原題:AVENGING ANGELO

もう二度と、愛するひとを死なせない

2002年/アメリカ/98分/カラー/シネマスコープ/SDDS,DTS,ドルビーデジタル 配給:アートポート

2004年11月26日よりビデオレンタル開始 2004年6月12日より新宿シネマミラノにてロードショー

公開初日 2004/06/12

配給会社名 0014

解説


 イタリアン・マフィアのドン、アンジェロ・アリギエーリが殺された。敬愛するボスを守りきれなかったボディガードのフランキーは、失意のなか、アンジェロの遺志に従って彼の娘を護衛することを誓う。娘のジェニファーは、自分の出生の秘密を知らずに、上流階級の人妻としての人生を送っていた。突然、人生が180度変わってしまったジェニファー。命を狙われ、数々のトラブルに巻き込まれながら、二人はアンジェロの復讐を決意する。復讐が成功したかに見えたそのとき、過去の闇から密やかに伸ばされた魔の手が、ジェニファーを狙っていた…。
キーワードは、復讐、ノスタルジア、そして愛。若きアンジェロの時代の因縁が子供の代にまで連鎖して悲劇を産み出そうと、ジェニファーを巻き込んでゆく。映画は、彼女と、彼女を命がけで守るボディガードのフランキーの戦いをスリリングに描くサスペンス。シルベスター・スタローンとマデリーン・ストウの豪華な顔合わせに加えて、今は亡きアンソニー・クインの名演が映画に深みを与える。
 
シルベスター・スタローン(「スペシャリスト」(‘94)「ドリヴン」(’01))が、ボスを死なせてしまった痛みを胸に抱きながら、その忠誠をボスの娘に向けるストイックなボディガード、フランキーを演じる。敵に向かって攻め行くという「動」のアクションではなく、守るべき人に迫る危険を的確に排除してゆくという「静」のアクション。あくまでボディガードとしての距離と節度を保ちながらも、深い愛情と包容力をチラリと露呈させてしまうシーンには、男の色気が漂う。
過去のマフィア抗争が原因で養女に出さざるをえなかった娘ジェニファーの成長を、フランキーとともにずっと密かに見守って来たマフィアのドン、アンジェロ・アリギエーリに、アカデミー賞受賞者の名優アンソニー・クイン(「道」(’54)「アラビアのロレンス」(’62)「その男ゾルバ」(’64)「雲の中で散歩」(’95))。信頼と愛情に裏づけられたフランキーとの暖かい関係、娘の幸福を願う滑稽なほど盲目的な父性愛、遺言のなかでアリギエーリ家の一員としての強さを娘に要求するドンとしての誇り、自身の死への覚悟など、老いたマフィアの複雑な心をユーモアを交えてさり気なく表現している。奇しくもこの映画が彼の遺作となった。
出生の秘密を知ったときから数々のトラブルにノンストップで巻き込まれてゆく上流階級の主婦に、マデリーン・ストウ(「将軍の娘/エリザベス・キャンベル」(’99)「ワンス・アンド・フォーエバー」(’02))。情緒不安定気味、夢見がちで、おしゃべりの鼻持ちならない金持ち女が、フランキーと行動を共にするようになってから、次第に自立心に芽生え、もともとの美貌に磨きがかかり、女っぷりも上がってゆく。フランキーとの間には、同志として、そして男と女としての、淡く暖かい感情が生まれる。時にはじゃじゃ馬、時には少女、そしてコミカルに、セクシーに、ストウはひとりの女性の多様性や変化を楽しませてくれる。
本作品は、カナダのトロントとオンタリオ、そしてイタリアのシチリアで撮影された。陽光降りそそぐ美しい街シチリアは、アンジェロが妊娠中の妻と共に暮らした思い出の地であり、過去の憎悪が産み出す闇に光を当てる重要な場所となっている。
そのほかにも、オペラやアンジェロの葬儀における神父のイタリア語など、イタリア的なもののモチーフが見られ、イタリア語を知らずに育ったジェニファーに通訳するフランキーの楽しそうな様子にも、アメリカで暮らすイタリア系マフィア達のノスタルジアを感じることができる。
監督は、イタリアン・マフィアを過激に暴いた“Connections“などの数々のドキュメンタリー映画を手掛け、エミー賞5部門ノミネートの「バトル・オブ・シリコンバレー」(TV:99)や、映画「パワープレイ」(78)、「トップ・シークレット」(84/脚本のみ)などで知られるマーティン・バーク。

ストーリー


マフィアのドン、アンジェロ・アリギエーリ(アンソニー・クイン)は、ボディガードのフランキー・デラーノ(シルベスター・スタローン)とともに、娘ジェニファー(マデリーン・ストウ)の成長を遠くから見守っていた。敵対するマフィア達から娘の命を守るため、赤ん坊のときに裕福な夫婦に養女に出していたのだ。現在のジェニファーは、浮気者の夫を追い出し、ロングアイランドの豪邸で幸せとはいえない生活を送っていた。

ある日、アンジェロは敵対するマフィア達に殺される。フランキーが一瞬そばを離れたすきの出来事だった。彼は、深く敬愛し忠誠を誓ったドンを守りきることができなかった…。
その夜、フランキーはジェニファーの前に姿を現わし、彼女が本当はマフィアのドン、アンジェロの娘であることを告げる。
アンジェロには敵対するマフィアが何人かいた。たとえば、ルチオ・マラテスタ。そしてサミー・カルボーニ。マラテスタは、その昔、反目し合っていたサミーを殺し屋に銃撃させておきながら、その濡れ衣をアンジェロに着せた汚い男だった。サミーは、ひとり息子ジャンニの行く末を案じながら、「アンジェロに子供が生まれたら見つけ出して殺せ」と、マラテスタに言い残して絶命した。
ジェニファーのまわりで、様々なことが起こりはじめる。ショッピングセンターで銃弾が飛び、屋敷にマラテスタの手下と思われる男達が忍び込む。フランキーは、アンジェロの遺志に従ってジェニファーのボディガードとなり、彼女を危機から救う。上品とはいえないフランキーと、マフィアの娘であることを頑として認めたがらない上流階級のジェニファー。うるさくしゃべり散らすジェニファーにフランキーは片頭痛を起こし、ジェニファーは彼のコロンに顔をしかめる。
しかし、いつしか彼女はフランキーに信頼を置くようになっていた。自分の命を狙う男達の行動に終止符を打たせたいと願い、さらにはアンジェロの娘としての自覚すら芽生え、アンジェロ殺しを指示したと思われる敵対マフィアのボス、マラテスタを自分の手で殺すと宣言する。

マラテスタらが根城とするホテルのクラブへ、ジェニファーはセクシーなドレスを着て婉然と乗り込む。マフィア達は、彼女をアンジェロの情婦と思い込み、ボスのもとへ連れて行く。ジェニファーの美貌の虜になったマラテスタは、彼女の裸体に興奮し、ベッドで心臓発作を起こしてこの世を去る。宣言通りジェニファーはマラテスタを殺したのだ!
フランキーを、マラテスタの手下ブルーノが狙う。銃口を向け、アンジェロを殺したことをほのめかすブルーノに、フランキーの銃が一瞬早く復讐の火を噴いた。
全ての危険は去った。ジェニファーは、「私を義理で守ってくれてるの?」と問いかけるが、フランキーはその微妙な心の揺れを受け止める事ができない。以前から憧れていた作家マルチェロの誘いを受けて彼女はシチリアに旅立ってしまう。フランキーは、少女時代から見守って来たジェニファーの不在に、深い寂しさを感じる。
フランキーはマルチェロの著作の最後のページにある文章を見つける。その文章は、アンジェロが残した謎めいた言葉と、さらには昔見たある光景と重なり、ひとつの不吉な像をシチリアに結ぶ。アンジェロ殺しを操ったのは本当にマラテスタだったのか!? ジェニファーの危険は本当に去ったのか!?
アンジェロの思い出の地であり、そして過去と現在が交差するシチリアへ、彼は飛び立つ。今度こそ、愛する者を守りきるために…。

スタッフ

監督:マーティン・バーグ
製作:タラク・ベン・アマール、スタンリー・ウィルソン、エリー・サマハ
脚本:ウィル・アルディス
撮影:オウサマ・ラーウィ,B.S.C.
美術:エリック・フレイザー
衣装:デニース・クローネンバーグ
配給:アートポート

キャスト

シルベスター・スタローン
アンソニー・クイン
マデリーン・ストウ
ラウル・ボーヴァ

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