「あの子を探して」ができるまで

ヒット作を連発し中国の巨匠となったチャン・イーモウ。『あの子を探して』は1999年にベネチア映画祭でグランプリを受賞した傑作。この作品は単なる『あの子を探して』の撮影記録としてだけでなく、少年少女とモノ作りに取り組むチャン・イーモウの教育者としての姿も見られる感動作です。

『あの子を探して』は商業主義に走っている現代の中国で、忘れがちな非常に素朴な人間の愛を描き出しました。北京からわずか車で3時間半ほどの村が映画のように貧しくて、学校に行けない子どもたちがいる。どんなに都会は進歩しても、それが中国の現実。この作品を通して、チャン・イーモウは教育の大切さを訴えていきます。『あの子を探して』の撮影記録を追った、本作品「『あの子を探して』ができるまで」にはあますところなく描かれています。

日本でも大ヒットとなった『あの子を探して』は過疎が進んだ中国、河北省赤城県の小学校で「生徒を一人も減らしてはいけないよ」という条件で臨時教師となることになった13歳の少女は、突然出稼ぎに行くことになった一人の生徒を街へ探しに行く。小さな先生と生徒たち(1年生から4年生まで28人!)の心の交流をサン・パオの音楽にのせて感動的に描いています。キャストの少女や少年が素人であるこの難しさや『あの子を探して』が出来上がるまでには様々な問題が巻き起こるが、監督の指揮のもとですばらしい作品を完成させていく。スクリーンの上だけでなく作品を作り上げる中でもチャン・イーモウ監督、教師役のウェイ・ミンジ、チャン・ホエクーをはじめとした生徒たちとの心のふれあいに溢れていた。そして、映画では見ることのできないもう一つの感動作品がここに完成しました。

2003年のチャン・イーモウは始皇帝暗殺をテーマにした大作「英雄」が公開予定で、アメリカ・アカデミー賞を独占するといわれており、チャン・イーモウ・イヤーとなることは間違いありません。素顔のチャン・イーモウを「『あの一子を探して』ができるまで」で堪能してください！