原題:ANALYZE THAT

悲しみにくれるニューヨークに元気を与えたオアシス・ムービー

2002年12月6日全米初公開

2002年/アメリカ映画/1時間36分、5巻、2630m/ビスタビジョン・サイズ/SRD/SDDS/DTS 字幕翻訳:杉田明子 配給:ワーナー・ブラザース映画 

2010年07月14日よりDVDリリース 2007年06月08日よりDVDリリース 2005年03月25日よりDVDリリース 2003年09月05日よりビデオレンタル開始 2003年3月29日より丸の内ピカデリー2系

© 2002 Warner Bros. All Rights Reserved. © 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

公開初日 2003/03/29

配給会社名 0085

解説



 腹の底から笑ったり、自分の本心をさらけだしたり。そんなことがなかなか出来なくなっている今日この頃。世間では暗いニュースばかりが続き、他人との関係も希薄になってきている現代社会で、頑張るしかない私たちの疲れた心をそっと癒してくれるオアシス・ムービーが登場した。9・11テロ事件後、被害の爪あとが色濃く残るニューヨークで、いち早く撮影が開始され、現地に明るい笑顔と元気を取り戻させた本作『アナライズ・ユー』。神経症持ちのマフィアのボスと気弱な精神分析医のおかしな交流を描いて大ヒットした『アナライズ・ミー』の続編だ。
 昨今、泣ける映画が非常にもてはやされているが、その理由の一つは、きっと“泣く”行為によって“浄化作用”=“癒し”効果が働いてカタルシスを得られるから。
ところがこれ、“笑い”にも同じことが言えるのだ。
 そもそも脳と密接な繋がりを持っている“笑い”。その効用は、「脳血流量のアルファ波を増やす」、「脳内麻薬物質とも言われるβ?エンドルフィンを出す」、「コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンを減少させる」などなど、リラックス効果をもたらすことが医学的にも証明されており、実際にさまざまな病気の治療にも“笑い”が取り入れられている。
 強面マフィアがしくしく泣き出したかと思えば、彼をセラピーするはずの精神分析医までもが、父親との確執を吐露。お互いが抱えるトラウマを乗り越え、患者・医者、裏稼業・カタギの立場を超えて、友情(?)を育む二人のハートウォーミングなコメディに、NYっ子たちは笑って癒されたのだ。
 あの大惨事の後、あらゆる事態に備えて、一層厳重になったニューヨークのセキュリティー。それはこの国の一大産業である映画業界も例外ではなかった。しかし、「あの悲劇を体験したからこそ、あえて撮影を敢行することが街のためになると思ったし、ニューヨークを舞台にしなければ意味のない作品なんだ」と語る主演のロバート・デニーロは、トライベッカ地区に自身の製作会社を持つほどの名高いニューヨーク派。昨年は映画祭を主催したり、追悼式典に参加するなど、ニューヨークを代表する大スターとして尽力してきただけに、本作をテロ後のニューヨークで製作することは、彼にとっても、製作者サイドにとっても非常に意義深いものだったのだ。
 撮影はパーク・アヴェニューやクイーンズ地区など、ニューヨーカーになじみ深い場所が多数選ばれたが、特に圧巻なのはマンハッタンを一望できるブルックリンブリッジでのラストシーン。かつてはワールド・トレード・センターを一望できた名所だっただけに、そこをラストに持ってくるあたり、彼らの思い入れの強さが感じられるというもの。こうした現地の街並みをふんだんに映し出したロケにはニューヨーク市が全面協力し、また、その撮影風景を地元有力誌ニューヨーク・タイムズが大フィーチャーして掲載するなど、まさに街をあげての盛り上がりと活気を見せつけた映画となったのだ。
 前作に引き続いて、マフィアのポールに「ゴッドファーザーPARTⅡ」「ショウタイム」の演技派ロバート・デニーロ、分析医ベンに「恋人たちの予感」「アメリカン・スウィートハート」の名コメディアンにして名優ビリー・クリスタルが扮するほか、ポールの忠実な部下をコミカルに演じる「愛しのローズマリー」のジョー・ヴィッテレリ、ベンのしっかり者の妻役に「フレンズ」のリサ・クドロー。監督には脚本家・プロデューサーとしても手腕が光る「悪いことしましョ!」のハロルド・ラミスと、前作のスタッフ・キャストが全員再結集、息のあったところを見せつけている。
 暗い気分を一掃し、ニューヨーク復興に一役買った本作。この癒しパワーで、アナタも明日へ元気と活力を蓄えてみては?

ストーリー



 ポール・ヴィッティ(ロバート・デニーロ)は、ニューヨークではばをきかせる恐いものナシのマフィアのドンである。ところが、彼はストレスにやられ始めた。ギャング的行動にでようとすると、不安症の発作に襲われてしまうのだ。2週間後のマフィア総会までに、そんな彼をもとに戻すようにと治療を依頼されたのが、気弱な精神分析医ベン・ソボル(ビリー・クリスタル)だった…。と、ここまでがマフィアと医者の奇妙な友情を描いた、前作『アナライズ・ミー』だ。
 そして『アナライズ・ユー』のヴィッティは、シンシン刑務所で拘束の身である。
彼を監視するFBI捜査官たちは戸惑っている。冷酷な恐るべきマフィアのボスが、錯乱状態にあるのだ。昏迷状態でふさぎ込んだかと思うと、彼は突如として『ウエスト・サイド・物語』の歌を踊りながら歌いだすではないか。深刻な心の病なのか。それとも刑務所から出所するための演技なのか。そこで、またもや腐れ縁で呼び出しをくらうのがソボルだった…。
 だが、ソボル自身も心に悩みを抱えていた。父親を亡くして、アイデンティティを失いかけているのだ。そんなことはおかまいなく、ヴィッティはソボルの保護管理付きという条件のもと、釈放される。身元引き受け人になってしまったソボルは、このとんでもない男を自宅に連れ帰るハメに。妻のローラ(リサ・クドロー)は招かざる居候にカンカンだ。
 ソボルは彼にまっとうな職まで世話しなくてはならない。ようやく1つだけ彼にぴったりの仕事が見つかった。架空のマフィア一族が描かれたケーブル・テレビ局の人気番組「リトル・シーザー」の専門アドバイザーという仕事だ。ヴィッティは、撮影現場に昔の仲間たちを集めて何かをやらかしそうだが…?

スタッフ

監督:ハロルド・ラミス
脚本:ピーター・スタインフェルド、ハロルド・ラミス、ピーター・トーラン
製作:ポーラ・ワインスタイン、ジェイン・ローゼンサール
製作総指揮:バリー・レビンソン、クリス・ブリガム
  レン・アマート、ブルース・バーマン
製作総指揮:ビリー・クリスタル
撮影:エレン・キュラス、A.S.C.
美術:ウィン・トーマス
編集:アンドリュー・モンドシャイン、A.C.E.
共同製作:スザンヌ・ヘリントン
音楽:デイビッド・ホルムズ
衣装:オード・ブロンソン=ハワード

キャスト

ポール・ヴィッティ:ロバート・デニーロ
ベン・ソボル:ビリー・クリスタル
ローラ・ソボル:リサ・クードロー
ジェリー:ジョー・ビテレッリ
パティー・ロプレスティ:キャシー・モリアーティー=ジェンティエリー
マイケル・ソボル:カイル・バイヒー
ミラー刑事:ジェイムズ・ビベリー
セローン刑事:カーリー・ソーン
リチャード・チャピン:ジョン・フィン
ジョー・トーレ:本人
マイケル・トーレ:本人
ルー・リガッチ:フランク・ジオ

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