原題:THE WEIGHT OF WATER

主演:ショーン・ペン× 監督:キャスリン・ビグロー ハリウッドエンタテインメントのキャスト・スタッフが放つ 驚愕の心霊スリラー。     嵐の夜、100年前の惨殺事件が甦る。

2000年/アメリカ/116min 発売・販売:アーティストフィルム(税抜:16,000)

2002年6月28日ビデオ発売&レンタル開始

2000 STUDIOCANAL All Right Reserved

解説



アニタ・シュリーブ原作の全米ベストセラ?小説を、キアヌ・リーブス主演『ハートブルー』で一躍ヒットメーカーに躍り出たキャスリン・ビグロー監督がスリラーの要素たっぷりに描き出す。主演は『デッドマン・ウォーキング』『ギター弾きの恋』でアカデミー主演男優賞にノミネートのほかベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭で主演男優賞受賞経験を持つ名優ショーン・ペン。そして『オースティンパワーズ』のエリザベス・ハーレー、『スパイゲーム』のキャサリン・マコーマック、『イグジステンズ』のサラ・ポーリーといった豪華な面々が脇を固める。脚色を担当したのは、アカデミー賞にノミネートされた『シルクウッド』のアリス・アーレン。撮影監督は『エイリアン』『ワールド・イズ・ノット・イナフ』のエイドリアン・ビドル、編集は『ストレンジ・デイズ』のハワード・スミスが務める。また音楽に『シャイン』のデヴィッド・ハーシュフェルダーが担当するなどハリウッドを代表するスタッフが集結。ベストセラーとなった原作の魅力を存分に活かした第一級のスリラーを誕生させた。

【チェック・ポイント!】

 ブロックバスター度は兎も角としてエモーショナルな作風故に、個人的には元旦那のジェームス・キャメロン以上に新作の噂が気になるキャスリン・ビグロー監督の、日本でも劇場公開された『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(95)以来製作ベースでは実に5年ぶりの劇場用新作にあたるのが、国内ビデオリリースとなった本作だ。
 19世紀に起きた殺人事件を記事にするため、惨劇の舞台となった孤島に出向いたジャーナリストと夫である作家、そして作家の弟とその恋人という二組のカップルの人間関係を描いた心理サスペンス劇と、かつての事件の顛末と隠された真相が並行して描かれ、物語が進むに連れ現在は過去の事件の影響を受けたような様相を呈して行く…。
 ビグロー監督が好んできたものは、普通の人間が特定の状況に置かれた時に異常になっていくプロセスであると、あるインタビューで語っていたことがある。本作でも、100年前の事件の顛末が描かれていく部分は、孤島に暮らす北欧移民たちが閉鎖的な環境と人間関係の中で、内に秘めた想いが思わぬ結果へと進むミステリ仕立ての展開には、魅せられる。なかでも事件の鍵を握るマレンに扮したサラ・ポーリーが、線の細そうな美貌に秘めた情念を感じさせてくれる好演だ。ただ、その一方でメインとなる現代の2組のカップルのキャラクター描写が曖昧で異常な状況に陥っていくプロセスが切実に伝わり難いのがちと残念。そのため、過去と現在の状況が交錯する魅力的な設定も、活かしきれていないうらみが残る…なんて言いながら、本音ではキャラクター的にはよくわからんけど、野郎の煩悩を満開にさせるエリザベス・ハーレイの正しい使い方だけでも観る価値ありだぞ(笑)。
 心霊スリラーとしての見せ場は案外少なめだが、クライマックスでは『イン・ドリームス/殺意の森』(98)『ホワット・ライズ・ビニース』(00)等の系譜に連なる心霊描写がホラー・ファンには楽しいね。
 なお本作は、アメリカ本国でも限定公開だったようだが、ビグローの次回作は史実に基づいたロシア原潜のメルト・ダウン危機巡るサスペンス超大作『K-19』で、全米では現在公開中、日本では12月に拡大が公開されている。ハリソン・フォードの主演ということだが、大味なブロックバスター作品になってなければいいのだけどね…。本領発揮を期待したい。
(殿井君人)

ストーリー


1世紀前に起こった凄惨な殺人事件をリポートするために、写真家のジーンは夫トーマスらとともにスマッティノーズ島を訪れる。そしてそこでジーンを待っていたのは、過去と現在を結びつける恐ろしくも悲しい惨劇だった。1873年、ふたりの女性が斧で惨殺され、マレンという名の女性がただひとり生き残った。その後犯人は逮捕され、事件から2年後に絞首刑となる。しかし犯人は本当に彼だったのか? 事件の細部と、マレンの人生を探っていくにつれ、ジーンは、まるで1世紀前に起こった身も凍るような事件にシンクロするかのような、複雑に絡み合う人間関係の暗闇へと巻き込まれていく。夫トーマス、不倫相手のアダライン、ふたりを見つめるジーン。そしてそんな彼らの激情を飲み込むかのように、海に出た彼らを荒れ狂う嵐が襲う。冷たい海の底へ引きずり込まれたジーンが、そこで目にしたものは・・・。

スタッフ

監督:キャスリン・ビグロー『ハートブルー』『ストレンジ・デイズ』
製作:ジャネット・ヤン『ラリー・フリント』
脚本:アリス・アーレン『シルクウッド』
編集:ハワード・スミス『ストレンジ・デイズ』
撮影:エイドリアン・ビドル『ワールド・イズ・ノット・イナフ』
美術:カール・ユリウスン『奇跡の海』
音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー『シャイン』

キャスト

ショーン・ペン:『シン・レッド・ライン』『ゲーム』
エリザベス・ハーレー:『オースティン・パワーズ』
キャサリン・マコーマック:『スパイゲーム』
サラ・ポーリー:『イグジステンズ』
カトリン・カートリッジ:『奇跡の海』
ヴァネッサ・ショー『アイズ・ワイド・シャット』

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