梶原 一騎 17回忌追悼記念作品

2003年/日本/カラー/35mm/108分/ 配給:ジーピー・ミュージアム、リベロ

2003年09月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年6月14日より新宿東映パラス3にてロードショー公開

(C)2003「すてごろ」製作委貴会

公開初日 2003/06/14

配給会社名 0080/0223

解説

『巨人の星』『タイガーマスク』『あしたのジョー』…彼の生み出した作品は少年漫画という枠を遥かに越え、ひとつの時代を作った。その男の作品が、人々の魂に火を点し、時代の活力を生み出して行った。男の名は梶原一騎。敗戦、復興、そして昭和元禄とも呼ばれた繁栄へ。激動の時代を生き、駆け抜けていった男。その周囲には、その熱さに引き寄せられたかのように、それぞれの場所で昭和という時代を担っていた男たちが集った。
今、その男たちの物語が伝説となって甦る。『梶原三兄弟激動昭和史 すてごろ』は、梶原一騎=本名、高森真士とその弟、真樹日佐夫・本名=高森朝樹、そして三男、高森日佐志という三兄弟の関係を軸に、常に拳を握り締め喧嘩に明け暮れた少年時代から、決して人の風下に立つことのなかった青年期、そして、誰も知ることの無かった名作の誕生の裏側までを描き出して行く。原作、監修、脚本を担当するのは、真樹日佐夫。自身、作家である真樹が、実の弟でしか見ることの出来なかった、梶原の魂の真実を描き出す。
時に離れ、それぞれの道を歩み、それでも決して消えることはない兄弟の絆、これは昭和の証書であると同時に、かってない兄弟愛の物語でもあるのだ。今回、真樹は製作も兼ね、自らの手で兄の姿をスクリーンに甦らせた。「梶原一騎17回忌追悼記念作品」というこの作品の成立自体が、二人の絆の証でもあった。その思いに応えるかのように、出演者には日本映画界を支える屈指の顔が揃った。
梶原を見つめ続けた真樹を演じるのは哀川翔。年間出演数10本を越える、日本映画界で最もパワフルな男が、弟として昭和の男と激突する。兄・梶原一騎に扮するのは奥田瑛二。近年、監督作も発表した奥田が、そのカリスマ性を活かして、巨人を見事に演じている。
この二人を囲んで、赤井英和、内田裕也、夏樹陽子、中山忍、ジョニー大倉、そして松方弘樹とこれ以上ない豪華な顔ぶれが集った。それぞれ、梶原+真樹兄弟の人生のエポックとなる瞬間に、時に味方として、時に敵対する役柄で顔を出す・真樹日佐夫自身が、梶原、真樹の恩人である極真会館館長・大山倍達に扮しているのも話題である。
監督は、『富江replay』『おぎゃあ。』など幅広いジャンルを手掛ける光石富士朗。撮影は『スワンズソング』の河中金美、照明は『STACY』の小川満、美術監督は『釣りバカ日誌』シリーズの重田重盛が担当、“昭和”を見事に再現した。平成不況の真っ只中、明日の夢さえ見られない時代に、再び梶原一騎のメッセージが甦る。

ストーリー

昭和20年代、のちの梶原一騎こと高森朝樹とその弟、高森真土(のちの真樹日佐夫)、高森日佐志は喧嘩に明け暮れる日々を送っていた。三兄弟の父、龍夫は旧制中学の教師を務めていたが、のちに上京、中央公論社を経て改造社で編集者としての辣腕を振るっていた。龍夫の周りには、永井荷風や谷崎潤一郎らの筆書きの礼状などが散見された。そんな環境が、朝樹を物書きの道へと誘ったのかも知れない。昭和33年、龍夫は病で57年の生涯を閉じた。
朝樹はすでに梶原一騎のペンネームで少年誌に読み物を書き出しており、物書きとして本腰を入れ始める。真土もまた文章修行に精を出すことになった。真樹日佐夫の誕生である。力道山から梶原に電話が入ったのも、その頃であった。いつしか、梶原は彼が生きる時代をも、牽引する役目を果し始めていた。「少年マガジン」編集長、牧野武朗(内田裕也)、名うての喧嘩屋と呼ばれた羽根田貢(赤井英和)、一時代を築いた男達が二人の前に現れ始める。
昭和40年代を迎える頃、真樹と梶原の道は少しずつ離れ始める。極真会館・大山倍達(真樹日佐夫)のもとで空手を学び始める真樹、彼はまた漫画原作者に加え、ルポライターの道も歩み出した。一方、梶原は『巨人の星』で「少年マガジン」の発行部数を当時としては奇跡的な100万部にまで押し上げていた。
兄の光の陰で真樹は葛藤していた。胸のうちにある小説への渇望、真樹は寝る時間も惜しんで書き上げた作品『兇器』でオール読物新人賞を受賞する。兄弟揃って手に入れた成功、だが二人にはまだ試練が待ち受けていた…。

スタッフ

監督:光石冨士朗
製作:北側雅司、真樹日佐夫
製作協力:及川次雄
監修・脚本・原作:真樹日佐夫『兄貴』(筑摩書房・刊)『すてごろ懺悔』(流星社・刊)
企画:中島仁、田中政裕、渡来猛人
プロデューサー:小野誠一、石井誠一郎、山本芳久
ラインプロデューサー:井苅安英
キャスティングプロデューサー:辰巳佳太
ポストプロダクションプロデューサー:金子尚樹
音楽:遠藤浩二
撮影:河中金美
照明:小川満
録音:佐藤幸哉
美術監督:重田重盛

キャスト

哀川翔
真樹日佐夫
赤井英和
中山忍
夏樹陽子
神保悟志
藤原善明
中村愛美
浅草キッド
十勝花子
久ヶ沢徹
ジョニー大倉
中山一也(友情出演)
國村隼
寺田贋(ナレーション)
力也
内田裕也(友情出演)
松方弘樹(特別出演)
奥田瑛二

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