原題:SECRETARY

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「メメント」に続き、 サンダンスが熱狂した映画界の新風登場! 弁護士と新人秘書との奇妙な主従関係が、やがて一途な純愛に!? アメリカ女性に熱狂的に支持されたクセになるラブストーリー。

サンダンス国際映画祭〈特別審査員賞〉受賞 全米ナショナル・ボード・オブ・レビュー<最優秀ブレイクスルー賞>受賞 ゴールデン・グローブ賞<最優秀主演女優賞>ノミネート ボストン映画批評家協会賞<最優秀主演女優賞>受賞 シカゴ映画批評家協会賞<新人演技賞>受賞 インディペンデント・スピリッツ・アワード <最優秀新人脚本賞>受賞

2002年9月20日全米初公開

2002年/アメリカ/111分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/字幕翻訳:石田泰子  提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ  宣伝:ギャガGシネマ風 協力:ハピネット・ピクチャーズ 

2004年03月25日よりDVD発売開始 2003年7月19日よりシネマスクエアとうきゅう他全国順次ロードショー

公開初日 2003/07/19

配給会社名 0025

解説


2002年1月、サンダンス国際映画祭はこの1本の映画に湧いた!
ジョン・ウォーターズらクセモノ審査員のド肝を抜き、その卓越した「オリジナリティ」に対して特別審査員賞を贈られた『セクレタリー』。雇い主のインテリ弁護士に一風変わった秘書教育をされたことから自身の快感にめざめてしまった新人秘書が、ボスのハートを射止めようと大奮闘。その過程で、自分本来の魅力も開花させていく姿を描いた純愛ストーリー。全米では2002年末の賞レースの目玉となり、主演のマギー・ギレンホールが全米ナショナル・ボード・オブ・レビューをはじめとする新人賞を総ナメ。ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にもノミネートされるなど、インディーズの枠を突き抜けてアメリカ女性に熱い支持を集めた正真正銘の話題作だ。
ヒロインのリー・ホロウェイは、男性経験も就職経験もゼロの内向的な女性。人一倍デリケートな彼女は、心の痛みを肉体に刻みつけ、それが癒えることで安心するという自傷癖を持っている。そんなリーが、社会復帰をめざして就いたのは、個人弁護士事務所の秘書の仕事。ボスのミスター・エドワード・グレイは、タイプのミスに赤ペンでツッコミを入れるシゴキ体質の男だったが、意外にも、リーは彼の秘書教育に快感を覚える。以来、ミスター・グレイの愛のムチを求めて、積極的にモーションをかけるリー。いつしか彼女は、自分が心からミスター・グレイを愛していることに気づくのだが……。
ボスと秘書の奇妙な主従関係が、やがて一途な純愛に変化を遂げていく。ユニークで風変わりな、かつ恋愛にまつわる普遍的な駆け引きの機微を盛り込んだドラマに、スペシャルな輝きを与えているのは、リーに扮したマギー・ギレンホールのハマリきった熱演ぶりだ。オシリを叩くミスター・グレイの手の感触に、快感を覚えるリー。自分の欲望を認めることで自信に満ちたポジティブなオンナに変貌し、真実の愛を獲得していく稀代のヒロインを、この上なくチャーミングに演じる彼女の演技は、センセーショナルの一語に尽きる。本作で合計8つの賞を受賞、4つの賞にノミネートされた彼女は、いまや引く手あまたの人気者。スパイク・ジョーンズ監督のアカデミー賞受賞『アダプテーション』でニコラス・ケイジの相手役をつとめ、ジョージ・クルーニー監督の『コンフェッション』に続き、ジョン・セイルズ監督の『Casa de Los Babys』、マイク・ニューウェル監督の『Mona Lisa Smile』でジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンストとの共演が決定するなど、個性派作家に愛されるカリスマ女優の道を着々と邁進している。
そんなマギー・ギレンホールに負けず劣らずのハマリっぷりを見せるのが、ミスター・グレイに扮したジェームズ・スペイダーだ。秘書面接の一発目の質問が「妊娠中か?」という弁護士の役が、これほど似合う役者は他にいない。リーとの奇妙な主従関係がエスカレートしていくに従って、自己嫌悪と困惑にさいなまれていくあたりの感情を、鼻の下に汗を滲ませる芝居は、とにかく「ウマイ!」のひとことだ。
このふたりに絡むリーの幼なじみピーターを演じるのは、『CQ』のジェレミー・デイヴィス。リーと似た者同士の恋愛を育んでいけると思いきや、ミスター・グレイの「秘書教育」を受けたリーの成長に置いてきぼりをくらうドン臭い役どころに、持ち前の神経症的な個性が十二分に生きている。
監督は、『ダブル・ロック/裏切りの代償』に続き、本作が長編2作目となるスティーブン・シャインバーグ。入口が奇妙に捻じ曲がった恋愛の物語を、「私ってヘン?」と悩める人々の共感を誘うタッチで描き、最後には爽快な気分を味わわせてくれる演出の手腕は、タダモノじゃない。本作でドーヴィル映画祭、ロカルノ国際映画祭、インディペンデント・スピリッツ・アワードのノミネートを受けた彼は、アレクサンダー・ペイン、ウェス・アンダーソン、スパイク・ジョーンズ、ニール・ラビュートらと肩を並べる新世代の作家として、今後はメジャーのフィールドでも大暴れしそうだ。
メアリー・ゲイツキルのベストセラー短編小説「悪いこと(原題:Bad Behavior)」を元に、シャインバーグと共同で脚本を手がけたのは、オフ・ブロードウェイの劇作家として活躍するエリン・クレシダ・ウィルソン。絶妙なカメラワークでドラマのテンションを盛り上げる撮影監督は、『エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃』のスティーブン・フィアバーグ。音楽は、シャインバーグが敬愛するデイヴィッド・リンチとのコラボレーションで知られるアンジェロ・バダラメンティが担当。主人公ふたりの心模様をなぞらえる妖しい旋律を提供している。
トロピカル・デコとアジアン・スタイルをミックスしたようなミスター・グレイのオフィスのインテリア、ラベンダー色のフリルのブラウスにシースルーのハイソックスを合わせるリーのダサかわいいファッションなど、映画を彩るオシャレ系のアイテムも見逃せない。

ストーリー


秘書求ム!従順なタイピスト大歓迎。
それは、運命の出会いだったのかもしれない。リー・ホロウェイ(マギー・ギレンホール)とミスター・エドワード・グレイ(ジェームズ・スペイダー)。おたがいの存在さえ知らなかったふたりを引き合わせたのは、ミスター・グレイが新聞に出した「秘書求ム!」の広告だった。
リーは、心の不安を身体に刻みつけ、傷が癒えることで安心する自傷癖の持ち主。その治療で精神病院に入院した彼女は、退院後、社会復帰をめざしてコミュニティ・カレッジに通い、タイプの資格を取った。いま、過保護の母(レスリー・アン・ウォーレン)が運転する車に乗ってミスター・グレイの弁護士事務所にやって来た彼女は、生まれて初めての就職に挑戦しようとしている。仕事の中身は、タイプ、お茶汲み、電話の取り次ぎ。「とても退屈な仕事だ」と言うミスター・グレイに、「退屈な仕事が好きです」と答えるリー。なぜかふたりの波長はぴったり。かくしてリーは、めでたくミスター・グレイの秘書として採用されることになった。
オフィスで蘭を育てているミスター・グレイは、繊細な神経の持ち主のようだった。ネズミ捕りにエサを仕掛けたり、ゴミ箱の書類をあさったり。ときにはヘンな仕事を頼まれることもあったが、リーは、そのひとつひとつにやり甲斐を感じる。そんな彼女の前には、ボーイフレンドと呼べる男性も出現した。自分と同じように精神病院に入院した経験を持つ幼なじみのピーター(ジェレミー・デイヴィス)だ。コイン・ランドリーでパンツをたたみながら、ふたりは初めてのキスを交わす。
ミスター・グレイの態度が豹変したのは、その翌日のことだった。リーがタイプした書類のミスを赤ペンでマークした彼は、何度も打ち直しをさせたあげく、リーのビンボーゆすりや鼻をすするクセに「みっともない」とモーレツなツッコミを入れ始めたのだ。実はそれは嫉妬のなせるワザ。前夜、偶然コイン・ランドリーに足を踏み入れたミスター・グレイは、リーとピーターのキスシーンを目撃していたのだった。そうとは知らないリーはドギマギするばかり。が、どこまでも謙虚な(!?)彼女は、ミスター・グレイの「厳しさ」に感謝の気持ちを覚える。
実際、ミスター・グレイは、厳しさと優しさを兼ね備えたボスだった。リーの自傷癖に気づいていた彼は、「何か問題があるなら遠慮なく相談をするように」と言い、彼女に気分転換の方法を教える。翌日からリーは、自傷のための裁縫セットを持ち歩かなくなった。
そしてついに、あの日が訪れた。タイプミスを発見したミスター・グレイにオフィスへ呼び出されたリーは、ボスに与えられたお尻叩きの秘書教育に、モーレツな快感を感じてしまったのだ。以来、ミスター・グレイの愛の鞭を待ち焦がれるようになるリー。いつしかふたりの「その行為」は日常のルーティン・ワークのなかに溶け込んでいき、自分が求めるものは何かを知ったリーは、有能かつ魅力的な秘書として大成長を遂げていく。
それが唐突に終りを告げたのは、アルコール依存症の父(スティーヴン・マカティ)の入院にショックを受けたリーが、ミスター・グレイの自宅を訪ねていった晩のことだった。リーが自分自身の心をさらけだそうとしているのを敏感に察したミスター・グレイは、二人の間に精神的な愛が介在してくることを恐れ、翌日から完全にビジネスライクな態度で接してくる。そんな彼に歯がゆい思いを抱いたリーは、あの手この手の挑発作戦を開始。ついに、ミミズ入りの手紙を送りつけることで、ミスター・グレイの奇妙な行為を誘発することに成功する。が、これにドッと自己嫌悪を覚えたミスター・グレイは、オトナの分別を総動員してリーに解雇を申し渡した。
そんなリーを待ち受けていたのは、ピーターのプロポーズの言葉だった。彼は私を満足させてくれる男じゃない。そう思いながらも、なんとなく結婚を承諾するリー。しかし、どうしてもミスター・グレイを思い切れないことに気づいた彼女は、ウェディング・ドレスに身を包んだまま、ミスター・グレイのオフィスに飛び込んでいく。
「愛してるわ。セックスして」
リーの直球の告白にたじろぐミスター・グレイ。果たして彼は、彼女の一途な愛に応えることができるのだろうか……!?

スタッフ

監督:スティーブン・シャインバーグ 
脚本:エリン・クレシダ・ウィルソン
原作:メアリー・ゲイツキル
音楽:アンジェロ・バタラメンティ
撮影:スティーブン・フィアバーグ

キャスト

リー・ホロウェイ:マギー・ギレンホール
エドワード・グレイ:ジェームズ・スペイダー
ピーター:ジェレミー・デイヴィス
ジョアン・ホロウェイ:レスリー・アン・ウォーレン
バート・ホロウェイ:ステファン・マクハティ

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