原題:WHITE OLEANDER

本年度アカデミー賞最有力女優たちの豪華競演で贈る、迫真のアンサンブル・ドラマ ホワイト・オランダー 白い夾竹桃・・・・それは強く美しくあるために毒を放つ花

2002年10月8日全米初公開

2002年/アメリカ映画/109分/カラー/ビスタサイズ/ ドルビーSR・ドルビーデジタル・dts・SDDS/協力:日活/ ギャガ・ヒューマックス共同配給

2003年10月24日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年2月15日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2003/02/15

配給会社名 0025/0145

解説



強烈で独善的だが、美しくカリスマ性を持つアーティストである母イングリッドが恋人殺しの罪で逮捕された。母は終身刑を宣告され、まだ15歳の娘アストリッドは3人の里親の元転々と渡り歩くことになる。人生で最も多感な時期に未知の世界に放り出された彼女は、周囲の環境に適応することを余儀なくされながら、手探りで自分探しの旅を繰り広げることになる。これは、そんな少女と、彼女に強い影響を与え続けた母親が織りなす愛と葛藤を、繊細なまなざしでみつめた心に刺さるヒューマンドラマだ。
原作は、発売と同時にオプラ・ウィンフリーのブックセレクションに選ばれたジャネット・フィッチの同名小説(日本タイトル:「扉」)。「大人になることは、自分の親が完璧な人間ではないと知ること」という普遍的なテーマを持つこの作品は、全米で150万部以上の売り上げを記録するベストセラーとなり、オランダ、イギリスをはじめとする世界25カ国で翻訳が出版されている。その映画化はハリウッドでも注目を集め、多くの大物女優が出演を熱望。結果、『I am Sam アイ・アム・サム』のミシェル・ファイファー、『ブリジット・ジョーンズの日記』のレニー・ゼルウィガー、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロビン・ライト・ペンという、3大演技派スターの豪華競演が実現した。また、ヒロインのアストリッドには、400人の候補者から選ばれたアリソン・ローマンが扮し、実の母と里親のあいだで揺れ動く少女の心理を細やかに表現。オスカー候補の呼び声も高いミシェル・ファイファー、アリソン・ローマンの演技は、見る者に深い共感と感動を与える。
アストリッドの3年間の軌跡をたどるこのドラマは、彼女と関わり合う人々の心の機微をきめ細かく捉えながら、母の愛を強烈に求めつつも自分の手に人生を取り戻そうとするアストリッドの闘いと成長を浮き彫りにしていく。自分の正しさに絶対的な自信を抱き、殺人さえも後悔していないと言い切るアストリッドの母イングリッド。離れて暮らす娘が他人の色に染まっていくことに耐えられない彼女は、刑務所を訪ねて来るアストリッドに「誰にも心を許すな」と言い続ける。実際、3人の里親の元を転々とすることになったアストリッドには、母親役をつとめる女たちが、単純な善意から自分を引き取ったのではないことがわかってくる。孤児を育てることに、過去の罪滅ぼしの意味を見出している最初の里親スター。夫にかまってもらえない孤独を、アストリッドで埋め合わせようとしている2番目の里親クレア。そして、引き取った子供たちを従業員のように扱う3番目の里親レナ。彼女たちの利己的な思惑は、時にアストリッドをとまどわせ、傷つけることもある。しかし、同時にアストリッドは、3人の女性たちの苦しみや悲しみを理解し、愛にもさまざまな形があることを学んでいく。果たしてアストリッドは、自分の人生を独善的な価値観で縛り付けてくるイングリッドと向かい合うことができるのだろうか・・・。
強烈な自我を持つイングリッドを体当たりで演じるファイファー、クレアの脆さと優しさを繊細に物語るゼルウィガー、俗っぽいスターの役どころにはまりきった名演を見せるライト・ペン。豪華3大スターに加え、脇を固める共演陣にも充実の顔ぶれが揃った。アストリッドにサバイバルの方法を教えるロシア移民のレナにはスヴェトラーナ・エフレモーヴァ。クレアの不誠実な夫マークには、「ER 緊急救命室」のノア・ワイリー。イングリッドに裏切りを働く恋人のバリーには、『Queen Victoria至上の恋』のビリー・コノリー。また、アストリッドと心通わせるコミック少年のポールには、『あの頃ペニー・レインと』で注目を集めたパトリック・フュジットが扮し、映画に爽やかな風を吹き込んでいる。
監督は、レイフ・ファインズ&ジュリエット・ビノシュ主演の『嵐が丘』を手がけたピーター・コズミンスキー。「誠実な感情をひとつも撮りこぼすことなく、しかもメロドラマに陥ることのない抑制された方法でキャラクターたちと向き合っていける人物」として、プロデューサーのジョン・ウェルズに白羽の矢を立てられた彼は、初のハリウッド映画でも遺憾なくストーリーテラーぶりを発揮。登場人物の感情を丁寧に描き出す演出に、素晴らしい手腕を見せている。脚本は、『フォーエバー フレンズ』をはじめとする女性ドラマの名手として知られるメリー・アグネス・ドナヒュー。音楽は、『ショーシャンクの空に』『アメリカン・ビューティー』などで4度オスカー候補になったベテランのトーマス・ニューマンが手がけている。

ホワイト・オランダーとは
オランダーは夾竹桃(きょうちくとう)のこと。主に桃色の花を咲かせ、まれに白い花も咲かせる。花言葉は「危険/恵まれた人」。最も特徴的なのは、美しい花でありながら、外敵から身を守るために自ら毒を発しているところ。また強靭な生命力を誇っており、第2次大戦後の翌年夏、広島で一番最初に咲いた花が夾竹桃だったという記録が残っている。

ストーリー



あなたの愛が、私を壊す。
 アストリッド(アリソン・ローマン)は、ロサンゼルスに住む15歳の少女。アーティストの母イングリッド(ミシェル・ファイファー)は、強く美しいが、狂気なほど独善的な女性で、父親が誰かも知らないまま育ったアストリッドは、そんな母を無条件に崇拝していた。しかし、母子ふたりの自由な生活は、ある日突然終わりを告げる。恋人バリー(ビリー・コノリー)の裏切りに激怒したイングリッドが殺人事件を起こし、終身刑を宣告されて刑務所に収容されたのだ。
たちまち天涯孤独の身となったアストリッドは、福祉事務所の管理下に置かれ、里親の元へ送られる。最初の里親は、元ストリッパーのスター(ロビン・ライト・ペン)だった。かつてアルコール漬けの自堕落な生活を送っていた彼女は、キリスト教の一派に入信して救われたという人物。その宗教観とハデな服装のセンスに、アストリッドは最初とまどいを覚えるが、それでもだんだんと新しい生活になじんでいく。そんな彼女の変わりように敏感に反応するイングリッド。刑務所へ面会にやって来たアストリッドがスターからプレゼントされた十字架を付けているのを目ざとくみつけた彼女は、アストリッドが洗礼を受けたことを厳しく批判。「自分の頭で物事を判断しないで、宗教に頼っているような人たちを信頼しては駄目。自分が何者かを忘れないで。」と言ってアストリッドを混乱させる。それは、娘の人生を他人の手に渡したくないイングリッドの愛情から発せられた言葉だったが、スターに歩調を合わせて暮らすしか選択の余地がないアストリッドには、ただつらく響くだけだった。
スターとアストリッドの仲がこじれはじめたのは、それから間もなくのことだった。スターは、同棲中の恋人レイ(コール・ハウザー)が、アストリッドと親しくなったことに嫉妬したのだ。実際、父親を知らないアストリッドには、レイのたくましさがとびきりまぶしく映った。それが恋愛感情なのかもはっきりしないまま、レイの存在が心の中で大きくなっていくのを感じるアストリッド。嫉妬心がますますふくれあがり、再び酒に溺れるようになったスターは、ついにある晩、銃をふりまわしてアストリッドを撃ってしまう。病院に担ぎ込まれたアストリッドは、命と引き替えに住む家を失った。
退院後、マッキニー・ホールという施設で暮らし始めたアストリッドは、美しさをねたまれ、ケンカを売られる日々に耐えなければならなかった。そんな彼女の心の支えになったのは、同じ施設で暮らすポール(パトリック・フュジット)という少年だった。コミック作家をめざす彼と、母譲りの画才を持つアストリッドは、ごく自然にひかれあっていく。しかし、ポールの絵を「マンガ」とけなすイングリッドは、「寂しいからといって他人に心を許してはダメ」と、相変わらずアストリッドに手厳しい言葉を浴びせる。
それからしばらくして、アストリッドの引き取り手がみつかった。今度の里親は、マリブに住む女優のクレア(レニー・ゼルウィガー)と、TV関係の仕事をするマーク(ノア・ワイリー)の夫妻だ。クレアは優しく気さくな人柄で、彼女とアストリッドのあいだには、姉妹のような絆が生まれる。何もかもが満ち足りた幸福な日々。だが、それも長くは続かなかった。悲劇の引き金となったのは、1年の半分は家に帰って来ない夫に対するクレアの不満と孤独だった。手紙のやりとりを通じて、そんなクレアの心中を見抜いたイングリッドは、刑務所へ面会にやって来たクレアに敵意のある態度を取り、不安をあおるような言葉を浴びせる。彼女には、アストリッドがクレアの孤独の穴埋めに利用されることが我慢できなかったのだ。しかし、繊細なクレアにとって、自分自身の弱さを指摘されるのは過酷な経験だった。彼女は、久々に帰宅した夫に強く立ち向かおうとするが、反対に離婚を宣告されてしまう。その夜、傷ついたクレアは睡眠薬自殺をはかった。
かくしてアストリッドは再びマッキニー・ホールに舞い戻り、新しい里親が出現するのを待つことになった。再会したポールからは「一緒にニューヨークへ行こう」と誘われるが、いまやアストリッドは、誰かを信じる気持ちを持てなくなっていた。そう、あれほど敬愛していた母に対しても。クレアの死を「あなたは自殺の見張り番だった」と一蹴するイングリッドに、アストリッドは「もう二度と面会に来ない」と決別の言葉を投げつける。
 母の呪縛から逃れたい・・・。愛が深すぎるがゆえにアストリッドにとっては凶器にも近い存在に変わっていくイングリッド・・・。
やがて3番目の里親がみつかった。ロシア移民のレナ(スヴェトラーナ・エフレモーヴァ)だ。彼女の指導のもと、金持ちのゴミ箱をあさり、掘り出した品物をフリーマーケットで売る処世術を学ぶアストリッド。自分ひとりの力でサバイバルすることを覚えた彼女は、次第にたくましさを身につけていく。
 様々な経験をつみ、自我に目覚めたアストリッド。彼女は、頑なに自分の価値観を押し付けようとし、アストリッドを否定する母イングリッドとの歪んだ母娘のかたちに正面から向き合い、新たな関係を築くことができるのだろうか。

スタッフ

監督:ピーター・コズミンスキー
プロデューサー:ジョン・ウェルズ、ハント・ローリー
脚本:メリー・アグネス・ドナヒュー
原作:ジャネット・フィッチ
プロダクション・デザイナー:ドナルド・グラハム・バート
撮影監督:エリオット・デイヴィス
編集:クリス・リズデイル
音楽:トーマス・ニューマン

キャスト

ミシェル・ファイファー
アリソン・ローマン
レニー・ゼルウィガー
ロビン・ライト・ペン
ビリー・コノリー
スヴェトラーナ・エフレモーヴァ
パトリック・フュジット

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