原題:Ardor

東京国際映画祭2002アジアの風部門出品作品::http://www.tiff-jp.net/

2002年/韓国/カラー/114分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル  配給:ハピネット・ピクチャーズ、リベロ

2009年08月28日よりDVDリリース 2004年06月25日よりDVD発売開始 2003年11月8日よりシネマスクエアとうきゅうにてロードショー 2002年11月1日渋谷ジョイシネマ、11月3日シアターコクーンにて上映

公開初日 2003/11/08

配給会社名 0187/0223

解説


●ありのままの私を賛美してくれる彼の腕の中で私の心はふたたび鼓動しはじめるーー
夫の浮気によって心をずたずたに引き裂かれたミフンはどこか孤独の影をたたえた青年医師から「ゲーム」に誘われる。夏が終わるまでの間、恋人同士になろう。ただし「愛してる」とどちらかが口にした時点でゲームは終了。自分の存在意義さえ見失っていたミフンは医師インギュの腕に抱かれ、女としての自信と生きる喜びを取り戻し、抑えようとしても抑えられない情熱によって日増しに美しく輝いていく。だが、それは彼女の人生を大きく変えてしまう危険な情熱でもあった……。
●『シュリ』のトップスター、キム・ユンジンが体当たりで魅せる大人の女性の官能美
 平凡な幸せに浸っていた主婦が一転して生気のない姿に変化し、そして彼との出会いによってふたたび笑顔を取り戻していく。大ヒット作『シュリ』で世界的な人気を得たキム・ユンジンは心の在り方によってさまざまに変化していくミフンという女性を全裸シーンも臆することなく、時に激しく、時にしっとりと、時に少女のように見事に演じきる。心の痛みのわかる大人の女性にしか出せないその色気は画面から匂い立つようでせつない余韻を残す。キム・ユンジンは本作の演技で韓国の青龍賞主演女優賞、女性観客映画賞「最高の女優賞」を受賞した。
●少年の瞳と肉体美で孤独な男を陰影濃く演じるイ・ジョンウォン
 自分から言い出したゲームでありながらミフンに強く惹かれていくインギュを演じるのは.1991年に映画デビューしたイ・ジョンウォン。94年以降はテレビ・ドラマに専念し、本作は実に8年ぶりの映画出演だ。もともとスポーツ万能で知られるが、キム・ユンジンとの美しいベッド・シーンを演じるため、体重をl0キロ落として撮影に臨んだ。ほとんど感情を表に出さないインギュの内面をその澄んだ瞳を少し変化させるだけで愛も怒りも優しさも表現。本作以後は映画出演作が相次ぎ、活躍の幅をさらに広げている。
●ドキュメンタリー出身の女性監督ならではの、愛の物語
監督のピョン・ヨンジュは日本でも話題を呼んだドキュメンタリー映画『ナヌムの家』シリーズで知られる韓国のドキュメンタリー映画界の代表的存在。元従軍慰安婦の女性達を追った『ナヌムの家』『ナヌムの家Ⅱ』『息づかしりの3部作は世界各国の映画祭で数多くの賞を獲得している。ピョン監督は初の劇映画作品である本作で不倫を扱った動機を次のように語る。「従軍慰安婦という日本がかつて行なった『悪いこと』をテーマに取り上げてきた私は誰からも『正しいこと』をしていると言われ続けてそれがプレッシャーにもなっていた。誰も『良いこと』とは賛成しない題材からスタートすれば新しい何かが作れるのではないかと思ったのです」。そして「後ろを振り向かずにひたむきに生きるヒロインに心惹かれたのです」。
 (運命)に押し流されて辿り着いた場所で最後にミフンが見せる笑顔と独白ーー「活力は不幸から生まれる」は『ナヌムの家』のハルモニ〔おばあちゃん)達が示す前向きな強さに確かに太く繋がっていることがわかる。「活力は不幸から生まれる」はビョン監督自身の座右の銘でもあるという。

ストーリー

私の名はミフン。30歳。大学卒業の年に結婚して8年が経つ。夫は出版社を経営し私は家事と小学生の娘スジンの世話で毎日を過ごしていた。平凡で穏やかな幸せに満ちた…この日々がずっと続くはずだった。あの日、あの女が家に来るまでは。クリスマス・イヴの夜に現れたまだ幼さの残る女は「あなた」と私の夫を呼んでしなだれかかり、2人がいかに愛し合ってきたかを私に向かって早口でまくしたてた。それから私は殴り倒された肉体的にも精神的にも。「彼はね、私の絶頂の瞬間を一生忘れないって言ったわ」

 半年後、私たちはソウルから半島の南端に引っ越した。山に囲まれ.近くには湖もあり、田んぼが広がる村のはずれ。白いフェンスで囲まれた一軒家。あれから夫は腫れ物に触るように私に接している。でも私は何も感じない。何を見ても何をしても何の実感も湧かないのだ。頻繁に襲う頭痛も私を苦しめる。時折、涙が頬をつたう。あの日、私と私の8年間が一瞬にして否定されたのだ。たった半年で立ち直れるはずがない。
 でも、間もなくあの人に出会った。町の小さな個人病院で医者をしていてうちの裏手に一人で住んでいる。頭痛をおさえる薬をもらいに行った時、彼は言った。「ゲームをしませんか?夏が終わるまでの4ヵ月間。恋人になったつもりで過ごすんです。ルールは1つ。相手に『愛している』と言ったほうが負け。ゲームもそれで終わり」。
台風の大雨が降りはじめた日、彼、インギュがうちの外に車を止めていた。私は思わず外に飛び出して彼の車を追い、私たちはホテルへ向かう。外はどしゃ降りの雨だけど.2人だけの暖かな部屋の中で彼に全身を愛され私の中の何かがゆっくりと`やがて激しく目覚めて行く。
「君は自分の魅力に気づいていない。君はすごい。吸い込まれそうだ」
彼との他愛のないお喋りに私は久しぶりに声を上げて笑った。そして私たちはもう1度、愛を交わし合う。その時、私の人生にふたたび光が射し込んだ。
家にいれば彼からの電話を心待ちにし、外に出れば彼の姿を探してしまう。「ゲーム」だと自分に甘い聞か甘ても、思うのは彼のことだけ。彼が時々見せる冷たい態度や言葉に心が揺り戻されるけれど、次に会うと彼は前にも増して私を強く求めてくる。
「想像できないだろう。僕がゲームに負けないようどれだけ努力しているか」
やがて私たちの噂が村中に広がる。姉の法事で実家に帰った私に彼が会いに来てくれた夜、初めて一緒に朝まで過ごす夜、人生最後の日は何をして過ごすか彼に聞かれ、「洗濯をして冷蔵庫の整理をして、美容院で生まれて初めておまかせしますと言ってみる。スジンが大人になった時に読む手紙を書いてそれからピザを食べてーー」と思いつくままに答える。その時、彼は真剣な眼差しで口を挟んだ。「僕は?最後の日の何時に僕に会う?」
「人生最後の日は朝から夜まで君と過ごす」
彼はそう言ってくれた。私が何よりも聞きたかった言葉。そして、2人がどれほど遠くまで来てしまったか・・・私たちはその時、悟る。もう終わりにしなくてはいけない。そうでなければ2人とも破滅してしまう。だけど……。

スタッフ

監督:ビョン・ヨンジュ
プロデューサー:キム・ミヒ、シン・ヘウン
原作:チョン・ギョンニン
脚本:キム・ジェヨン、ビョン・ヨンジェ
撮影監督:クォン・ヒョクジュン
プロダクションデザイン:イ・グナ
美術監督:イ・イノク
音楽:チョ・ヨンウク
衣装:ハム・ヒョンジュ

キャスト

ミフン:キム・ユンジン
インギュ:イ・ジョンウォン
ヒョギョン:ケ・ソンヨン

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