原題:MOONLIGHT MILE

アメリカ公開2002年9月20日

2002年/アメリカ映画/116分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル、ドルビーSR、dts、SDDS 協力:アーティストフィルム オリジナル・サウンドトラック:ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル ギャガ・ヒューマックス共同配給

2004年01月23日よりDVDリリース 2004年01月09日よりビデオレンタル開始 2003年6月28日よりみゆき座他全国東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2003/06/28

配給会社名 0025/0145

解説



『シティ・オブ・エンジェル』の
ブラッド・シルバーリング監督が贈る感動作。

結婚式の直前、婚約者のダイアナが流れ弾に当たって死んだ。悲劇の花婿となったジョーは、そのまま彼女の両親の元に残り、理想的な娘婿の役目を果たそうとする。が、彼にはどうしても言い出せなかった。事件の3日前、友達以上の関係になれないと気づいたダイアナと密かに別れていたことを…。

『シティ・オブ・エンジェル』で世界の感動を呼んだブラッド・シルバーリング監督が、優しく心にしみる物語を誕生させた。ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンターという3大アカデミー賞スターとハリウッド若手注目株のジェイク・ギレンホールがゴージャスなアンサンブルを奏でる『ムーンライト・マイル』。愛する者を突然失う不幸に見舞われた人々のリアルな感情を各キャラクターに投影させ、お互いを思い遣りながら自分自身の進むべき道を見出していく様を丁寧に綴った脚本は、シルバーリング自身の体験に基づいている。

またタイトルにもなっている「ムーンライト・マイル」はザ・ローリング・ストーンズの知られざる名曲である。人はいかに喪失の体験を乗り越え、月影の中を手探りするように再生への道のり(マイル)をたどるのかという普遍的な問いに答えるように、劇中でも象徴的なシーンで登場し、登場人物の心を代弁している。また印象的な楽曲で作品に深みをもたらす希有な映像作家シルバーリングが今回選んだのは70年代の隠れた名曲たち。音楽もキャストの1人として演じ、伝え、感動を与えてくれる。

加えて本作では3大アカデミー賞スターと、ハリウッドの次代を担う若手注目株の豪華共演が実現。監督の分身とも言える主人公ジョーを演じるのは、『遠い空の向こうに』のジェイク・ギレンホール。亡き婚約者の両親を傷つけたくないばかりに、真実を言うタイミングを逸して葛藤するジョーの優しさが素直に滲み出る演技は、映画への好感度の決め手だ。そのジョーと新しい親子関係を築くことで、心の通わなかった娘に対する自責の念を埋め合わせようとするベンには、『レインマン』のオスカー俳優ダスティン・ホフマンが扮し、哀切と滑稽味が入り交じった芝居にさすがの名優ぶりを見せる。そしてもうひとり、忘れられない名演技を見せるのが、製作総指揮も兼ねたスーザン・サランドンだ。他人の同情を拒否することで悲しみを忘れようとするジョージョーの役柄に独特の強さと輝きを与えた彼女は、本作でラスベガス批評家協会賞の助演女優賞を受賞している。また、殺人事件を扱う検事補の役柄で『ピアノ・レッスン』のホリー・ハンターが出演、法廷場面のキリリとした演技にオスカー女優の貫禄を感じさせる。さらに、ジョーと同じ恋人を失った経験を持ち、彼の良き理解者となるバーティーには、本作と『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』で脚光を浴びたエレン・ポンペオが扮し、フレッシュな個性を光らせる。リアルかつ繊細な彼らの名演が、物語をより味わい深い感動作に仕上げている。

ストーリー



結婚式の直前に死んでしまった婚約者。
僕は言えなかった、彼女と別れていたことを…

1973年、マサチューセッツ州ケープ・アン。混沌とした時代の中で自分の生き方が定まらないジョーは、婚約者のダイアナと結婚して、彼女の父ベン・フロスの不動産業を手伝うはずだった。しかし突然の悲劇が家族を襲う。街角のコーヒーショップで起こった発砲事件の流れ弾に当たり、結婚式を間近に控えたダイアナが帰らぬ人となってしまったのだ。慣れない環境にひとり取り残されてしまうジョー。そんな彼を温かい気持ちで見守り支えてくれたのは、痛々しいほど前向きにジョーとの新しい親子関係に希望を見出そうとするベンと、世間体にかまわず他人の同情を拒否し続ける妻ジョージョー、他でもない二人であった。彼らもまた、ジョーと接することで娘を失った悲しみから目を背けようとしていたのだ。

行動することでしか悲しみを紛らわす術を知らないベンは、さっそく会社の看板を「フロス&サンズ」に書き換え、隣町の不動産大会にジョーを連れて参加する。そこで出会った大物不動産王のマルケイヒー(ダブニー・コールマン)から、ケープ・アンに大型商業施設を建設する計画があると聞かされたベンは、大はりきりで地上げの仕事に取りかかる。

地上げの対象となった商店街には、「キャルの店」という酒場が含まれていた。経営者のキャルは、ベトナム戦争で3年間行方不明になっており、店は、キャルの恋人で昼間は郵便局に勤めるバーティー(エレン・ポンペオ)が切り盛りしていた。郵便局へ結婚式の招待状の発送を止めに行ったとき、バーティーと顔見知りになっていたジョーは、キャルの店の地上げ交渉は自分が引き受けると宣言する。俄然やる気を見せはじめた彼の態度にベンは大喜び。しかし、ジョーの思いは別のところにあった。彼は自分を「悲劇の花婿」として扱わないバーティーの思いやりに安らぎを見出し、後ろめたさを感じながらも彼女に惹かれていたのだ。一方のバーティーも、キャルを裏切ることに罪悪感を覚えながら、ジョーに惹かれる自分を抑えることができなかった。お互いの魂が求め合うのを感じる二人。ある晩、悪夢にうなされたジョーはバーティーを訪ね、それまで誰にも言えなかった事実を告白する。それは、親友以上の関係になれないと気づいた彼とダイアナが、事件の3日前に婚約を解消していたことだった。事件の日ダイアナは、その話をベンにするためにコーヒーショップへ行ったのだ。「そのまま町に残ったのは、ベンの夢を壊したくなかったから」と、心の澱を吐き出すように語るジョー。それはベンとジョージョーを傷つけたくない優しさから生まれるものであると同時に、自らの弱さをさらすまいとする自己防衛の手段でもあったのだ。

ベンとジョージョーの気持ちを裏切らないようにこのまま花婿を演じ続けるのか、それとも、真実を告白してバーティーとの新しい愛に生きるのか。そのとき彼の胸には、もうひとつ別の思いが沸き上がっていた。果たしてダイアナは、残された自分たちに何を望んでいるのだろうかと。そんな中、ジョーは発砲事件の犯人を裁く裁判の証言台に立つことに。葛藤渦巻くジョーの口から発せられた言葉は・・・。

スタッフ

監督、脚本&製作:ブラッド・シルバーリング
製作:マーク・ジョンソン
製作総指揮:パトリシア・ウイッチャー、アショク・アムリトラジ
      デヴィッド・ホバーマン、スーザン・サランドン
撮影監督:フェドン・パパマイケル
美術:ミッシー・スチュワート
編集:リサ・ゼノ・チャージン
衣裳デザイン:メアリー・ゾフレス
音楽:マーク・アイシャム
音楽監修:ドーン・ソラー

キャスト

ジョー・ナスト:ジェイク・ギレンホール
ベン・フロス :ダスティン・ホフマン
ジョージョー・フロス:スーザン・サランドン
モナ・キャンプ:ホリー・ハンター
バーティー・ノックス:エレン・ポンペオ
タイ:リチャード・T・ジョーンズ
マイク・マルケイヒー:ダブニー・コールマン

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