1980年、 北から南へ1人の男が亡命した。 名はイム・ビョンホ。 北朝鮮が送り込んだ二重スパイであった・・・ 2000年、『シュリ』が日本人の知らなかった 朝鮮半島を鮮やかに描き出し、 2001年、『JSA』が南北問題を等身大で描き、 隣の国がさらに身近になった。 そして2003年、南北分断の真実に光を当てた 韓国超大作・最終章—

2003年/韓国映画/カラー/シネマスコープサイズ/ドルビーSR、ドルビーデジタル/上映時間:123分/ 字幕翻訳:根本理恵/KMカルチャー提供/クー&フィルム製作/ノベライズ:新潮文庫刊 ギャガ・ヒューマックス/東映 共同配給

2004年01月16日よりビデオリリース 2003年6月7日(土)より、全国東映系にて拡大ロードショー

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公開初日 2003/06/07

配給会社名 0025/0004

解説



あの『シュリ』を超えた!
話題沸騰の超大型エンタテインメント、ついに日本上陸!

 『シュリ』から4年、『JSA』から3年、南北分断をモチーフにした新たな傑作の登場に韓国を騒然とさせた超話題作がついにやってくる!
 脱北者を装って韓国の諜報機関に潜入した二重スパイと、生まれながらに北朝鮮のスパイとして生きざるを得なかった韓国人女性との許されざる愛の行方を、スリリングなエンタテインメント大作として描いたのが、この『二重スパイ』である。
 本国では2003年1月23日に公開され、オープニング・ウィークエンド二日間で『シュリ』の16万人を大きく上回る30万人を動員。この数字が、いかに本作が注目と期待を集めていたかを雄弁に物語っている。

分断の歴史の陰で、激しく命を燃やした男女の愛…
壮大なスケールで描かれるサスペンスフル・ラヴストーリー!

 国に命じられれば喜んで命を捨てる覚悟で南へやってきた北のスパイ、リム・ビョンホ。残虐な拷問を耐え抜き、周囲の信頼を獲得して国家安全企画部の諜報員となった彼は、誰にも疑われることなく工作活動を開始。だが、孤独な境遇の女性スパイとの間に生まれた愛のために、運命の歯車は大きく狂い始める。やがて北からも南からも追われる立場へ追い込まれてゆく中で、ビョンホは葛藤し、重大な決断を迫られるのだった……。
 南北分断の歴史の中で、宿命にあらがい、激しい生を生きた男女の物語が、ベルリンから朝鮮半島、そして南米ブラジルへと舞台を移しながら、韓国映画未曾有の壮大なスケールで描かれてゆく。

“やっと心を揺さぶる脚本に出会えました”——
3年の沈黙を破ったトップスター、ハン・ソッキュ入魂の一作!

 北朝鮮から韓国に偽装亡命し、強固な信念で使命をまっとうしようとするものの、愛と理想との葛藤の中でぎりぎりの選択を迫られることになる二重スパイ、ビョンホを演じるのは、『八月のクリスマス』『シュリ』を始めとするすべての主演作を大ヒットに導き、不敗神話を築いてきたハン・ソッキュ。ソフトな恋愛ドラマからシャープなアクションまで幅広くこなす多彩な魅力で、日本でも多くのファンを獲得してきた。
 人気・実力とも韓国映画界ナンバーワンを誇る彼が、三年間という長い沈黙の末に選んだ企画が本作である。“忠(チュン)武(ム)路(ロ)(韓国映画の中心地)のあらゆる脚本はハン・ソッキュを通過する”と言われる彼が、100本以上の脚本を読み、“ついに心を揺さぶる脚本に出会えた”と語った作品だけに、その思い入れには並々ならぬものがある。定評ある繊細な演技が今回も観る者を釘付けにする一方で、スパイ役を演じるために鍛えた肉体をハードな拷問シーンで惜しげもなく披露するなど、迫真の役作りでも圧倒する。
 前作『カル』の時の3億ウォンを大きく上回る、4億5000万ウォンの出演料も、今回の大きな話題である。これにこれまでの出演作同様、観客動員数に応じた歩合が支払われることになっている。これは韓国映画史上最高の待遇である。

韓国映画界の頂点を極めた二大スターの競演が実現!
哀しきスリーパー・スパイを演じる
コリアン・ビューティー、コ・ソヨンに注目!!

 父親が北のスパイだったため、生まれながらにしてスリーパー・スパイ(韓国国内に潜伏して活動しているスパイ)として生きるしかなったユン・スミ。自分を捨てて生きてきた彼女は、ビョンホとの出会いによって、初めて人を愛することを知る。
 スミを演じるのは、コリアン・ビューティーの代表格と言われ、男女両方のファンから絶大な支持を獲得しているコ・ソヨン。’90年代半ばには“コ・ソヨン族”なる言葉を生み出して社会現象にまでなったほど。その後、映画女優、CMモデル、DJ、MCと活動の幅を広げるとともに人気も拡大。一昨年には映画『エンジェル・スノー』で韓国のアカデミー賞にあたる大鐘賞主演女優賞を受賞し、美貌だけではなく演技の実力も証明してみせた。
 その彼女が受賞後第一作に選んだのが本作だった。韓国映画界を代表する男女トップスターの豪華共演がここに実現した!

『シュリ』も『JSA』も描けなかった“今”でなければ語れない、
“今”だからこそ検証すべき歴史の真実!

 分断の歴史は南北の人々に何をもたらしたのか? いかなる犠牲の上に、現在の世界は成り立っているのか? それらを検証するために決して避けて通れないのが、韓国が未だ民主化を達成する前の1980年代前半、全斗煥大統領時代である。この時代を背景とする本作は、北のスパイ活動だけでなく、これまで映画では決して描くことができなかった諜報機関・国家安全企画部の暗部にもメスを入れるという、大胆かつ野心的な試みに挑んだ作品でもある。そうした歴史の真実に光を当てた点が『二重スパイ』を『シュリ』や『JSA』と大きく異なる作品にしている。
 時代のあだ花として誰にも知られることなく葬り去られていった人々がいた。彼/彼女らもまた、分断された朝鮮半島にとってかけがえのない者たちであったはずだ。そんな人々への鎮魂 と、南北統一への希望がこめられた『二重スパイ』は、今でなければ語ることの出来なかった物語、今だからこそ観る価値のある物語と言えるだろう。

ストーリー



北と南、もうどちらにも帰れない——。

国が死ねと言えば死ぬだけだと信じた男。
北でも南でもない場所で愛に生きたいと願った女。
過酷な歴史の宿命を負った
ふたりの男女の行き着く先は……

偽装亡命
「自由国家・大韓民国はあなたを歓迎します」
1980年、冷戦下の東ベルリンを出国しようとしたひとりの男を、一発の銃弾が襲う。男は必死に追っ手をかわし、何とか西側へたどりつく。「自由世界へようこそ」。韓国人の情報員が手を差し出した。だが亡命者を装ったこの男は、実は北朝鮮が送り込んだ工作員だった。その名はイム・ビョンホ(ハン・ソッキュ)。

指令
「DJに接触せよ」
 ビョンホは韓国の国家安全企画部(安企部)で厳しい取調べを受ける。東ベルリンの北朝鮮大使館に勤務していた彼に、偽装亡命疑惑がかけらるのは当然のことだった。ビョンホは拷問に耐え抜き、安企部のペク・スンチョル団長(チョン・ホジン)に身柄を預けられることになる。

 武装スパイの軍事訓練教官となり、上層部の信頼を獲得していったビョンホは、二年後の1983年1月、ついに正式な安企部要員に採用される。彼に北からの最初の指令が下ったのは、それから間もなくしてだった。ラジオの音楽番組から流れてきた暗号に目の色を変えるビョンホ。「DJに接触せよ」。

 口実を作り、放送局を訪ねたビョンホの前に現れる女性アナウンサーのユン・スミ(コ・ソヨン)。彼女もまた北のスパイであった。以後、ビョンホは彼女を通して指令を受けとることになるという。「ペク団長をご存知ですね?」そう言うと彼女は姿を消した。

 ペクはかねてからビョンホに結婚を勧めていた。だが彼が引き合わせた人物を見てビョンホは言葉を失う。スミであった。彼女はペクの妻が通う教会のパイプオルガン奏者だった。

 恋人同士を装いながら何度か会ううちに、ビョンホとスミは互いに好意を抱き始める。だが祖国の密命を帯びたスパイにとって、それは許されるはずもない恋であった。

反逆者の烙印
「一緒に逃げて。北でも南でもないところへ」
 北朝鮮の大物スパイ“青川江(チョンチョンガン)”(ソン・ジェホ)が捕まった。ソン・ギョンマンという名の医師として26年も韓国内で活動していた彼は、スミにとっては父親代わりでもあった。北が彼の抹殺を命じた時、スミの心に迷いが生じる。ビョンホがソンを暗殺した後、今度は自分とビョンホが消されることは目に見えていた。

 スミが指令を伝えなかったため、ビョンホは不利な立場に立たされる。彼は北のスパイから一週間の猶予を通告される。その間に自らの忠誠を証明しなければならない。

「なぜ指令を伝えなかった?」ビョンホはスミを問い詰めた。「あなたを失いたくなかった」。はっとするビョンホ。「一緒に逃げて。北でも南でもないところへ」。

決断
「もう後戻りはできません……」
 安企部ではペクの指揮の下、海外留学から帰国した学生運動家キム・ギヨンを北のスパイに仕立て上げるべく、強引な取調べを行っていた。ビョンホは、ギヨンが拷問から逃れるため、対南工作責任者として自分の名をあげたことを知って驚く。同じ頃、ソン・ギョンマンと行動を共にしていた人物がスミであることを突き止めたペクは、ビョンホにも疑いの目を向け始めていた。

 北と南の両方から疑いをかけられ、窮地に追い込まれたビョンホは、僅かな残り時間の中でギリギリの選択を迫られる。「もう後戻りはできません……」。彼は一通の手紙を投函すると、最後の賭けに出た。

スタッフ

製作総指揮:パク・ムスン
製作:・ク・ボンハン
共同製作:・ハン・ソンギュ
アソシエイト・プロデューサー:・パク・ミンヒ
監督:キム・ヒョンジョン
脚本:シム・ヘウォン、ペク・スンジェ、キム・ジョンヘン、キム・ヒョンジョン
撮影:キム・ソンボク
照明:シン・ハクソン
編集:キム・サンボム
録音:キム・ウォニョン
音響:キム・ソグォン
音楽:ミヒャエル・スタウダッハー
プロダクション・デザイン:ノ・サンスン(SBSアートテク)
衣装:イ・サンソプ
メイクアップ:キム・ソンジン
特殊メイク:・ヤン・ヨニョン、オ・チャンニョル
特殊効果:チョン・ドアン
視覚効果:APEX

キャスト

イム・ビョンホ:ハン・ソッキュ
ユン・スミ:コ・ソヨン
ペク・スンチョル:チョン・ホジン
ソン・ギョンマン:ソン・ジェホ

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