トワーニ製作第3弾!

2002年/日本/カラー/35mm/ドルビーSR/ヴィスタサイズ/107分/ 配給:アミューズピクチャーズ

2004年04月23日よりDVDリリース 2004年04月23日よりビデオリリース 2003年9月27日よりシネアミューズ、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

©2002『ドッペルゲンガー』製作委員会 (c)アライテツヤ(ストーリー画像)

公開初日 2003/09/27

配給会社名 0008

解説


「死の影をちらつかせる、自らの分身[ドッペルゲンガー]に遭遇した男の行く末は・・・
かつて大ヒット商品を発明したことから、次の研究にも大きな期待を寄せられているエリ−ト研究者、早崎〔役所広司〕の前にある日突然〔分身/ドッペルゲンガ−〕が現れた。ドッペルゲンガ−を見たものは死ぬ、という言い伝えを恐れ、すべては仕事の疲れによる妄想だと思い込もうとする早崎。しかし、ドッペルゲンガ−は不気味なにおいをただよわせながら、何度も早崎の前に現れ、自らの欲望に忠実に暗躍し始める。しかもドッペルゲンガ−の目的は早崎の研究を成功させたいらしい・・・不吉な存在でしかなっかたドッペルゲンガ−との奇妙な二人三脚が始まるが、その自由で乱暴な行動力を利用するうちに、早崎の中に不可解なコンプレックスが芽生えていく。そっくりな外見を持つ分身と、運命をともにせざるをえなくなった早崎の研究は成功するのか?そして、早崎は死へのカウントダウンを止めることができるのか?
ドッペルゲンガー現象のまったく新しい解釈・・・
「ドッペルゲンガー」という現像は古今東西多くの作家の創作意欲を剌激する題材として、いままでに数多くの文学作品に登場している。ポ−、ドストエフスキー、谷崎潤一郎など錚々たる作家が名を連ねるが、芥川龍之介にいたっては彼自身がドッペルゲンガーを見たために自殺したとも言われている。本作では、見たものを死に至らしめるというオカルト的な言い伝えはそのままに、ドッペルゲンガ−を〔もう一人の自分〕といて捉える視点が取り入れられている。分身だからこそ、相反する性格に憧れやコンプレックスを感じてみたり、分身なんて自己嫌悪が見せた幻だと消えるように念じてみる・・・そんなコミカルな場面が登場してくるのだ。現実の自分と理想に自分との葛藤。本来それはひとりの人間の心の中で起こるものだが、それが映像として画面に立ち上がってくると、本体と分身の二人の闘いが繰り広げられることになる。そんなコミカルさが〔ドッペルゲンガ−〕現像の恐ろしさの裏側に潜んでいる。
役所広司の相手役も、ナント!?役所広司映画初出演の永作博美、ユ−スケ・サンタマリアも巻き込んで、黒沢清監督がたどり着いた新境地
つねに新しく実験的な作品を作り上げてきた、黒沢清監督と役所広司のコンビが、今回挑んだのは役所広司の一人二役『ドッペルゲンガ−現象』という題材。分身が現れてとまどう研究者の早崎と、その分身であるドッペルゲンガーという、難しい二つの役柄を演じきった役所広司の存在感は観る者を圧倒すること必至。共演の永作博美は、弟のドッペルゲンガ−に悩みながらも、早崎に好意を寄せる由佳役として、本作で映画初出演を飾る。
意志の強い女性をみずみじしく演じ切り、映画女優としての魅力を存分に
発揮している。そして、近頃は役者としての評判も高い、ユ−スケ・サンタマリアが、早崎の研究のためにドッペルゲンガ−に雇われた君島役で登場。純粋だからこそ怖い、そんあ特体の知れない役柄でドラマを盛り上げている。前作「アカルイミライ」のヒットとカンヌ国祭映画祭への正式出品で、国内外での人気をより確かなものにいた。黒沢清監督。しかしこれでは満足できない、とばかりに新しい試みが満載の本作。『ドッペルゲンガ−』から黒沢清監督の新しい時代が幕を開ける!!

ストーリー


ディスプレイ会社に勤める永井由佳(永作博美)は、仕事帰りに、バックミラーに写る弟の隆志(鈴木英介)を見かけ、声をかけた。だが、隆志はそのまま歩いて行ってしまう。

由佳が自宅に戻ると、既に部屋には隆志が…そこへ隆志が自殺したと一本の電話が入る。由佳は、何かの間違いだと恐る恐る部屋を覗くが、そこには確かに隆志の姿があった。しかし、それは由佳の知っている隆志、ではなかった…。

メディカル・テック社の研究者である早崎道夫(役所広司)は、10年前に開発した血圧計が大ヒットし、次の開発に期待が寄せられている。そんな期待の中、早崎は、高野(佐藤仁美)と青木(戸田昌宏)の二人の助手と共に、人工人体の開発を続けている。だが、開発は上手くいかず、ストレスを感じる日々を過ごしていた。部長であり、友人でもある村上(柄本明)からも、予算や進行状況についてうるさく聞かれていた。

そんなある日、そっくりの外見を持つ分身〈ドッペルゲンガー〉が早崎の前に現れた…。

分身の存在を否定し続ける早崎に対し、分身は早崎に協力する為に現れたと告げる。

「こんないいパートナー他にいないだろ。」

日々の研究に疲れ夜中にうなされる早崎を見かねた分身は、深夜の研究所に忍び込み、めちゃくちゃに荒らしてしまう。そのせいで仕事をクビになり、目標を失い自暴自棄になる早崎。そこで、分身は研究を続行させるために人工人体を運び出し、新しい助手として君島(ユースケ・サンタマリア)という男を金で雇う。

「あんた本当にそっくりだな、兄貴に。気持ちわりいよ。分身みてえ。」

弟の分身に悩む由佳の相談に乗っていた早崎に変わり、分身は由佳の悩みを解消すべく弟を殺してしまう。その上、研究資金調達の為に殺しや盗みまで行い、分身は早崎の影として淡々と暗躍す為そんな二人の間には、いつしか研究の成功を目指す奇妙な協力関係ができていく。分身から、弟はアメリカで小説を書いていると告げられた由佳は、心機一転、早崎の研究に協力することを宣言する。

ついに人工人体が完成し、目標を達成した早崎は分身が幻のように消えることを念じる。しかし願いはかなうはずもなく、そこに依然として存在する分身に苛立ちと恐怖を覚えた早崎は、分身につかみかかる。

「お前が生き残る方法は一つしかない!それは、俺を認めることだ!!」

そこに背後から近づいた君島が鈍器で分身を殴りつける。早崎は君島から鈍器を奪い、ついに分身を殴り殺してしまう。死体を片付けた早埼、由佳、君島は、完成した人工人体を売りつける為トラックに乗って出発する。

人工人体の完成を聞きつけた元上司の村上が、何度か早崎の行く手を遮るが、早崎はそれを振り切って車を走らせる。その途中、マネージャーとしての立場を求め始めた君島に不信感をいだいた早崎は、君島を滝から突き落とす。しかし、夜になり殺したはずの君島に襲われ、早崎はトラックごと人工人体を奪われてしまう……

スタッフ

監督:黒沢清
製作:平井文宏、加藤鉄也、宮下昌幸、吉岡正敏、神野智
プロデューサー:佐藤敦、下田淳行、川端基夫
脚本:黒沢清、吉澤健
撮影:水口智之
美術:新田隆之
編集:大永昌弘
音楽:林祐介
録音:郡弘道
照明:豊見山明長

キャスト

役所広司:早崎道夫とそのドッペルゲンガー
永作博美:永井由佳
ユースケ・サンタマリア:君島
柄本明:早崎の同僚・村上
ダンカン:メディコム産業社員
戸田昌宏:早崎の助手・青木
佐藤仁美:早崎の助手・高野
鈴木英介:由佳の弟・隆志

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