2002年/日本/カラー/35mm/82分/ 配給:スローラーナー

2005年05月03日よりDVDリリース 2004年12月03日よりビデオレンタル開始 2004年1月10日よりテアトル新宿にてお正月第一弾レイトショー! 連日21:20より1回上映 (同時上映:『夢で逢えたら』七里圭監督作品)

公開初日 2004/01/10

配給会社名 0048

解説


ふたりぼっちが見た夢は、雪原に花火があがる夢でした。

◆この世界にふたりぼっちで生きていく、姉と弟。幼いクリスマスの夜、謎の炎に包まれて、姉弟の両親は突然逝ってしまった。そこから始まる二人きりの生活。行き過ぎた愛情を止めることが出来ない弟と、彼のもとを去ろうとする姉。しかし、これは現実なのだろうか?物語の時間は前後しズレを生みはじめ、そして最後には雪原の空一面に花火が打ち上げられるのだ。二人の新たな出発を祝福するかのように。
安寿子と寿司夫。
これは、両親を失ったあの日から、二人が見続けている夢なのかもしれない…。

◆監督は、廣木隆一監督などの助監督をつとめ、デビューが待ち望まれていた新人・七里圭。
出演は、『M/OTHER』(監督:諏訪敦彦)の梶原阿貴、NHKロシア語講座等で熱狂的なファンを獲得し、演技のみならずイラストレーションでも多彩ぶりを発揮する塩田貞治。
現在公開待機作が目白押しの注目俳優大森南朋。
その他、名優・佐藤允、三浦友和らが脇を固める。
美しく、脆い、ガラスのような姉と弟の物語。

ストーリー


夜空に花火があがる。
雪原を駈けてくる男がいる。
そして、燃える家。

クリスマスの夜。恋人、一男とも会えずにひとり残業をしている安寿子の携帯が鳴る。それは、もうしばらく連絡をとってもいない弟、寿司夫からの電話だった。
「本届いた?」
確かに、寿司夫から本が届いていたのだ。電話は迷惑だ、という安寿子に寿司夫は言う。
「だから、俺、今夜死ぬことにするよ」
寿司夫が書いた本『のんきな姉さん』には、こんなことが書いてあった。
この世界にたったふたりぼっちで生きていく、ひとりの姉と、ひとりの弟のめぐりめぐる愛の物語。幼い頃、とあるクリスマスの夜、謎の炎に包まれて、突然姉妹の両親は逝ってしまった。そこから始まった以来十数年の、二人きりの生活の末、姉の身体に変調が起きる。過去の悲劇に閉ざされた生活。いつしか姉を愛した弟。しかし、弟は、姉の妊娠の事態になすすべを知ららない。また、そんな弟を愛する姉は、お腹の子供の父親が彼であることを否定し、弟の元を去る…。
この本を読んだという課長が言う。
「君たちは狂ってるよ。狂ってるが美しい。それでいいじゃないか」
「課長、これは小説です。現実と混同しないでください」
そこに寿司夫を養子にしたという藪小路が、怒鳴り込んでくる。
「安寿子さん、あんたなら、どこにいるか分かるんだろ。寿司夫を助けてやって下さい」
この本に書いていることは、現実なのだろうか、それとも寿司夫の妄想なのだろうか?
「寿司夫はどこだ、言えっ」
藪小路がライフルをとりだす。
銃声とともに課長が一発で崩れ落ちる。
藪小路は呟く。
「ああ神様、寿司夫は助からない。私の罪をお許し下さい」
藪小路は、安寿子にむけて発砲する。
時間とエピソードは、幾重にもズレはじめ、この映画自体が、安寿子と寿司夫の夢の中にあるように思えてくる。遠い炎の中に、幼い二人が見失ったもの。閉ざした夢の果てに、二人が目覚めることはできるのか?しかし、そこから浮かび上がるたったひとつの真実。
寿司夫が安寿子に言う。
「僕ね、夢を見てたみたい。すごい長い夢…」
雪原の空一面に花火があがった。

スタッフ

プロデューサー:磯見俊裕+石毛栄典+宇佐美廉
ラインプロデューサー:中嶋竹彦
キャスティング・プロデューサー:大崎章
監督+脚本:七里圭
撮影:たむらまさき
照明:佐藤譲
録音:白取貢
衣装:宮本まさえ
メイク:豊川京子
助監督:西川美和
制作:中村哲也
編集:宮島竜治
音楽:侘美秀俊
制作:WaterMelon Company+トランスフォーマー+オービー企画
配給:スローラーナー
Raindance Film Festival(U.K.) 正式出品

キャスト

藤田安寿子:梶原阿貴
藤田寿司夫:塩田貞治
一男:大森南朋
華子:梓
少女:細田玲菜
男の子:細田晃
慶藪小路:佐藤允
課長:三浦友和

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