2003年/日本/カラー/ 配給:日活

2003年07月11日よりビデオレンタル開始 2003年07月25日よりDVDリリース 2003年4月12日より新宿東映パラス3にてロードショー公開 2003年3月29日より大阪・千日前国際シネマにて公開

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公開初日 2003/03/29

公開終了日 2003/04/11

配給会社名 0006

解説


静かなる慟哭、炸裂する特攻魂

大小様々な噴火か絶え間なく起こり、溶岩ならぬ悪政の膿が噴出し続けている現代日本社会。そこに大きな危険をおかし、自己犠牲とも言うべき信念で巨大組織に立ち向かう人々がいる。この物語は、ある一人の男の信念の物語である。第ニ次世界大戦の終結間際に、一人の特攻兵士の胸に灯された火種。その小さな火種が業火となって全てを焼き尽くすまでの、激しい道のりを描いた物語である。

戦後50年、激しく交錯する人間模様

終戦後の日本。軍刀で群がる愚連隊をなぎ倒し、“人斬り銀次”として恐れられた男がいた…。かつて特攻出撃寸前で終戦を迎えた特攻隊の生き残り曾根崎銀次、29歳。銀次は収監され、それから50年が過ぎた…。2003年、銀次は突然釈放され、変わり果てた現代社会に放り出される。そして銀次の釈放を機に、闇の世界が蠢き始めていた…。
今や内閣総理大臣・池脇を影で采配する黒川は、銀次が「あの事件」の真相を告発するのを恐れ、銀次を監視する。財界の大物・大牟田は、銀次をそそのかして黒川を亡き者にしょうと画策する。さらに財界の大物と癒着する池脇総理。銀次は、彼の過去を聞きたがる謎の女・美代子や、若い韓国人・朴らと新しい人間関係を作り始め、彼らの温かさに触れて人間性を取り戻してゆく。だが彼には、どうしても死ぬ前にやり遂げなければならないことがあった…。ぬぐい去れない戦争の傷跡を背負い、いつしか抜けだせない闇に取り巻かれてしまった人間たちが、激しく、そして哀しい人間ドラマを展開する。

熱く激しいドラマを作り上げた演技派キャストとスタッフ

現代と過去の事件が目まぐるしく交錯するこのドラマには、二人の銀次が登場する。国のために特攻兵として魂を捧げる若き日の曽根崎銀次に、近年、演技派として大きな進展を見せる竹内力。聖戦の暗部に絶望し、憤怒の鬼と化すまでを、入魂の演技で魅せる。もちろん日本有数のアクションスターと謳われる所以の斬り込みシーンは最高の切れ味。

50年後、大きな心の傷を抱えて社会に放り出された老年の曾根崎銀次に、熟練の演技派・夏八木勲。かつて『あゝ同期の桜』(67年)で鶴田浩二、高倉健らと共演。妻子を残して出撃する特攻兵を演じ、『宣戦布告』(02年)では北東人民共和国特殊作戦部隊の脅威に苦悩する内閣情報調査室長を』演じた夏八木が、今度は特攻の生き残りが自らの過去を見つめ、告発の勇気を持って現代社会を生き抜いていく様を哀切と怒涛の男気で演じる。

銀次が事件を起こすきっかけとなり、今や元総理大臣として影で政界を仕切る男・黒田に、『T.R.Y.トライ』(03年)『ALIVE-アライヴ』(03年)などに出演する石橋蓮司。制服姿も凛々しい若き日の黒田に『風花』(00年)などの映画や舞台で活躍の場を広げる鶴見辰吾。謎の財界人・大牟田鬼兵衛役で、麿赤児が貫禄の演技を見せる。

銀次の因縁の仇“土蜘蛛“には『シャドー・フュ−リー』(02年)での肉体派アクションも記憶に新しい元格闘家、船木誠勝。竹内力との衝撃の対決シーン、ワイヤーアクションは必見。また、金と欲の政策に奔走する池脇総理大臣に、円熟味を増した古尾谷雅人。銀次を残して特攻する兄・一之進を、今春NHK大河ドラマ『武蔵』に出演する期待の俳優・永澤俊矢が演じる。

また、『月光の囁き』(99年)で第21回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞ほかを獲得した演技派女優・つぐみが、銀次と不思議な因縁をもつ女性、美代子を熱演する。銀次の唯一の友人となる若い韓国人・朴斗漢に、『新・空手バカ一代』
(03年)が控える益子智行が扮し、ユーモアと人間味溢れる人物を好演する。

これた豪華なキャストを一つにまとめ、戦争という歴史が狂わせた、切実なまでに激しく、哀しい男たちの人間ドラマを創り上げた監督は、『大怪獣東京に現わる』(98年)、『新・影の軍団』(03年公開予定)の宮坂武志。大胆で斬新なアクションと豊かな発想の演出で描く“男の世界”には定評があり、本作でもその才能を如何なく発揮している。

そしてロックバンドROGUE(ローグ)で90年まで活動し、その後音楽活動と俳優活動を続けている奥野敦士による主題歌「エンドレス フルムーン」(アルバム「永遠に満月」<FLME>より)が、心に沁み入る歌詞で本作のラストを飾る。

ストーリー


1953年(昭和28年)。
鮮血にまみれた軍刀を手に、たった一人で群がる愚連隊を斬って倒した男がいた。
曾根崎銀次(竹内力)、29歳。
その後50年の永きに亘り服役した曾根崎…、通称“人斬り銀次”の娑婆での最後の姿だった。

<娑婆に放り出されて…2003年(平成15年)>
79歳の銀次(夏八木勲)は、突然釈放される。心に抱えた大きな傷、そして腹にも切腹に失敗した時の大きな傷。更正保護施設を退去させられ、ホームレス暮らしをはじめる銀次。無愛想な偏屈老人として仲間にも敬遠されるが若い韓国人・朴斗漢(益子智行)だけが、何くれとなく世話を焼く。そんな銀次に接近する女がいた。フリージャーナリスト・来生美代子(つぐみ)は銀次から、現在、政界の黒幕として君臨している黒田宗靖(石橋蓮司)と銀次の過去を聞き出そうとする。それは今なお銀次の胸の中で燠火となってくすぶり続けている、壮絶な過去であった。

<特攻の生き残り…1945年(昭和20年)〜1953年(昭和28年)>
終戦間近の鹿児島県南端、海軍鹿屋基地。銀次と兄・一之進(永澤俊矢)は特攻兵として出撃を控えていた。先に出撃命令が下りた一之進は帰らぬ人となり、終戦が告げられた。絶望感で切腹しかけた銀次を若き上官・黒田宗靖(鶴見辰吾)が救う。その後、銀次は黒田のビジネスを手伝うようになった。南方帰りの不気味な兵隊くずれ、通称・土蜘蛛(船木誠勝)が黒田の周辺で動いていた。ある日、ふとしたことから銀次は黒田の闇商売の真相を知る。全身を怒りに染めて、側近の愚連隊を斬りまくる銀次…。

<動く政界、蠢く極道…2003年(平成15年)>
元総理、政界の黒幕、黒田宗靖。現・内閣総理大臣・池脇(古尾谷雅人)を操る彼の目下の問題は憲法第9条改正案だ。だが、恐るべきは釈放された銀次の告発。「あの事件の真相」が暴露されたら全てが破綻する。黒田、財界の大物・大牟田鬼兵衛(麿赤兒)、そして内閣総理大臣」・池脇。金と欲と「過去」が、銀次の人生を大きく狂わせてゆく—!

スタッフ

監督:宮坂武志
製作代表:仁平幸男、猿川直人
企画・原案:石田幸一
企画プロデュース:服巻泰三、安村重幸、佐谷秀美
プロデュース:片嶋一貴
脚本:吉川次郎
音楽:奥野敦士
撮影:富田伸二
照明:佐藤才輔
美術:塩田仁
録音:菊池信之
編集:矢船陽介
音響効果:丹雄二
助監督:江良圭
製作担当:山邊博文、大日方教史
脚本協力:矢口義文
スタントコーディネーター:辻井啓伺
ビジュアルエフェクト:オムニバス・ジャパン
製作:株式会社ケイエスエス、日活株式会社
製作プロダクション:スープレックス、エムアールピー
配給・宣伝:日活
宣伝協力:アルゴ・ピクチャーズ

キャスト

竹内力
夏八木勲

つぐみ
益子智行
船木誠勝
麿赤児
松井涼子
嶺乗崇
水上竜士
金子政
大久保貴光
崎山凛
館昌美
永澤俊矢
古尾谷雅人
鶴見辰吾
石橋蓮司

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