原題:Sidewalks of New York

2001年/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/100分 配給:パラマウントエンタテインメント

2003年08月22日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年08月22日よりDVDリリース 2003年4月26日よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー

(c)2001 by Paramount Classics, a division of Paramount Pictures. All Rights Reserved.

公開初日 2003/04/26

配給会社名 0154

解説


『マクマレン兄弟』(95)で衝撃的なサンダンス・デビューを飾り、『彼女は最高』(96)、『ノー・ルッキング・バック』(99)と少々シニカルなラブストーリーを作ってきたエドワード・バーンズが、2年ぶりに帰ってきた。舞台はバーンズのホームタウンNY。理想的な相手と知り合ったにもかかわらずなかなか前進できない1組のカップルを軸にストーリーは展開する。
こんなロマンチックコメディをオシャレに飾るのは、撮影当時、バーンズの恋人だったヘサー・グラハム、『Just Married 』で注目度ナンバー1の若手女優、ブリタ二一マーフィー、『KIDS』(95)のルビー役で注目され、バーンズの次回作「Ash Wednesday」にも出演するロザリオ・ドーソン。主演はもちろんバーンズ。浮気症の歯科医に『ロード・トゥ・パーディション』(02)のスタンリー・トゥッチ、売れないミュージシャンに『アイス・ストーム』(97)のデイヴィッド・クラムホルツといった、曲者がキャスティングされている。

バーンズ扮するクィーンズ生まれのトミーはTV番組のインタビュアーとして成功を収め、結婚を約束した恋人と同棲中。ところが、突然、恋人から別れを切り出され、部屋からほうりだされるハメに。グラハム演じるア二一は夫に浮気されながらも、離婚に踏み出せずに我慢する美しい妻。浮気症でろくでなしの夫と離婚したマリアは、恋愛恐怖症に。不倫体質の女子大生アシュレーに、そのお相手の歯科医グリフィン(アニーの夫でもある)、売れないミュージシャンのベン(マリアの元夫)と、6人の女と男が織りなす恋愛模様は、ハッピーエンド?それとも修羅場と化すのか?

『アリー・my・ラブ』や『SEX and the CITY』でも描かれるように、素敵な出会いを夢見ながら厳しい現実の前に“なんでいつもこうなの?”となげいてしまう。こんな大人の恋愛を経験した人なら、登場人物の行き当たりばったりな行動や、割り切れない思い、ふがいなさに共感を覚えるだろう。バーンズは恋人同士の絆は今までよりもっと不確実で、つながりはより複雑になっている、とメッセージを送っている。しかし、その一方で自分の殻を破ってこそ、素敵な恋に出会えるのだと、『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』で女性たちにエールを送っているのだ。
脚本、監督、製作、主演を担当したバーンズは、『プライベート・ライアン』(98)で一緒に仕事をしたスティーブン・スピルバーグ監督の撮影方法に、今作のヒントを得たという。“ハンディ・カメラとあり合わせの照明で、素早く効果的に仕事を進めるのを見たんだ。低予算で映画を作る僕としては、このやり方なら、自分の映画ももっと早く、予算も効果的に使えて、同時に直接的な感覚と親密さを出せると思った。しかも、僕の今回のテーマ、今現在、NYに生きているという感覚をよりうまく捉えられるはずだと感じたんだ。”

NYの路上でほとんどの撮影を行い、ひとつのセットを場面場面に応じてアレンジし直すという効率のよさで、実際に、撮影にかかったのはたったの17日。1台の衣装トレーラーを共同で使用し、そこでリハーサルも行うという離れ業は、インディーズ映画ならではだろう。

ちなみに、バーンズは映画監督のなかで最もハンサムと噂されるイイ男でもある。トム・ハンクス主演の『プライベート・ライアン』やロバート・デ・ニ−ロ主演の『15ミニッツ』(01)で準主役に抜擢されるほど、俳優としての才能と顔のよさが認められているのだ。2足のわらじをはきわけるバーンズの成功を追うように、近年、若手実力派俳優たちに映画を作る動きが見られる。イーサン・ホーク(『チェルシー・ホテル』(01))、エドワード・ノートン(『僕たちのアナ・バナナ』(00))、ベン・スティラー(『リアリティ・バイツ』(94)、『ズーランダー』(01))、ジュード・ロウ(『チューブ・テイルズ』(99))、ユアン・マクレガー(『チューブ・テイルズ』(99))しかり。映画を作る側と出演する側を軽く飛び越えて、映画すべてに関係していたいという、映画人としての熱い思いが感じられる。まだ、バーンズほどの成功を収めたとは言えないものの、この動きはこれからますます活発になるだろう。

アメリカでの公開は2001年9月を予定していたが、同時多発テロの影響で11月公開となった。オープニングでバーンズが演じるトミーの右肩に、今はなきNYの象徴・世界貿易センタービルのシルエットが霞んで見える。

ストーリー

ここはNY。『今週のエンターテイメント』というテレビ番組でインタビュアーを務めるトミー(エドワード・バーンズ)は、結婚を約束した恋人のスーと彼女のアパートメントで同棲中。ところがある日、スーにいきなり“出ていって!”と別れを切り出される。あまりに突然で訳のわからないトミーに、スーが投げつけた最後通告は“子供を作る話題を避けていたことに気づかなかった?”。

寝る場所もないトミーは、同僚のカルポ(デニス・ファリナ)の部屋に転がり込むことに。ナンバ師のカルポは“ナンバしてやりまくれ。心の傷を癒すのは新しいオッパイさ”とトミーにマッチョなノハッパをかける。

傷心のトミーは師匠の言葉通り、早速ビテオ屋で『ティファニーで朝食を』を奪い合ったマリア(ロザリオ・ドーソン)をナンバ。俺だってやればできるじゃん。トミーは少し自信を取り戻す。マリアは1年前に離婚したバツイチの小学校教師。離婚の後遺症からしばらく恋愛を遠ざけていたけれど、ハンサムなトミーとの恋の予感に、心はウキウキ。同僚に“NYで独身のいい男なんてゲイに決まってる”と脅されるけれど、あの人はストレートにしか見えなかったわ。

そんなマリアのもとに、離婚した元夫のベンジヤミン(デイヴィッド・クラムホルツ)が、“君のための曲を作った”とアパートに押し掛けてくる。今さら改心したって遅い!

トミーは師匠カルポの言いつけ通り、アソコに香水をつけてマリアとの初デートに挑む。いい感じになったふたりはマリアの部屋へ。セックスは1年ぶり、夫以外とのセックスなんて何年かぶりかのマリアは、つい怖くなり、途中でやめてしまう。でも、2度目のテートも盛り上がり、ついに最後の一線を越えてしまう。それも、ナマで。

翌朝。休日なのにマリアは“生徒との遠足がある”と、トミーをアパートから追い出す。やっぱり、まだ恋するのが怖い。

不動産屋に勤めるアニ一(ヘザー・グラハム)は、最近、夫で歯科医のグリフィン(スタンリー・トゥッチ)の変化にうすうす気づいている。帰宅は遅いし、夜中に小声で電話してるし、アニーが夫婦生活を求めても新婚時代の情熱はさっぱり。それに、この前なんて甘いフローラル系の香水の匂いをプンプンさせて帰ってきた!怪しい…。

アニーが想像した通り、グリフィンは公園でナンバしたNYUの大学生、アシュレー(ブリタ二一・マーフィー)に入れ込んでいる。ランチタイムはアシュレーとの密会タイム。1時間みっちりアシュレーとセックスして、午後の診察に勤しむのだ。オレってパワフル!

不倫体質のアシュレーは“もしかして私って都合のいい女?”とグリフィンとの関係に虚しさを感じ始める。そんなアシュレーに売れないミュージシャンのベンが猛烈アタック。“君のために曲を作った”とバイト先に押し掛けるわ、しぶしぶついていったレコード屋では自分の好きなレコードを押し付けてくるわと、かなり強引。でもアシュレーを好きだという気持ちがまっすぐ伝わってくるのがうれしい。グリフィンにはない誠実さが心地いい。それに新聞の星占いも私の味方をしてくれてるし。

トミーは新居探しのため、あるアパートで不動産エージェントと待ち合わせをする。現れたのはア二一。トミーはア二一の美しさにひかれるが、ダンナ持ちと気づき、即、撤退。その後、本屋で偶然出会ったときに、“ダンナか浮気してるみたい”と相談される。幼い頃に経験した両親の離婚や、ダンナの裏切りに傷ついたアニーのはかない姿に、トミーはほだされる。もちろん、“だんなと離婚したら、いちばんに電話して”と冗談めかして、軽く誘いを入れるのは忘れない。

マリアとあのビデオ屋で再会したトミーは、“また電話して”と誘われるが、電話してもなしのつぶて。もう、いいや。ここまでアタックしてダメならマリアのことは忘れよう。

アニーは決心した。結婚に夢を抱き、理想の恋愛を潔癖なまでに実践してきた。でも、現実は一人の部屋でグリフィンを待つ寂しい夜が続く。もうこんな生活はこりごり。“浮気なんてしてるわけない”としらばっくれるグリフィンにとうとう三行半を突きつける!あ〜、せいせいした。もっと早く別れていればこんなにクヨクヨ悩まなくてすんだわ。

6年ぶりにフリーになったアニーは、毎日がキラキラ、ドキドキ。新しい恋の予感に誘われて、あの人に電話してみたくなる。そう、離婚前に相談に乗ってくれたトミーに。恋のきっかけ作りにも、恋を成就させる強引さからもすっかり遠ざかってしまったアニーだけど、勇気を出してトミーにいざ、電話!

私のこと、覚えていてくれるかしら?うまくデートに誘えるかしら?男の人は星の数ほどいるというけれど、今度はまちがいなく愛しあえる人に出会いたい。トミー、早く電話に出て!あ、出た。
キャ〜〜〜〜〜!

スタッフ

監督・脚本:エドワード・バ−ンズ
製作:キャシー・シュルマン、リック・ヨーン、マゴット・ブリッジャー、エドワード・バーンズ
撮影:フランク・プリンジ
編集:ディヴィッド・グリーンウォルド
キャスティング:ローラ・ローゼンサール、アリ・ファレル
衣装デザイナー:キャサリン・トーマス

キャスト

エドワード・バーンズ
ロザリオ・ドーソン
デニス・ファリナ
ヘザー・グラハム
デイヴィッド・クラムホルツ
ブリタニー・マーフィー
スタンリー・トゥッチ

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