1981年/フランス/35mm/90分/ 配給:JDV

2003年2月1日よりユーロスペースにてモーニング&レイトショー公開

公開初日 2003/02/01

配給会社名 0173

解説


小説を朗読する、眼に見えない映画。

マルグリット・デュラスの秘められた記憶が奏でる、禁じられた愛の記録

ゴダールとの共同企画の後、書かれた小説、冬の海辺、古びたホテル
男と女が、今永遠に別れるため再会する
思い出はあの頃の夏の日差しにかなわない
愛しているから、
旅立ちを決めた妹アガタと
兄の終わりなき語りと沈黙
デュラス自ら文学を映像にした、朗読する映画

小説を朗読する、眼に見えない映画=異種映画(シネマ・ディフェラン)の試み
デュラスの映画は眼に見えるイメージに抵抗する。潜在的な記憶断片を、画面から切り離された音声言語、いかなる時空間にも属さない声を媒介とすることで顕在化させようとする<苦痛に満ちた幸福>の行為である。原題に「終わりなき朗読」とあるように、『マルグリット・デュラスのアガタ』は、映画という強烈なイメージを無力化し、裸にする一種の朗読劇である。映画の舞台となるのは、デュラスにとって愛着の深いトゥルヴィルの海に面した館、ロッシュ・ノワールとその周辺である。画面には海辺の廃屋とその周辺の光景が延々と写し出され、画面外の男女の声が物語を語り合う。
 登場人物は妹アガタとその兄に限られるが、断片的に挿入される彼らの映像も、むしろ虚構として構成されたことを自ら暴露するかのような活人画による再現にしか見えない。
 画面外の声は、デュラス自身とその38歳年下の恋人ヤン・アンドレアのものである。そして、ごく抽象的に語られる物語内容は、おそらくデュラス自身の私的体験に深く根ざしている。声ばかりか、ブラームスのワルツも、その遠い記憶を<今・ここ>と結びつける。その抽象的かつ断片的な語りからかろうじて読み取れるのは、兄妹の近親相姦的な強い愛の感情だ。
 かつて東京日仏学院のシネクラブで紹介されて以来、その非商業性のため公開されることがなかった作品。
失われた時を求めて、21年目の初公開。

愛しているから、別れましょう…
 30歳前後のアガタと彼女の兄は、母親の亡くなった8ヶ月前以来、久しぶりに冬のヴィラ・アガタで出会う。アガタは翌朝4時に、ここを旅立ち、おそらく兄と永遠に別れようとしている。アガタと兄はお互いに性的に愛し合うようになった頃の思い出を語り合う。
—アガタは自分の生まれた年に両親の買った海辺の別荘ヴィラ・アガタで10代の数年間の夏休みをすごした。彼女が18歳の誕生日を迎えたある年の7月、大学卒業を控えた23歳の兄が久しぶりにヴィラ・アガタへやってきた。
 アガタは兄の友人のひとりとセックスを体験した翌日、いつものように全裸で昼寝をしていた。兄は彼女の裸身を見つめ、その横に身を横たえた…。

ストーリー

スタッフ

原作:マルグリット・デュラス「死の病い・アガタ」
監督・脚本:マルグリット・デュラス
撮影:ドミニク・ルリゴルール、ジャン=ポール・ムリス
録音:ミシェル・ヴィオネ
編集・記録:フランソワーズ・ベルヴィル

キャスト

ビュル・オジェ
ヤン・アンドレア

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