新たなる時代劇エンターテイメントの誕生、 山田風太郎の最高傑作『魔界転生』完全映画化!!

2003年/日本/ 配給:東映

2003年10月10日よりビデオレンタル開始 2003年10月21日よりDVDリリース 2003年4月26日より東映邦画系

公開初日 2003/04/26

配給会社名 0004

解説


死してなお蘇った島原の乱の総大将・天草四郎。そして彼の呼びかけによって、不死の命を与えられた名だたる剣豪たち。超人的なカを秘めた彼ら魔界衆と、不世出の天才剣士・柳生十兵衛との宿命の対決を描く、山田風太郎による忍法帖小税の最高傑作「魔界転生」が、故・深作欣二監督版以来22年ぶりに映画化された。今回の作品で映し出されるのは、登場人物たちの“完全なる自由への渇望”。柳生十兵衛とは同門対決という壁に阻まれた荒木又右衛円、人を殺してはいけない宗教の戒律に縛られ槍の真髄へと辿りつけなかった宝蔵院胤舜、老いが己の剣を錆びさせてしまう宮本武蔵、さらには幕府大目付という立場から他流派との立ち合いを自ら禁じてきた柳生但馬守に至るまで、剣豪たちは現世、森羅万象のしがらみから解き放たれ、弦さのみを求め魔界に転じる。そして天草四郎もまた、宗教・信仰の自由を徳川幕府によって弾圧された島原の乱を経て、真の自由世界を実現するため、徳川の権力を崩垣させようと画策する。そして、彼らと互角に斬り結ぶことができる人間は柳生十兵衛ただ一人。そういう魔界衆たちとの戦いによって、世捨て人同然の日々を送っていた柳生十兵衛が、自分もまた剣の獣道へと入っていく。
魔の中に真実の自由を見出そうとする魔界衆、そして対する生者たちの人間ドラマを描くのは、大ヒット・ホラー『学校の怪談』シリーズ(95,96,99年)を始め、母娘の愛憎を描いた『愛を乞うひと』(98年)、そして昨年は『笑う蛙』、『OUT』などのミステリーと幅広いジャンルの作品を発表し、日本映画界には欠かせない存在となった実力派・平山秀幸監督。時代劇は今回が初挑戦となるが「何でも成立する時代劇のキャパシティの広さを楽しんで、作品の世界規を作り上げたい」と意気込みを語ったように、『学校の怪談』シリーズで培われたSFXとドラマを融合させる演出、単なるスーパーヒーローではない人間的な弱さやひょうきんさも垣間見せる十兵衛のキャラクター造形など、山田風太郎ワールドに独自の視点を持ち込みながら、21世紀型のアクション・エンタテインメントに仕上げている。
魔界衆を束ねる天草四郎には、『GO』(01年)で各映画賞の主演男優賞を総なめにし、その後も『Laundry(ランドリー)』『ピンポン』『凶気の桜』(02年)と主演作が相次いでいる窪塚洋介。ここでは、美しき堕天使を思わせる四郎をハマリ役で演じている。対する柳生十兵祷に扮するのは、『KT』(02年)『壬生義士伝』(03年)などの話題作に出演している佐藤浩市。魔界衆の誰もが一度は思い切り戦ってみたかったという十兵衛を、鋭い殺陣を披露しながら存在感たっぷりに演じている。その他、四郎にすべてを捧げて尽くす魔界衆の紅一点・クララお品に麻生久美子。彼女の妖艶にして凄惨な色香は、男たちがぶつかり合うドラマの中で見事な彩りのアクセントになっている。魔界衆・荒木又右衛門に加藤雅也、宝蔵院胤舜に古田新太、宮本武蔵に長塚京三が扮するほか、十兵衛と父子対決をする柳生但馬守には中村嘉葎雄。彼がクライマックスで見せる十兵面との江戸城での一騎討ちは、作品の大きな見どころだ。また十兵衛を守って魔界衆に立ち向かう柳生衆として黒谷友香、吹石一恵、高橋和也が出演。そして天草四郎の誘いによって将軍の座を我がものにしようとする徳川頼宣に杉本哲太が扮するほか、最後には驚きの人物が魔界から甦ってくる。
スタッフには世界的な人形師で、着物・舞台衣装デザイナーとしても活躍するホリ・ヒロシが、天草四郎やクララお品などの衣裳デザインを担当。また今だからこそ可能になった、原作にも忠実な魔界衆が転生してくるシーンなどの特撮は、『千年の恋 ひかる源氏物語』(01年)の佛田洋、『学校の怪談』シリーズの橋本満明、『陰陽師』(01年)で知られる特殊造形の原口智生が担当し、驚得の映像表現を見せてくれる。そして撮影は、昨年の『Dolls(ドールズ)』に至るまで北野武監督とのコラポレーションが、世界から高い評価を受けている名キャメラマン、柳島克己。今回も夜の闇を見事なブルー・トーンの色調で捉えた、そのカメラワークから目が離せない。最高のキャストとスタッフが一堂に会したニュー・バージョンの「魔界転生」。自由を求める四郎や剣豪たち、その生き方に引き込まれて戦いの場に臨む十兵衛の姿には、多くの人が共感を覚えることだろう。

ストーリー



1638年、島原の乱。切支丹弾圧への最後の抵抗———。3万7千の農民たちに対し、徳川幕府は12 万に及ぶ軍勢を動かした。天草四郎の切支丹伴天連の妖術への恐れが生んだ苛烈なまでの反応であった。100日に及ぶ篭城の末、一揆勢は一人残らず討たれ、すべての首が切り落とされた。——そこに神はいなかった。
十余年後、天下は3代将軍徳川家光の治世、その安泰の世に、徳川頼宣は野心と不満を抱えていた。南海の竜と呼ばれる気性の激しさで、次期将軍の座を狙いつつもそれが難しいことも熟知していた。
ある鷹狩りの日に、頼宣の前に天草四郎が姿を現す。島原の乱で死んだはずの四郎は、頼宣に天下を取らせると言う。半信半疑の頼宣に四郎はその秘術“魔界転生”を見せる。火水風土の四元素の杯に守られた聖壇、その上に胸に逆十字の痣を持つ忍体となった裸身の女が拘束されている。四郎の祈祷とともに女の体の中心線に赤い筋が走り、裂ける。そこからあらわれたのは、柳生流の豪傑・荒木又右衛門!魔界衆となり、いま一度この世に蘇ったのだ。四郎につき従うクララお品は言う「無念、ただ無念の思いがこの世に転生するよすがなのです」。更なる魔界衆を作るという計画のために紀州藩に集められる女たちの中に柳生衆のおひろ・お雛がいた。紀州藩の動向をいぶかしむ柳生衆は密かに探りを入れ、その恐るべき計画を知ってしまう。そして、柳生十兵衛が動き出す!おひろ・お雛の救出に向かう彼を待ち受ける、蘇った剣豪荒木又右衛門、宝蔵院胤舜、宮本武蔵そして、柳生但馬守。十兵衛を魔界衆にするべく暗躍する四郎。そして、柳生十兵衛は剣豪たちと斬り結ぶ地獄巡りの中、己の剣に目覚めていく・・・!!

スタッフ

監督:平山秀幸
原作:山田風太郎(角川文庫版)
脚本:奥寺佐渡子
撮影:柳島克己
美術:松宮敏之
音楽:安川午朗
コンセプチュアル・デザイン:寺田克也
特撮監督:佛田博
視覚効果統括:橋本満明
特殊造形スーパーバイザー:原口智生

キャスト

窪塚洋介
麻生久美子
杉本哲太
黒谷友香
吹石一恵
高橋和也
加藤雅也
古田新太
柄本明
中村嘉葎雄
長塚京三
佐藤浩市

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