか
仕事をしない」カンピオン監督が誇る個性的なスタッフたち
スタッフには、ジェーン・カンピオン監督がその才能に惚れ込んだ、個性的な顔ぶれが集まった。ジェーンと共同で脚本を手がけたのは、自身も映画監督として活躍している姉のアンナ・カンピオン。考え方も性格も全く違う姉妹が脚本を練る上での“口論”が、この物語に複数の視点をもたらし、深みを与えた。オーストラリアの抜けるような空とどこまでも続く荒涼とした砂漠、インドのエネルギッシュな街をダイナミックな映像に捉えたのは、『シカゴ』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされたディオン・ビーブ。キャラクターの心の変化を色鮮やかな衣裳で表現、美術も担当したのは、『ピアノ・レッスン』『ある貴婦人の肖像』『オスカーとルシンダ』でアカデミー賞にノミネートされたジャネット・パターソン。
また、音楽はデヴィッド・リンチの『ブルーベルベット』以降、『マルホランド・ドライブ』までの全作品を担当し、『ツイン・ピークス』でグラミー賞を受賞した名作曲家アンジェロ・バダラメンティが手がけている。彼が作り上げた、本作のテーマを象徴する「心を乱す美しい不協和音」も聴き逃せない。
ストーリー
若さと美しさに満ち溢れた魅力的な女性、ルース（ケイト・ウィンスレット）。オーストラリアに住む彼女は、友達のプルーと一緒にインドを旅する。二人は好奇心からヒンズー教の導師ババの儀式に参加、ルースはそこで“自分の中の神秘の力”を感じ、インドに暮らしてババと結婚することを決意してしまう。
一人で帰ってきたプルーから事情を聞いたルースの母親ミリアム（ジュリー・ハミルトン）と父親のギルバート（ティム・ロバートソン）は専門家に相談、アメリカのカルト脱会請負人の第一人者P・J・ウォータース（ハーヴェイ・カイテル）を紹介される。ミリアムはギルバートが危篤だと偽り、インドのルースを訪ねる。ルースは父とは「来世で会える」と帰ることを拒むが、パニックに陥った母が倒れてしまったため、やむなく彼女に付き添って帰国する。
シドニーのサンスーシーの家に帰りついたルースはまもなく家族の嘘に気づいて激怒するが、兄のティム（ポール・ゴダード）とロビー（ダン・ワイリー）、ロビーの妻のイボンヌ（ソフィー・リー）も協力して、家族はルースをP・Jに引き渡すのだった。
黒ずくめの服装で颯爽と現れたP・Jは３日間で彼女の洗脳を解くと宣言、経験豊かで自信にあふれたP・Jと彼への挑戦的な態度を隠さないルースの闘いが始まった。
１日目 家族から引き離す
砂漠の真ん中の“避難小屋”に車で向かうＰ・Ｊとルース。Ｐ・Ｊは逃げられないようにルースから靴を取り上げる。まずはあくまで紳士的に語りかけるＰ・Ｊ。ルースの信じているババの教えは、さまざまな宗教家や哲学者がすでに繰り返し語っていることだと言葉巧みに説明する。ルースも臆せず反論、Ｐ・Ｊをバカにした態度を崩さない。
夜、イボンヌにルースの服を届けさせるＰ・Ｊ。イボンヌは一目見た時からＰ・Ｊに心酔、自分から誘ってＰ・Ｊと関係を持つ。
2日目 朝 心の支え“サリー”を奪い取る
ルースが寝ている間に彼女のサリーを奪い、小屋の屋根の上のアンテナに結び付けるＰ・Ｊ。昨日とは一転、攻撃的な態度でルースの信仰を否定する。Ｐ・Ｊはインドでの体験談を語る。妻の裏切りにショックを受けて自殺しようとした時に宗教家のシンと出会い帰依したが、彼はＰ・Ｊの身体目当てのインチキだったというのだ。素直に耳を傾けるルースに気を良くしたＰ・Ｊだが、ミリアムからの電話に激昂する。ルースは小屋の前の石を並べて「助けて」の文字を作っていた。それを見たパイロットがミリアムに通報したのだ。
2日目 夜 カルト教団の報道ビデオを見せる
家族の元にルースを連れて行くＰ・Ｊ。みんなと一緒にビデオを見るためだ。テレビの画面に、クレイジーなカルト集団の行いが次々と映し出される。ルースは途中で立ち上がり、奥の部屋で声を上げて泣く。
小屋に戻るルースとＰ・Ｊ。夜中、物音に気づいたＰ・Ｊが外へ出ると、全裸のルースが屋根のサリーに火を放ち、泣いている。「心の中のものが消えたわ。あの愛も消えてしまったの」「頑張ったな」と優しく声をかけるＰ・Ｊ。「怖いの。キスして」心がからっぽになってしまったルースは、Ｐ・Ｊを求める。依頼人とは寝ないことを信条としていたＰ・Ｊだが、ルースの衝撃的かつ扇情的な行動がきっかけで、魅入られたように自らの欲望を解放してしまう……。
3日目 秘密の扉を開けてしまった二人
３日間の対話が終わり、洗脳は解けた。
しかし、二人は気づいていた。まだ何も答えは出ていない、と。
ルースには家族が、Ｐ・Ｊには秘書で恋人のキャロル（パム・グリア）が迎えにくるが、二人は小屋にとどまる。
愛とは？ 欲望とは？ 生きることの真の意味とは？
今、二人の男女が魂と肉体をさらけ出し、
かつて誰も経験したことのない
新たなる関係を生み出そうとしていた……。
スタッフ
監督：ジェーン・カンピオン
プロデューサー：ジャン・チャップマン
製作総指揮：ボブ・ウェインスタイン、ハーヴェイ・ウェインスタイン、ジュリー・ゴールドスタイン
脚本：アンナ・カンピオン、ジェーン・カンピオン
共同製作：マーク・ターンブル
撮影監督：ディオン・ビーブ
美術・衣裳：ジャネット・パターソン
編集：ヴェロニカ・ジェネット
音楽：アンジェロ・バダラメンティ
キャスト
ルース・バロン：ケイト・ウィンスレット
Ｐ・Ｊ・ウォータース：ハーヴェイ・カイテル
ミリアム：ジュリー・ハミルトン
ギルバート：ティム・ロバートソン
イボンヌ：ソフィー・リー
ロビー：ダン・ワイリー
ティム：ポール・ゴダード
ヤニ：ジョージ・マンゴス
プルー：サマンサ・マリ
スタン：オースティン・テイシュス
ファビオ：サイモン・アンダーソン
キャロル：パム・グリア
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