原題:PLUMP EARS

ハートに響くファンタスティック・コメディ 耳を澄ませば聞こえてくるものがある 遠い昔の初恋のささやき・・・

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2003特別招待作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/sakuhin2003/

2002年/日本/カラー/109分/ 配給:アルゴ・ピクチャーズ+シネマ・クロッキオ

2004年04月23日よりDVDリリース 2003年9月13日より有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー!

© 2003 株式会社エックスヴィン

公開初日 2003/09/13

配給会社名 0090/0196

解説


 本作は、数年後には現実となる高齢者たちの豊かな生き方を示唆する映画です。舞台は浅草にあるシニア向け高級マンション・東京パティオ。ヘルパーが同居し、レクリエーション施設なども充実した場所です。ここに住む老人たちは、「リタイア」などではなく、第二の人生を生き生きと過ごしています。人生やり残したことをする者もあれば、恋をする者もあります。
 物語は、仕事を転々とするフリーターの里中高志(26)が、この東京パティオにある喫茶室・タイムマシンで働くことになってやってくるところがら始まります。実は・高志には下心があり、前に入院した先で好きになった元看護婦の信長珪(23)をストーカーのように追いかけ、ここに来たのでした。珪は前の勤め先の医者との不倫関係を精算しここで働いていたのです。
 高志は、東京パティオの入口で口うるさいジイさんに会います。それが藤原富士郎(68)。しかし、富士郎は前日の夜、心筋梗塞で亡くなった筈。高志にとり輝いて、自分が生前好きだった神崎千鳥(65)を他のライバルたちから守ろうとします。さて、二つの心を持つ彼と、二人の女性。この恋はいったいどうなるのやら…。
 監督は本作が劇場用映画初監督となる瀧川治水。テレビ版「リング」や「アナザヘヴン eclipse」などホラー、ファンタジー作品で頭角をあらわしてきた実力派です。脚本は、今村昌平の「うなぎ」「赤い橋の下のぬるい水」の冨川元文。
老人になっても恋もするしSEXもする、という当たり前の感覚を生き生きと描き出しています。また撮影に「Shall we ダンス?」「陰陽師」の栢野直樹、視覚効果に、「ホワイトアウト」「クロスファイア」の松本肇などの精鋭スタッフが集結し、今までの日本映画にないファンタスティックな映像感覚溢れる大人のコメディが誕生します。
 出演陣も強力です。「GO」や「ピンポン」などの脚本で映画界に新風を吹き込んだ劇団・大人計画の宮藤官九郎が、初の主演映画に挑戦。そして先日惜しまれながら完結した「北の国から」の黒板五郎役や映画「学校」でも存在感のある演技を見せてきた田中邦衛。また二人のマドンナに、朝の連続テレビ小説「さくら」で主演した高野志穂と、昭和の巨匠達と数々の名画を遺してきた司葉子。
高野は連続ドラマ後、初出演となる作品です。共演に、2枚目スターとして活躍し、故伊丹十三監督作品の常連だった宝田明。近年「私の青空」などで見せるコミカルな演技を本作でも存分に見せてくれます。他にも千石規子、多々良純、谷啓、坂上二郎、弓恵子、横山通乃など日本映画を代表する名優たちが、素晴らしい演技を披露しています。

ストーリー



 29才の里中高志(宮藤官九郎)は、自称フリーター。入院した先の看護婦だった信長珪(高野志穂)に一目惚れ。彼女を追いかけ浅草にある老人向けマンション・東京パティオ内にあるレストラン「タイムマシン」で働くことになった。バイト初日、高志は入口で変な老人(田中邦衛)に話しかけられる。しかし、その老人・藤原富士郎は既に死亡しているという。怪訝に思った彼が鏡を覗くと、またしても富士郎が現れた!

 富士郎は、生前好きだった神崎千鳥(司葉子)への思いを諦める事ができず、高志にとり輝き、彼の体を使って思いを遂げようというのだ。千鳥は、ここのマドンナ的存在。彼女を狙う元活弁師の緑川(坂上一郎)や元鰻屋の小林(谷啓)がいて、富士郎は死んでも死にきれないというのだ。他にも小林の妻・敦子(弓恵子)、おかまのマスター・五郎(宝田明)、五郎の追っかけ良子(横山通乃)、元海軍出身で軍服趣味のある藤掛(多々良純)、東京パティオの長老で全く喋ろうとしない99才の茜(千石規子)など、ここには個性的な老人たちばかり。
 高志は、老人たちに富士郎が現れた話しをするが、全くとりあってもらえない。しかし、富士郎に珪への思いを見破られた高志は、年の功で知識豊富な富士郎に助けられ、遂に体に同居するのを許すことにした。
 そんな高志を、気に入らないのは緑川と小林。千鳥にダンスを申し込んだり、何やらデートもしている様子。次第に千鳥もヤブサカでなく…。

 そんなことは露も知らない高志は、富士郎に高志の借金のことで意見を言われ閉口する。富士郎は、パティオに入るまで金融関係の仕事をしてきたやり手で、高志に株取引のいろはを教える。一夜にして大儲けして驚く高志。そのうち珪との関係も上手くいき始め、高志は富士郎へのお礼に、千鳥を遂にホテルヘと誘う…。

 一方、借金返済の目途がついた高志に、富士郎はベンチャー起業を起さないかと持ちかける。断る高志。やりたいことがない訳ではないが、幼い頃から情報に囲まれ育った高志は、先のことをシュミレートして、やる前から諦めてしまうという。そんな高志に「生きていくってことは見えないものを信じる勇気が必要」と諭す富士郎。
翌日、鏡を覗いても富士郎は現れなかった…。

スタッフ

プロデューサー:岡田裕(アルゴ・ピクチャーズ)、高橋洋(エックスヴィン)
監督:瀧川治水
脚本:冨川元文
ラインプロデュサー:井上文雄
撮影:栢野直樹
美術:山崎輝
照明:矢部一男
録音:山田均
編集:上野聡一
視覚効果:松本肇
助監督:高橋正弥
製作担当:朝比奈真一
製作:『福耳』製作委員会
協力:日本高齢・退職者福祉推進委員会
後援:日本高齢・退職者団体連合
製作プロダクション:アルゴ・ピクチャーズ

キャスト

宮藤官九郎
田中邦衛
高野志穂
司葉子
宝田明
谷啓
坂上二郎
横山通乃
弓恵子
多々良純
千石規子
上田耕一
六平直政
徳井優
ガダルカナル・タカ
津田寛治
池内万作
山田幸伸

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