原題:The Cuckoo/Kukushka

2002年モスクワ国際映画祭・最優秀監督賞受賞・他5部門受賞 2002年トロント国際映画祭正式出品作品

2002年/ロシア/カラー/101分/ 配給:シネカノン

2006年11月03日よりDVDリリース 2006年5月13日より渋谷シネ・ラ・セットにてロードショー 2006年3月25日、渋谷シネ・アミューズにてロードショー

公開初日 2006/03/25

配給会社名 0034

解説


祖国裏切りの罪を着せられて命を落としかけたフィンランド兵とロシア兵、二人を助けたのはラップランドの湖畔に住むアンニ。
言葉の通じない三人の不思議な暮らしが始まった・・。

フィンランドの最北の地、ラップランド。平和主義的な態度を仲間に咎められたフィンランドの狙撃兵ヴェイッコは、罰として岩に鎖でつながれたまま置き去りにされてしまうが持ち前の知恵を使ってなんとか脱出をはかる。一方、反体制的な通信文を書いたとして自国の秘密警察に逮捕されたロシア軍の大尉イワンは、連行中のアクシデントによって重症を負いながらも逃げ延びる。そんな兵士2人を助けたのが現地に住むサーミ人の女性アンニだ。自分の小屋に匿ってやることにした彼女にとって2人は敵ではなく、ただの2人の男。ところがそれぞれがフィンランド語、ロシア語、サーミ語しか理解することができず、まったく言葉のコミュニケーションはとれないまま、三人の不思議な暮らしが始まった・・・。

魔法の土地、ラップランドを知っていますか?

森と湖の自然豊かな北欧・フィンランド。妖精ムーミンやサンタクロースが暮らす国としても私たちにはなじみがあるこの国の最北の地、ラップランドがこの作品の舞台だ。夏は高原で過ごすような清々しい気候で一日中太陽が沈まない「ミッドナイト・サン」がつづき、森が美しく色づく短い秋を経ると、一面銀世界の、今度は一日中太陽が昇らない日々がつづく冬がやってくる。秋から冬にかけて、あの美しいオーロラも降りそそぐ土地だ。
一度この土地を訪れた旅人はラップランドの魔法にかかり、また再びこの地に舞い戻ってくる——「ラップランド・マジック」(現地の言葉で「ラピンタイカ」)と呼ばれる、この地に古くからある言い伝えだ。その言葉のとおり、ラップランドはまさに映画のような出来事が起こっても不思議はない、不思議な魔法の土地といえるだろう。

モスクワ国際映画祭 最優秀監督賞ほか全5部門独占受賞!

監督は、ロシアで国民的人気を誇るアレクサンドル・ロゴシュキン。そしてキャストはともにロゴシュキン映画で一躍人気を博したフィンランド生まれのヴィル・ハーパサロ、ロシアのヴィクトル・ブィチコフといった2大俳優に加えて、今回は実際にラップランド出身でサーミ語を話し、ヘルシンキで演技を学んだ女優アンニ=クリスティーナ・ユーソを迎えている。
本作はラップランドの神秘的な自然を背景に、心温まるラストに至るまでウィットに富んだ手法で描かれた現代の寓話と高い評価を受け、ロシア国内の映画賞を総なめにし、モスクワ国際映画祭では最優秀監督賞、最優秀男優賞をはじめ5部門独占受賞を果たしている。

ストーリー



オーロラが降りそそぎ、妖精たちが息づく魔法の土地、ラップランドから届いた不思議な愛と平和の物語

1944年9月。ナチス政権下のドイツの同盟国だったフィンランド。その最北の地、ラップランドでロシア軍、ドイツ軍、フィンランド軍が戦っていた。フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコは平和主義者で戦いに消極的な態度に怒った戦友らに罰としてドイツの軍服を着せられた上、鎖で大岩に繋がれたまま置き去りにされてしまう。ロシア軍はドイツ兵を見つけたと思えばその場で撃ってくるだろう。降伏など受け入れてはくれないのだ。ヴェイッコに残されたのはわずかな食料だけで、ラップランドの人里離れた森で死ぬ運命かに思われた。だが数日間の格闘の末、彼はなんとか身をふりほどき、足かせをはめたまま安全な場所を求めて歩き出した。
足かせと格闘中のヴェイッコがライフルの照準機を通して見ていた人物がいた。反体制的な通信文を書いたという濡れ衣を着せられ、秘密警察に逮捕されたロシア軍大尉イワンだ。イワンは軍法会議へと連行される、車が味方のロシア軍機によって誤爆されてしまい、運転手とイワンの監視兵は死亡してしまう。
その近くを通りかかったのが、ラップランドに暮らす女アンニだ。彼女が食料を探して歩き回っていると、イワンらの爆撃の現場を発見する。アンニは全員死んでいると思いこんで死体を埋葬しようとするがイワンだけが重症を負いながらまだ息のあることに気づき、彼を自分の小屋まで運び、看病してやることにする。アンニは夫がフィンランド軍に徴兵されて戻らぬまま一人きりで家を守っている、若く機転の利く女だ。
一方、足かせをはずす道具を探し歩いていたヴェイッコもアンニの家に行き当たり、そこでイワンと出会う。フィンランド語もサーミ語もドイツ語も理解できないイワンは、ヴェイッコがドイツ軍からはぐれた兵士と思い込む。ヴェイッコが仲間に無理矢理着せられたドイツの軍服のせいだ。イワンに誤解されているとは気づきもしないヴェイッコはさっさと足かせをはずして祖国に戻り、戦争のことなど忘れてしまいたい。だが敵軍に捕まることを避けたい彼は当面、アンニの家に留まることにする。一方アンニは素朴で官能的な女で、もう4年も男のいない生活が続いていた。2人の男が現れて喜ばないわけがない。言葉の問題など二の次だ。アンニにとってヴェイッコとイワンは敵ではない。ひたすら男なのだ。
こうして見知らぬ、言葉も文化も異なる3人の不思議な暮らしが始まった—

スタッフ

監督:アレクサンダー・ロゴシュキン
製作:セルゲイ・セリヤノフ
音楽:ドミトリー・パヴロフ
技術:アンドレイ・ジェガロフ
編集:ユリヤ・ルミャンツェヴァ
プロダクションデザイン:ヴラジミール・スヴェトザロフ
衣装デザイン:マリーナ・ニコラエヴァ
音響:アナトリー・グトコフスキー、セルゲイ・ソコロフ
メークアップ:オリガ・シャムコヴィッチ

キャスト

アンニ=クリスティーナ・ユーソ
ヴィクトル・ヴィチコフ
ヴィル・ハーパサロ

LINK

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