原題:City of God

東京国際映画祭2002コンペティション部門出品作品::http://www.tiff-jp.net/

2002年/ブラジル/カラー/130分/ 配給:アスミックエース

2003年12月21日よりビデオレンタル開始 2003年12月21日よりDVD発売開始 2003年6月28日よりヴァージンシネマ六本木ヒルズにてロードショー公開 2002年10月30日シネ・フロント、11月2日オーチャードホールにて上映

公開初日 2003/06/28

配給会社名 0007

解説


2002年第55回カンヌ国際映画祭。機関銃ばりに苛烈な暴力と、機知と皮肉に富んだ饒舌な語りのアンサンブルに・観る着すべてがひれ伏した。その映画の名は『シティ・オブ・ゴッド』。60年代末から80年代初頭、ブラジル、リオデジャネイロ郊外のスラム街シティ・オブ・ゴッドを舞台に、暴力も銃もドラッグもすぐそこにある極限の日常を駆け抜けた、少年たちの仁義なきサバイバル・オデッセイである。
貧困、麻薬、終りなき暴力の連鎖…。ブラジル人ですら恐怖心を抱く、誰が見ても悲惨としか言いようのないスラム(ブラジルでは“ファヴェーラ”=貧民街区と呼ばれる)の現実。しかし本作はその絶妙なリズム感と、ブラジル人特有の明るさと不敵さとで、見事「悲惨さの映像化の予想」を裏切っている。3つの時代にまたがる壮大な物語は、縦横無尽に走るカメラ、カットバックや画面分割を駆使した小気味良い映像処理、そしてそれぞれの時代を彩るサンバ、ソウル、ロックの名曲の数々…と、数え上げればきりのない緻密な演出によって、非常にスタイリッシュな作品に仕上げられている。原作は自らがシティ・オブ・ゴッド出身の作家パウロ・リンスによる、300ページ、登場人物600人という一大ノンフィクション年代記。1997年に出版されるや”初めて内側の視点からスラムの現実を描いた問題作”とセンセーションを巻き起こした。”la buena onda(=the good wave)”と呼ばれ、近年目覚しく評価を高めるラテンフ・メリカ映画界において・『セントラル・ステーション』『アモーレス・ぺロス』そして『天国の口、終りの楽園』といったヒット作に続き・この難解な題材の映画化を熱望したのはブラジルCM業界の寵児フェルナンド・メイレレスである。“第二のスコセッシ”(スクリーン・インターナショナル誌より)と呼び声も高い彼
は、このカルチャーを体現できる唯一の役者として、2000人におよぶスラム在住の子供たちをオーディションしキャスティング、6ヶ月の即興演技指導と4ヶ月にわたるリハーサルの末、9週間ほぼオール・ロケーションでこの作品を撮り上げた。
 本国ブラジルで統計史上最高の300万人という未曽有の観客動員数を記緑している『シティ・オブ・ゴッド』。昨年の大統領選では、前大統領が「多くの子供が見られるようにすべき」と16歳未満禁止に異論を唱えて物議を醸し、図らずもいまや”ブラジル人なら必ず観るべき映画”となってしまった。硬派で社会性の強い本作のテーマを、ポンプな演出技法を用いて娯楽性の高い作品に仕上げていることに、「不謹慎ではないか?」と眉を畢める人々もいて然るべき。しか」監督はこう答える「ファヴェーラ自体が、ポップでユーモア溢れるところなのだから、仕方がないんだ」と。
最終章である80年代は、まさに“終焉のはじまり”でしかなかった。2001年の撮影当時、シティ・オブ・ゴッドは3派に分かれて対立、戦争勃発間近の様相を呈しており、ますます過激に手の付けようのない凶暴な街と化している。灼熱の太陽と陽気なサンバに飛び交う銃弾と血の雨。底抜けに明るい子供たちの笑顔と、想像を絶する残酷なサバイバルのシナリオ。おかしみ、悲しみ、憎しみ、憂い。あらゆる感情の渦巻く中に、神のみぞ知るこの街の未来を、あなたはどう予測するだろうか…。

ストーリー

物語は60年代後半、ブラジル、リオデジャネイロ郊外に新設された公営住宅”シティ・オブ・ゴッド”から始ま
る。集まって来るのはみな、洪水や放火で他のスラムを追い出され流れてきた貧乏な連中ばかり。みな天国を
求めてこの街にやって来たはずだった。写真家になって街を出ることを夢見るブスカペ。リオーのギャングになることを夢見るリトル・ゼ(=リトル・
ダイス)。ギャングから足を洗い、彼女とほかの街で平和な生活を送ることを夢見るベネ。自分のシマを守れる
か瀬戸際のヤクの元締めセヌーラ。いい仕事を見つけて街を出ることを夢見るバスの車掌マネ。それぞれの人間の愛と夢と欲望が渦巻くリオのスラム社会は、ドラッグと暴力と血にまみれ、徐々に手のつけようのない危険な怪物へと変貌していく…。

パート1:60年代後半
“優しき3人組”ことカベレイラ、アリカーチ、マヘクの3人が、街でのさばり強盗を操りかえしている。ある日、
カベレイラの弟分リトル・ダイスが考案した“モーテル襲撃事件”が歴史に残る惨劇となり、警察に追われる身となった3人組は解散、それぞれ身を隠した。数ヵ月後、隠れ処生活に見切りをつけて街を出ようとしたカベレイラは、警察に見つかり敢え無<銃殺される。カベレイラの遺体にフラッシュをたく新聞記者のカメラに強い印象を受けたブスカペは、その日からカメラマンになってこの街を出ることを夢見るようになる。 パート2:70年代 高校生になったブスカペは毎日ビーチに出かけて仲間と集い、自分で買った世界一安いカメラで仲間の写真を撮り、憧れのアンジェリカと結ばれて童貞を失うという夢ばかり見ながら、楽しい学生生活を満喫している。一方、モーテル襲撃事件以来、他の街に身を隠して悪事を働きつつ成長してきたリトル・ダイスは、リトル・ゼと名前を改め、シティ・オブ1ゴッドを乗っ取るために戻って<る。彼は親友ベネとともに、一日でスラム全域を支配下に治め、18歳にして街でNo.1の悪党に成り上がった。リスクの割に儲からない「強盗」から足を洗い、「麻薬」(特にコカイン)ビジネスに転向した二人はその道の成功者となり、まさにこの世の頂点を極めたかに見えた。リトル・ゼが極悪の道を突き進む一方、ベネは天性の明るい寛容な性格から、ファッションや恋にも目覚めていく。ブスカペの憧れ、アンジェリカと恋に落ちたベネは、リトル・ゼの残忍さに愛想を尽かし、彼女と二人で街を出て農村かどこかで暮らすことを考え始める。 そしてベネの送別会の日がやってくる。しかし、リトル・ゼと唯一敵対するギャング、セヌーラの弟分ネギーニュ の放った銃弾によって、パーティは予期せぬ悲劇の舞台と化してしまうのだった…。 パート3:終焉のはじまり一70年代末〜 リトル・ゼに彼女をレイプされ、家族を殺されたバス車掌のマネは、復讐のためセヌーラー味と手を組むことを決意し、いよいよリトル・ゼVSセヌーラ&マネの間で抗争が勃発。リトル・ゼはそれまで``自分のシマを荒らすから''と目の仇にしてきた少年たち(=ガキ軍団)も勢力に取り込み、またセヌーラはリトル・ゼに怨みを持つすべての人間を集めて対立。堅気も子供も巻き込んだ血で血を洗う戦争の慕開けとなった。そのころブスカペは、リトル・ゼのアジトに呼ばれて拠らされた写耳が新開社に買われて仕事を獲得し、アルバイトをしながら写真記者の見習いを始めていたところだった…。  

スタッフ

監督:フェルナンド・メイレレス
共同監督:カチア・ルンチ
原作:パウロ・リンス
脚本:ブラウリオ・マントヴァーニ
撮影:セザール・シャローン
編集:ダニエル・レゼンテ
美術:ツレ・ペアケ
演技指導:ファチマ・トレド
音楽:アントニオ・ピント、エチ・コルデス

キャスト

ブスカペ:アレキサンドレ・ロドリゲス
リトル・ゼ:レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ
マネ:セウ・ジョルジ
カベレイラ:ジョナタン・ハーゲンセン
ベネ:フィリピ・ハーゲンセン
リトル・ダイス:ドグラス・シルヴァ

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