原題:天堂回信

中国驚異の天才子役シー・チエンが、率直な気分のあなたに贈る感動作!

1992年/中国/カラー/35mm/北京語/90分/ビスタビジョン/ 配給:ワコー、シネマ・ルネサンス

2002年8月24日より銀座シネパトスにて全国独占ロードショー

公開初日 2002/08/24

配給会社名 0310/0321

公開日メモ 中国驚異の天才子役シー・チエンが、率直な気分のあなたに贈る感動作!

解説



『北京の天使』は、郵便配達の祖父と6才の男の子・チェンチェンの物語である。両親は大切な一人っ子を北京に残しての海外赴任だ。この祖父を演じる李下(リー・テイン)とチェンチェン役の石農(シー・チェン)の、漫才のような掛け合いが実に楽しい。
 胡同(フートン=北京の古い住宅街)など北京の美しい街並を、心優しいおじいちゃんが手紙を運ぶ。自我に目覚めはじめた可愛い盛りのチェンチエンがいつも一緒だ。そして、凧の糸にくくりつけた天国への手紙遊び。二人の、男の友情にも似たユーモラスな交流がこの映画の第一の魅力である。
 中国では結婚しても共働きが多い。この映画のように、子供と別れて親が海外で働く家庭も上流では珍しいことではない。一人っ子政策が続いて、都会では子供の少ない家族が普通になった。
この結果、過度に甘やかされたり、同年令の遊び相手が少なくて寂しがったり、子供たちにとっても良いことばかりではない。
 『北京の天使』は、現代中国におけるこのような家族の問題をさりげなく描いている。そしてこのことは、中国のみならず日本を含めた多くの先進国で、社会問題化してきている。こうした視点をもつたことが『北京の天使』のもう一つの魅力となり、良くできたホームドラマ以上の作品として、国際映画祭での連続受賞という結果に結びついた。
 日本でも、1996年の『彩の国さいたま映画祭』に出品されたが、大評判をとったのはいうまでもない。しかも翌年にはアンコール上映されるほど県民に支持された。このようなことは、これまで何十本も中国映画を紹介してきた同映画祭でも初めてのことだった。
 ところが中国では、公開当時の1992年、それほど話題にはならなかった。しかし、時代が映画に追い付いた1998年夏、中国中央電視台(CCTV)が『北京の天使』を放映すると、これが大変な評判となった。そして再放映の希望が殺到した。CCTVはこれを受け入れて、10月10日の再放映を決めた。視聴率は合計で50%を超えたという。急激に経済を拡大し続ける13億人の民は、自身も先進国病に冒されはじめたことにいち早く気付いた現れに違いない。
 最後にもう一つ。この映画には控えめながら、王君正監督の幼児体験やそれまでのキャリアから得たと思われる静かなメッセージが込められている。それは、『北京の天使』で描かれたようなソリューションを解決していくのは、経済戦争にまい進し続ける男たちではない、ということ。
 そう、本作には、働き盛りの男が一人として登場してこないのである。

ストーリー



 中国・現代の北京。
 6才のチェンチェンは、郵便配達をしているイエイエ(おじいちゃん)と二人で暮している。
貿易の仕事をしている両親がベルギーに赴任しているためだ。しかし、チェンチェンが寂しがることはない。
 イエイエはとても優しいし、好きなことは何でもさせてくれる。幼稚園がおやすみの日は郵便配達にもつれていってくれる。心配事といえば、イエイエの心臓が悪いくらいのものだった。だが、そんな生活も終わる日がきた。来年の入学を控え、チェンチェンの将来を心配してママが帰国したからだ。
 生活が一変した。
「あなたには、10億人の競争相手がいるのよ」というのが口癖のママは、教育に躾けにとてもうるさい。チェンチェンにとって最悪なのは、役割がすんだと悟ったイエイエが自分の家に帰ってしまったことだった。
 ママは新築マンションや最新のおもちゃを買ってくれてそれなりに気を使ってくれるのだけれど、イエイエとの自由で楽しい日々が忘れられない。そこでチェンチェンは、もういちどイエイエと一緒に暮らせるようにと、ママに内緒で北京の街並みに飛び出していった。

スタッフ

監督:王君正 ワン・ジョルジョン
脚本:ホー・グオブー
撮影:イエン・チュンション
美術:シャオ・ルンガン
音楽:チャン・チェンイー

キャスト

チェンチェン:シー・チエン
イエイエ:リー・ティン
ママ:シャオ・ション

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