原題:Tears of the Sun

“命令違反” それでも私は、あなたたちを守りたかった——。

2003年3月7日全米初公開

2003年/アメリカ/カラー/118分/ 配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)

2007年11月07日よりDVDリリース 2007年06月27日よりDVDリリース 2004年12月22日よりDVD発売開始 2003年10月25日、日劇1ほか全国ロードショー公開

(c) Revolution Studios Distribution Company, L.L.C. All Rights Reserved.

公開初日 2003/10/25

配給会社名 0069

解説


時に人は、理屈では説明のできない決断をすることがある。それが自分の利益になるどころか、明らかに不利益を及ぼすとわかっていても、他人からみたら《暴挙》としか思えない行為に駆り立てられてしまう瞬間がある。だが、アメリカ海軍特殊部隊シールのエリート、ウォ一夕ーズ大尉にとって、その決断は文字通り生命をかけたものとなってしまった。「女性医師リーナ・ケンドリックスを救出せよ」—このごくありふれた作戦が、これまで任務成功率100%を誇ってきた彼とその7人の部下たちの運命を変えた。ケンドリックス医師の懇願によって、運命に見放され死を待つだけの難民たちも一緒に救出するために、彼らは《命令違反》を犯す。軍に背を向けた彼らは、救援もないまま300人もの敵が待ち受ける武装地帯を突破しなければならない。「何のために?」…言葉にできる理由などなかった。人として、ただ良心の命じるままに、ウォーターズは死地を駆け抜ける…。
ブルース・ウィリス主演最新作の「ティアーズ・オブ・ザ・サン」は、内戦下のナイジェリアを舞台に、軍に背いてまで自分の良心に従い、決死の救出作戦を敢行した男の勇気と、愛を超えた信頼の絆を描いた感動の人間ドラマである。
監督はデンゼル・ワシントンにアカデミー賞主演男優賞をもたらした「トレーニング・デイ」で高い評価を受けたアントワン・フークワ。その抑制の効いたストイックな演出の中から溢れ出すヒロイズムが、観る者の心を深く揺さぶる。
「ウォ一夕ーズが経験するのは、肉体的な意味での旅立ちだけでなく、魂の旅立ちでもある。難民たちとその苦難に接して、彼が変化していくのがわかる。冷徹な男として登場した彼が、物語を通して最後には、これらの人々と愛し合うようになるだけでなく、再び人間らしさを取り戻していくのだ」と語るブルース・ウィリスは、本作の製作に6年もの歳月を費やした。この脚本はもともと「ダイ・ハード」シリーズ4作目として用意されたが、ストーリーが内包する深いテーマ性と作品のスケール感を重視し、独立した企画として完成させることに決定したという経緯がある。その結果、作品自体のテイストは格段にシリアスなものとなったが、自分の意に反して渦中に巻き込まれながらも、そのために必死に闘う「ダイ・ハード」シリーズのジョン・マクレーンのキャラクター設定は、そのまま主人公ウォーターズ大尉の中に見い出すことができる。
軍隊こそが全てであったウォーターズ大尉の人生のターニング・ポイントとなるのが、女性医師リーナ・ケンドリックスとの出逢いである。難民を救いたいという彼女の強い意志と情熱は、ウォー夕ーズ大尉の心の壁を打ち砕き、途方もない冒険へと彼を駆り立てる。演じるのは、「マレーナ」「マトリックスリローデッド」のモニカ・ベルッチ。ファム・ファタールにふさわしい崇高な美しさが、戦場の中でひときわ心に沁みる。
製作総指揮はレボリューション・スタジオを率い、「ブラックホーク・ダウン」にアカデミー賞2部門受賞をもたらしたジョー・ロス。製作は「プライベート・ライアン」でゴールデン・グローブ賞受賞のイアン・ブライス。また、「グラディエ一夕ー」「パール・ハーバー」「ライオン・キング」など、映画音楽史を飾る数々の名曲で知られるハンス・ジマーが、彼の輝かしいキャリアの中でも最もエモーショナルなスコアによって、ドラマの感動をさらに盛り上げている。
テイアーズ・オブ・ザ・サン—太陽ですら涙を流し、神からも見放された過酷な運命に、敢然と立ち向かった者たちがいた。絶望の大地に植えられた希望の種となるために、彼らは軍人であるよりも人であることを選んだ。「何のために?」—その答えは、きっとひとりひとりの心の中に…。

ストーリー



何が彼をそんなにも無謀な行為に駆り立てたのだろうか?—アメリカ海軍特殊部隊シールのA.K.ウォーターズ大尉にとって、人生とは軍隊のことであり、ミッションの遂行こそが生きる目的の全てだった。過去23年間にわたる軍人としての輝かしいキャリア—そのほとんどが、記録に残ることのない極秘作戦であった—が、彼をそのような人間に鍛え上げたのである。いまや彼は7人の戦術スペシャリストを率い、任務遂行率100%を誇る精鋭部隊の隊長として、ロード司令官の絶大なる信頼を得ていた。その彼が、何のために…?
百戦錬磨のウォーターズにとって、それは一見ごくありふれた任務に思われた。「内戦下のナイジェリアから、アメリカ国籍の女医リーナ・ケンドリックスを救出せよ」。クーデターによって大統領一家を殺した反乱軍は暴虐の限りをつくし、生命の危機にさらされた外国人は次々と国外に脱出。だが、国際的な医療奉仕団のスタッフとして内戦の犠牲者の治療にあたるリーナは、いまなお辺境の村の教会に留まっており、そこに反乱軍が進軍しているという情報が入ったのである。
ウォーターズと7人の部下は、リーナが治療にあたっている教会に易々と到着した。あとは彼女を連れて12km先にある軍用ヘリとの合流地点に移動するだけ…。だが、思わぬトラブルが発生した。彼女が、患者を置いてひとり逃げるのを拒否したのである。難民の救助は内政干渉にあたり、重大な命令違反となる。だが、リーナの燃えるような瞳は、ウォーターズに「No」と言わせない力を秘めていた。70名の患者の内、歩行可能な者だけを連れて、一行は合流地点に向けて歩きだした。
負傷した難民を率いて夜のジャングルを進むのは、想像を絶する困難を伴った。しばらくして反乱軍の気配を感じた一行は、足を止め、息をひそめた。敵は気づかずに通りすぎようとしたが、一人の兵士がリーナを発見し、銃口を向ける。だが、引き金を引く寸前にウォーターズのナイフが彼の喉を切り裂いた。「命を助けてくれてありがとう」と感謝する彼女に、ウォーターズは「重要なのは、任務の遂行だ」と冷たく答える。
一行は、なんとか無事にヘリの合流地点に到着。だが、ウォーターズはヘリにリーナだけを力づくで乗せ、難民を置き去りにして飛び立った。「私をだましたのね!」激怒するリーナだったが、すでに後の祭りだった。やがてヘリは、患者を残してきた教会の上空にさしかかる。そこには、地獄のような光景が…。神父も、シスターも、そして患者たちも、ひとり残らず虐殺され、後には血塗られた静寂だけが残されていたのだ。絶望に打ちひしがれるリーナ。言葉を失ったウォーターズは、部下たちの顔を見回す。それぞれが、ひとつの決意を無言で物語っていた。眼下に広がる地獄図は、自分たちが置き去りにした難民たちのたどる運命なのだ…。ウォーターズは23年間の軍隊生活の中で、初めての命令違反を犯す一言を発した。「ヘリを戻せ…!」
難民を発見したウォーターズは、子供と重症者をヘリに乗せて、カメルーン国境まで運ばせることにした。無電で司令官のロード大佐に追加のヘリの救援を要請するが、大佐は耳を貸そうとしない。難民救助はアメリカ政府にとって重要な外交問題となりかねない。しかも、戦闘が激化したため、ヘリを飛ばすことができないというのだ。
8人のソルジャーと、1人の女医、そして28人の難民が、敵地の真っ只中にとり残された。軍に見放され、恐らくは神からも見放されて…。カメルーン国境まで約60km—ヘリならば20分で到着するものを、険しい山を越え、徒歩で進まなければならないのだ。しかも、300人を超える反乱軍が執拗に彼らを追っていた。ただの難民を追跡するには、執拗すぎるほどに…。
小高い丘に到着した一行は、行く手の村から聞こえる銃声と悲鳴に凍りつく。反乱軍だ!罪のない村人たちを虐殺し、女たちをレイプし、家々に火を放つ彼らの残虐さを、ウォーターズとその部下たちは見過ごすことができなかった。戦闘配置についた8人の精鋭部隊は、瞬く間に反乱軍を制圧。それは、軍のミッションを逸脱した、彼らの魂のミッションだった。
再び前進を開始した一行だったが、反乱軍はさらにその追跡のペースを速めており、このままではあと1〜2時間で接触してしまう。ウォーターズは難民の中に反乱軍のスパイがいると察知し、送信器を隠し持った男を捕らえる。家族を人質にとられた彼は、自分たちの居場所を反乱軍に通報していたのだ。だが、なぜ反乱軍はそこまでして自分たちを狙うのか?
事実は衝撃的なものだった。殺された大統領の息子で、反乱軍と敵対するイボ族の後継者であるアズーカが、難民を装い一行と行動を共にしていたのである。アメリカ政府は外交問題を恐れて決して彼の救出を認めないだろう。そして、反乱軍は彼の息の根を止めるまで、地の果てまでも追いかけてくるはずだ。
ウォーターズは7人の部下にひとりずつ、彼らの取るべき道を尋ねた。軍の命令に従い、難民を見捨てて国境を越えるか。それとも…。「隊長、あなたに従います」。ウォーターズたちの答えは、明らかだった。
決死の救出作戦が、開始された。全ての難民に武器が渡され、目前に迫った国境を目指す。だが、敵はすでに増援部隊を得て、その行く手に先回りしていた。飛び交う銃弾の中、進軍を開始する8人の男たち。何が彼を、そして彼らを、そんなにも無謀な行為に駆り立てたのだろうか?いったい何のために…?言葉にできる理由などなかった。彼らはすでに軍人ではなく、一人の人間として魂の命じるままに戦っていたのだから…。
一人、また一人と部下たちは倒れていった。ウォーターズも無数の銃弾を体に浴びながら、爆風に飛ばされ意議を失ったケンドリックスを必死で抱きかかえ歩き続ける。その時—。

スタッフ

監督:アントワーン・フークア
製作:イアン・ブライス、マイケル・ロベル、アーノルド・リフキン
製作総指揮:ジョー・ロス
脚本:アレックス・ラスカー、パトリック・シリーロ
撮影:マウロ・フィオーレ
音楽:ハンス・ジマー
プロダクション・デザイン:ナオミ・ショーハン
編集:コンラッド・バフ,A.C.E.
衣裳デザイン:マーリーン・スチュワート

キャスト

A.K.ウォーターズ大尉:ブルース・ウィリス
リーナ・ケンドリックス:モニカ・ベルッチ
レッド:コール・ハウザー
ジー:イーモン・ウォーカー
レイク:ジョニー・メッスナー
スロー:ニック・チンランド
シルク:チャールズ・イングラム
ドク:ポール・フランシス
フリー:チャド・スミス
ロード大佐:トム・スケリット
シスター・グレイス:フィオヌラ・フラナガン
サディック大佐:マリック・ボーウェン
アーサー・アズーカ:サンミ・ロティビ

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