原題:The Recruit

2003年1月28日全米初公開

2003年/アメリカ/115分/シネマスコープ・サイズ/ドルビーSRD 提供:タッチストーン・ピクチャーズ、スパイグラス・エンターテインメント 配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)

2004年07月14日よりビデオレンタル開始 2004年07月14日よりDVD発売開始 2004年1月17日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

公開初日 2004/01/17

配給会社名 0069

解説


将来有望なジェイムズ・クレイトンにとって、《CIA》とは数ある就職先のひとつに過ぎなかった。彼がCIAを選んだ理由は、平凡なエリート生活では味わうことのできないスリルと充実感。そして、不審な死を遂げた父の謎を解明できるかもしれないという、かすかな期待。しかし、《ファーム(農場)》と呼ばれる特別訓練基地で待っていたのは、想像を絶する過酷な訓練と、愛でさえ利用する非情なマインド・ゲームだった。やがて彼はCIAの不文律を痛烈に思い知らされる。「何ひとつ信じるな。自分の五感でさえも」——だが、ジェイムズはまだ知らなかった。その言葉に隠された本当の意味の恐ろしさを。そして、彼の周囲に巧妙にはりめぐらされた、戦慄の《罠》を…。
「13デイズ」の鬼才ロジャー・ドナルドソン監督が、CIAの《新人発掘》と《スパイ養成》という未知の領域にカメラを入れ、手に汗握る超一級のサスペンスを誕生させた。それは、全ての真実が一瞬にして《罠》と化す、衝撃の《トリック・サスペンス》——CIAにリクルートされたエリート学生、ジェイムズ・クレイトンに仕掛けられた恐るべき陰謀が、スピード感に満ちた展開と驚愕のエピソードの連続で描き出される。
ひとりの優秀な青年が、いかにしてCIAにリクルートされ、いかにしてスパイとして訓練されていったか——?その非情にして過酷なプロセスを経て、ついに初のミッションが下される。それは、ジェイムズと共にCIAに採用された《二重スパイ》の摘発。しかも、ターゲットは彼が最も愛する女性だった。だが、その任務でさえ、彼自身を陥れるための罠だとしたら…?
耳にした言葉が、信じていた心が、そして愛した人が、瞬時にして彼を欺き、裏切っていく。まるで蟻地獄に落ちていくような底知れぬ恐怖と闘いながら、ついにジェイムズがたどり着いた驚くべき真相とは——?
ジェイムズ役を演じるのは、「マイノリティ・リポート」「フォーン・ブース」などで躍進目覚しいコリン・ファレル。彼の才能を発掘し育てるCIA教官、ウォルター・バーク役に、圧倒的なカリスマ性を放つアル・パチーノ。2大スターの白熱の競演が、ドラマの鍵を握るジェイムズとバークの師弟関係に緊迫感をみなぎらせ、観客は片時も目を離すことができない。
また、ジェイムズと恋に落ちる訓練生レイラには、「コヨーテ・アグリー」「トータル・フィアーズ」のブリジット・モイナハン。強い意志と繊細さが同居した魅力的なヒロイン役で、鮮やかな印象を残している。
監督は、「追いつめられて」で“国防総省”を、「13デイズ」では“ホワイトハウス”を舞台に迫真のドラマを創り上げたサスペンスの鬼才ロジャー・ドナルドソン。本作では、これまで何度も映画で扱われてきた“CIA”という題材に、《新人リクルート》というかつてない視点から鋭く切り込み、斬新な新境地を開拓することに成功した。
そして何より、本作品に驚異的なリアリティをもたらしたキー・パーソンは、CIAのスポークスマンであるチェイス・ブランドンだ。彼は、CIAの施設から新人採用の複雑なプロセスに至るまで、極めて貴重な情報をフィルムメイカーたちに提供。その結果、彼自身が「過去の数多くの映画の中でも、より正確にCIAの様子を描き出している」と保証するほどに、映画はその実像に迫ることができたのである。
一瞬たりとも目を離してはならない——スクリーンから。一瞬たりとも心を許してはならない——その登場人物たちに。全編に仕掛けられた無数の《罠》を、果たして観客はいくつ見破ることができるだろうか?このゲームのルールは、唯ひとつ——
「信じるな。自分の五感でさえも」…

ストーリー


ジェイムズ・クレイトンは全米屈指の大学MIT(マサチューセッツ工科大学)の中でも最も優秀な学生であり、卒業後はコンピュータ業界での成功を約束されている。何もかもが順調な彼の人生だが、ひとつだけ、忘れることのできない過去があった。それは、1990年にペルーの墜落事故で消息を絶った父親のことだ。父はシェル石油の社員として世界中を飛び回っていたが、その事故には余りにも不審な点が多く、ジェイムズは今なおインターネット上で情報提供を求めていた。
卒業を控えたある日、ジェイムズはアルバイト先のバーで謎めいた男と知り合う。その男ウォルター・バークは、CIAのベテラン教官であり、採用担当者であった。彼はジェイムズに関するあらゆる情報を入手しており、その能力を買ってリクルートにきたのだという。初めはとりあわないジェイムズだったが、バークは《父の死》というウィーク・ポイントまで見抜いていた。父が実はCIAであったことを暗にほのめかされ、ジェイムズはバークの誘いを無視できなくなる。長年にわたり求めていた答えがCIAにあるのならば、そのリクルートを断る理由があるだろうか?
有名企業の誘いも振り切り、CIAの採用試験と面接を突破したジェイムズ。その潜在能力は、確かにバークの見抜いた通りだった。人並み外れた頭脳と、俊敏な運動能力、そして、冷静な判断力と、いざという時の大胆さ…ジェイムズにはバークが望む全てが備わっていた。
しかし、《ファーム》と呼ばれるCIAの特別訓練基地でのトレーニングは想像を絶するものだった。ここでのルールは、「何も信じるな—親友も、自分の五感でさえも」。訓練生たちはここで1日24時間、人を欺くための全てを叩き込まれるのだ。極度の人間不信によって人格まで破壊されそうな日々の中、ジェイムズは美しく優秀な訓練生レイラに惹かれていく。それは、過酷な訓練に耐える彼にとって、唯一の安らぎだった。
ある日、バークは訓練生たちをバーに連れ出す。ミッションは、一人につき一人ずつ見知らぬ女性を誘惑して店から連れ出すこと。ジェイムズもターゲットを物色するが、意外な人物をみつけて驚く。それは、泥酔したレイラだった。訓練生を辞めさせられたと自棄酒をあおる彼女を、ジェイムズは優しく介抱する。気分が悪いという彼女を外に連れ出したその時、バークの声が—「作戦完了」。レイラのミッションはジェイムズを妨害することであり、ジェイムズはまんまと罠にかかったのだ。人を愛する心でさえ、CIAにとっては付け込むべき弱点でしかないのだ。自分が足を踏み入れた世界の非情さにジェイムズは戦慄し、レイラヘの怒りをむき出しにする。その怒りはすなわち自分への愛の裏返しと気づいたレイラは、心から謝罪し、この事件がきっかけで二人の間に真実の愛が芽生えていく。
訓練も最終段階に入り、ジェイムズたちにも余裕が生まれていた。次なる訓練は、尾行。二人一組になり、ターゲットである《ウサギ》を追う。レイラと組んだジェイムズは、マニュアル通りにミッションをこなしていた。しかし、突然に不審な男たちが襲いかかり、ジェイムズを車で拉致してしまう。気づいた時には、彼は冷たいコンクリートの壁に囲まれた部屋に縛られていた。《ファーム》の情報を求める敵に、「これはテストなんだろ?」と答えるジェイムズ。だが、敵は彼を様々な拷問にかける。自分の身に起こったことが信じられずに、それでも口を割るまいと必死で耐えるジェイムズだったが、レイラも捕らわれていると聞かされ、彼女の身を案じて《ファーム》の首席教官の名を叫ぶ。「バークだ!教官の名は、バーク!」—その時、ふいに目の前の壁が開き、そこには青ざめた顔の訓練生たちと、したり顔で解説をするバークの姿が…。
「拷問が人に与える影響を、諸君に見せておきたかった。この訓練の教訓は、CIAの最重要ルール—」“決して捕まるな”だ」。
この直後に訓練から外されたジェイムズは、モーテルの部屋で酒に溺れる。翌朝、彼の部屋をノックしたのはバークだった。バークは、ジェイムズを辞めさせたのは特殊任務に就かせるための《偽装》であり、過去15年間の訓練で、誰よりも長く拷問に耐えたジェイムズこそ、NOC《秘密工作員》にふさわしいと語る。さらに、今回のミッションにジェイムズを指名した特別な理由があった。それは、レイラ—。特殊任務とは、実は《二重スパイ》としてCIAに潜入しているのだというレイラの黒幕を暴くことなのだ!
「彼女は君を信じ、愛している。その信頼と愛に応え、利用しろ」…バークの命令を、ジェイムズは拒絶することもできた。だが、結局はバークの指示通り、一般職員としてCIA本部に潜入する。「情報が何よりも大事なのだ。彼女よりも、自分自身よりも。それが我々の仕事だ」。“我々の”仕事…バークが、そしておそらくは父が命を賭けた仕事を、拒むことはできない。
再会したレイラとよりが戻るまでに、時間はかからなかった。心を許さず、しかし決して見せかけではない情熱をもってレイラを抱擁するジェイムズ。彼はまだ気づいていなかった。「何も信じるな」というCIAのルールに隠された、本当の意味の恐ろしさを…。

スタッフ

監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロジャー・タウン、カート・ウィマー、ミッチ・グレイザー
製作:ロジャー・バーンバウム、ジェフ・アップル、ゲイリー・バーバー
製作総指揮:ジョナサン・グリックマン、リック・キドニー
撮影監督:スチュアート・ドライバーグ
プロダクション・デザイナー:アンドリュー・マッカルパイン
編集:デヴィッド・ローゼンブルーム,A.C.E.
音楽:クラウス・バデルト
衣装デザイナー:ベアトリス・アルナ・パッツアー

キャスト

ウォルター・バーク:アル・パチーノ
ジェイムズ・クレイトン:コリン・ファレル
レイラ・ムーア:ブリジット・モイナハン
ザック:ガブリエル・マクト
ロニー・ギブソン:マイク・レルバ
デニス・スレイン:カール・プルーナー

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