原題:REVENGERS TRAGEDY

リベンジは罪か?悲劇か?

2002年/イギリス/カラー/110分/アメリカン・ヴィスタ 配給:ケイブルホーグ

2004年08月27日よりDVD発売開始 2003年9月13日より渋谷ユーロスペースにてロードショー公開

公開初日 2003/09/13

配給会社名 0029

解説



『レポマン』『シド アンド ナンシー』『ストレート・トゥ・ヘル』のアレックス・コックスが故郷リヴァプールで待望の新作『リベンジャーズ・トラジディ』を完成させた。シェイクスピアの協力者であったトーマス・ミドルトンの17世紀の戯曲「復讐者の悲劇」をコックス独特のブラック・ユーモアと、ゴシックホラーを思わせる重厚な映像で映画化。コックスがこの戯曲と出会ったのは、パンク・ムーブメントの渦中の1976年だった。バイオレンスと終世的思想とブラック・ユーモア満載の、時代を超越した血生臭いドラマに魅了され、いつか映画化したいと考えたという。普遍的なテーマ“復讐”について書かれた古典を、コックスならではの反体制的パンク感覚全開で現代風にアレンジ。アカデミックな上品さを残しながらも、無遠慮で圧倒的なエネルギーに満ちたオリジナリティあふれるアナーキーなドラマが展開される。
荘厳で退廃的な街並みが残るリヴァプールを舞台に、スタッフ、キャストは地元出身者を多数起用。「復讐者の悲劇」をかつて舞台で演じた経験を持つ役者たちが、再び映画で顔を合わせることとなった。愛する女を殺され復讐に燃えるヴィンディチを、クリストファー・エクルストンは飾り気のない荒削りな姿で演じる。一方、派手な衣装に付けまつげのデュークの長男ルスリオーソを演じるエディ・イザードは、イギリスで最も面白い男と言われるスタンダップ・コメディアンだ。近年は個性的な魅力のある俳優として『ベルベット・ゴールドマイン』、『ブロンドと柩の謎』等に出演。圧倒的存在感、悪の親玉デュークを演じるデレク・ジャコビは、イギリス演劇界の重鎮で「Sir」の称号を持ちシェイクスピアを得意とする。有力政治家アントニオを演じるアントニー・ブースは、トニー・ブレア英首相の義父でもある。その他TVや舞台で活躍中の若手俳優たちなど、イギリス映画を担う個性派俳優が名を連ねる。
無数のボディピアスに大胆なボディペインティングとタトゥー。グラム・ロック・スターのようにきらびやかなジャケットに、古典演劇の衣装に使われるようなドレス。衣装にもメイクにも格別のこだわりを見せ、クラシックかつパンクな、今までにない独特のスタイルを生み出している。音楽を担当したのはポップ+アナーキーな楽曲で人気のチャンバワンバ。彼らは1997年発表の「Tubthumping」が世界的に大ヒット。日本でもTBS「SUPER SOCCER PLUS」のテーマ曲として使われている。『リベンジャーズ・トラジティ』では端正で近未来的なオリジナルサウンドを見事に映像と一体化させている。イギリスでは、『ロミオ+ジュリエット』の古典と現代をバランスよく混ぜ合わせたスタイリッシュさと、『レザボア・ドッグス』や『時計じかけのオレンジ』が持つ暴力性を組み合わせた作品と評価されている。

ストーリー


2011年、リヴァプール。彗星の衝突により、イギリス南部とヨーロッパの一部は劇的な被害を受け、北部は各地から流れ込んできたギャングの横行と都市の退廃に悩まされていた。ここは今や悪の親玉デュークとデュークの長男ルスリオーソ、次男アンピシオーソ、三男スーパーヴァキュオ、四男ジュニア、末っ子スピューリオの愚かな息子たちの支配下である。彼らは衛星カメラで街を監視し、女をレイプしたりと、好き勝手な生活を送っていた。
謎めいた男が朽ち果てた通りを歩いている。「コックニーか?」ガキどもに喧嘩をけしかけられるが、男は一撃で倒していく。その男の名はヴィンディチ。
10年前、デュークの陰謀により花嫁衣装に身を包んだ最愛の恋人グロリアーナを、目の前で失ったヴィンディチ。美しく貞節なグロリアーナが、猥褻なデュークの誘いを拒みつづけたからである。絶望の果て、彼はずっと姿を消していたのだ。
その男ヴィンディチが帰って来たのだ。復讐の炎を燃えたぎらせて。
その晩、ヴィンディチはデューク一族の警備員をしている兄カルロと再会する。カルロの紹介でヴィンディチは長男ルスリオーソに会う。ヴィンディチの正体を知らないルスリオーソは、お気に入りのナイフ投げの娘カスティーザとの仲を取り持ってほしいと彼を雇う。カスティーザはあの忌々しい10年前の結婚式の日、間一髪で命が助かったヴィンディチの妹である。
ヴィンディチの復讐の始まりだ!長男ルスリオーソの信頼を得るため、ヴィンディチはまず妹カスティーザに罠をしかける。(敵を欺くのはまず味方から?)正体を明かさず、妹にルスリオーソの使いと名乗り、彼の寵愛を受けるように勧める。カスティーザはその申し出をきっぱりと拒否。そしてすぐに目の前の男が兄ヴィンディチであることを見抜くのであった。ヴィンディチは次に盲目の母ハンナを試す。娘カスティーザにルスリオーソの女になるよう勧めろと。ハンナは息子ヴィンディチを見分けることができない。心も盲目になってしまっているのだろう。金で動く醜い老女になっていた。
その後、地元の有力な政治家アントニオの若妻イモジェンをレイプした罪で、四男ジュニアが刑務所に服役することになる。ヴィンディチは計画を変え、デュークと5人の息子たちを対立させ、一族が滅亡するように仕組みはじめる。後妻であるデューク夫人と末っ子スピューリオのスキャンダルをつかんだヴィンディチは、それを利用しルスリオーソに罠をしかける。ヴィンディチの話に憤慨し現場に踏み込んだルスリオーソだったが、そこにいたのはスピューリオではなく父親デュークだった。そしてデュークに謀反を働いたとされルスリオーソも刑務所に。
ヴィンディチの復讐は思い通りに進行する。もともと利己主義な兄弟たちは権力をめぐって対立していく。ヴィンディチは刑務所からルスリオーソを助け出し、彼から絶大な信頼を得る。残った3馬鹿兄弟は次の後継者の座を狙っているルスリオーソを消そうと、デュークに息子の処刑を命じる書面を作らせる。刑務所の執行人にルスリオーソの処刑を頼むが、彼が脱獄していなくなっていたため、同じ刑務所に服役中のジュニアが処刑されてしまう。
その頃、若妻イモジェンはレイプされた屈辱から自らの命を絶ち、街は深い悲しみに包まれた。一方、まぬけなアンビシオーソとスーパーヴァキュオの兄弟は、兄ルスリオーソが処刑されたと思い墓場に赴くが、実際は弟のジュニアが殺されていたことを知って驚き、怒りに狂う。そうして、さらに兄弟たちの対立は深まるのだった。
ついにデュークヘの復讐のチャンスがやってきた。好色なデュークが女を手配しろと言い出したのだ。ヴィンディチは兄カルロ、妹カスティーザ、そしてドクロとなったグロリアーナと共に、本当の行き先を誰にも告げずにやって来たデュークを騙し、毒殺が成功する。
翌朝、イモジェンの死を悼む花とテディベアで飾られたアントニオの屋敷前に、デュークの死体が捨てられていた。同じ朝、ヴィンディチはデューク夫人とスピューリオの密通を暴露し、一族をさらに破滅に追い込んでいく。そして、父の死をまだ知らぬ長男ルスリオーソは、自分がデュークになりたいために父の暗殺をヴィンディチに依頼するのであった。だが、デュークはすでに死んでいた。もちろん後継者はルスリオーソ、新しいデュークの誕生である。ルスリオーソは今でもカスティーザが一番のお気に入りで、今度は権力で彼女を手に入れようとする。パーティー会場で彼女のナイフ投げの標的となったルスリオーソを事故に見せかけ、ヴィンディチはとどめを刺す。即座に、次のデュークの座を争って残された3馬鹿兄弟たちは互いに撃ち合い倒れるのであった。
翌朝、ヴィンディチと彼の家族は新たな権力者となったアントニオの屋敷に招かれ、事件の真相を尋ねられる。そして、ヴィンディチはすべて自分がやったと告白する。それはヴィンディチ一族を窮地に追い込むことになる…。

スタッフ

監督:アレックス・コックス
脚本:フランク・コットレル・ボイス、アレックス・コックス
プロデューサー:マーガレット・マテソン、トッド・デーヴィス
撮影:レン・ガウィーング
編集:レイ・ファウレス
プロダクション・デザイナー:セシリア・モンティエル
              レミ・ヴォーヌ・リチャーズ
キャスティング・ディレクター:ギャリー・デイビー
メイクアップ:レスリー・ブレナン
衣装:モニカ・アスラニアン
音楽:チャンバワンバ
原作:トーマス・ミドルトン「REVENGERS TRAGEDY」(復讐者の悲劇)

キャスト

クリストファー・エクルストン(ヴィンディチ)
エディ・イザード(ルスリオーソ)
デレク・ジャコビ(デューク)
アンドリュー・スコフィールド(カルロ)
カーラ・ヘンリー(カスティーザ)
マーギー・クラーク(ハンナ)
アントニー・ブース(アントニオ)
ソフィー・ダール(イモジェン)
ダイアナ・クイック(デューク夫人)
ジャスティン・サリンジャー(アンビシオーソ)
マーク・ウォーレン(スーパーヴァキュオ)
ポール・レイノルズ(ジュニア)
フライザー・エアーズ(スピュ—リオ)
ショーン・メースン(ヒッポリート)
アレックス・コックス(デュークの運転手)

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