原題:Monsieur Batignole 

第10回フランス映画祭横浜にて上映::http://www.unifrance.jp/yokohama/

フランス公開:02年3月6日

2002年度作品/フランス映画/上映時間:103分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD 後援:フランス大使館文化部/提供:ニューセレクト/ 協力:JTB/OZOC/NEWS DELI/TEAM OF BEAT*EN/ 配給:アルバトロス・フィルム

2003年08月08日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年1月11日よりテアトルタイムズスクエアにてロードショー公開

公開初日 2002/06/23

公開終了日 2002/06/23

配給会社名 0012

公開日メモ 第10回フランス映画祭横浜にて上映

解説


肉屋兼惣菜屋を営む平凡な主人公バティニョールはふとしたきっかけでナチスによるユダヤ人一家の摘発に関わってしまう。前半部分は親衛隊将校(SS)、ナチス・ドイツを支持する娘婿、計算高い妻などステレオタイプの人物に翻弄されるうだつのあがらない男を演じているが、後半は一転、命がけでユダヤ人の子供をスイスに逃亡させる手助けをするヒーローとなっていく。子供との偶然の出会いは彼の人生にいつの間にか深い意味をもたらし、彼自身も知らず知らずのうちに成長していくのであった。
ユダヤ人の子供と反ユダヤ的なフランス人との交流はクロード・ベリの”Le Vieil Homme et l’enfant(老人と子供)”などですでに扱われてきたが、本作品で注目すべきところは反ユダヤ思考、迫害に対する受身な姿勢、迫害された者の財産を得て喜んでいる姿・・・といったいわゆる当時ごく普通に存在したフランス国民像を描いているところである。監督のジェラール・ジュニョは実際に戦時中に肉屋を営んでいた祖父をモデルに描いたと言う。

数々の監督がこの悲劇的な時代を扱い、例えばコスタ=ガヴラスは政治的観点から『アーメン』を、タヴェルニエはジャーナリスティックな観点から描いた作品『レセ・パセ』を手掛けた。ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』は同じ題材を”寓話的”に描いていたが、本作はより現実的に、かつコメディの要素を出すことによって作品が重くなりすぎないようにすることを重要視している。

監督・主演は有名な喜劇演劇集団「スプランディド」のメンバーとして注目を集め、『タンデム』等パトリス・ルコント作品の常連であるベテラン俳優ジェラール・ジュニョ。監督としても活躍しており、『パリの天使たち』等過去に7作品を手掛けている。かねてからこの時代に興味を持っていたジュニョ自身が膨大な資料を集め、長年リサーチを続けて完成させたのが本作品である。「あの時代に自分が生きていたらどういう行動をとっただろうか」という問いかけに対する彼自身の答えがこの作品に現れている。子役シモンを演じるジュール・シトリュックはおもにテレビで活躍していた名子役であり、以前から目をつけていたジュニョ自身が出演をオファーした。

ストーリー

ドイツ軍はフランス国民に対しユダヤ人の一斉検挙の協力を要求する。ユダヤ人たちが次々とスイスへ逃亡する中、ユダヤ人外科医であるバーンスタイン一家は隣人バティニョールの娘婿であるナチス・ドイツ支持者ピエール=ジャンの密告によって検挙され、バティニョールは図らずして摘発に協力してしまうことになる。ドイツ軍のスプライヒ大佐に対する協力がもとでピエール=ジャンはドイツ占領軍の公式な委員としてバティニョールを任命し、軍に没収されたバーンスタイン家の大きなアパートもバティニョール家に譲られることになった。

ある晩、ドイツ軍後援者のためのレセプションを催すことになったバティニョールが客人を出迎えに玄関のドアを開けてみると、そこにはバーンスタイン家の息子である12歳のシモンが立っていた。シモンはうまく逃げ出し、家族と合流するつもりで、このアパートに戻ったのであった。トラブルを避けるために、バティニョールはシモンをかくまうことにした。しかし家族に内緒にするのが日増しに困難となってきたため、密輸業者の男に近づき、バーンスタイン家から没収されたルノワールの絵画と引き換えに、シモンをスイスへ逃がす手はずを取る。

シモンは彼の幼いいとこであるサラとギラと合流した。2人の両親もまたドイツ軍によって連れ去られ、2人はアパートの管理人のところに隠れていた。バティニョールはこの3人を自分の店の地下室にかくまうことにした。

ルノワールの絵画はスプライヒ大佐のオフィスにあるチェストの引き出しに隠してある。バティニョールは自分の特権を使って部屋へ忍び入った。しかし大佐の秘書に目撃され、その不正な行動に対して嫌疑をかけられてしまう。店に戻ったバティニョールは冷静さを欠き、子供たちのいる地下室へ自ら閉じこもってしまった。

スプライヒ大佐が事情を確かめるため電話をかけてきた。しかしバティニョールが地下室から出ようとしなかったためピエール=ジャンは無理矢理中へ押し入り、ユダヤ人の子供たちをドイツ軍に突き出そうとする。身の危険を感じたバティニョールはピエール=ジャンを殺害し、管理人のところへ子供たちを連れて行く。バティニョールは盗んだ絵を売り、自分の手で子供たちをスイスに逃がしてやろうと決心し、妻と娘に現金を持たせて自分の兄弟の農場へ行かせ、自分はシモン、サラ、ギラと一緒に列車へ乗り込む。

ドイツ軍からの苦しい逃亡の末、バティニョールと子供たちはスイス国境近くにある農場で親切な女性に出会い、宿を得た。夫をドイツ軍に囚われている彼女は、子供たちの国境越えに手を貸してくれる人物に快く連絡を取ってくれた。バティニョールと彼女は互いに惹かれあい、一夜をともにするが彼女の息子マルタンに目撃されてしまう。マルタンはシモンにレジスタンスの兄に頼めば君たちをスイスに逃がすことができるからバティニョールは信用するなと説得する。しかし、この会話が警察に知られ、シモンは連行される。そしてバティニョールがシモンの偽造パスポートを持ってくるまで留置されるはめになる。警察署長はバティニョールがユダヤ人ではないかと睨み、その疑念を払えずにいた。バティニョールとシモンは逃亡を図り、地元の司祭や先に出会った女性の力を借りてサラとギラと共にスイスへと続く山へ忍び入った。バティニョールは子供たちを自由の世界へ放とうとしたが、最後の最後に決心を変え、子供たちと一緒に国境を越えるのであった。

スタッフ

監督:ジェラール・ジュニョ
脚本:ジェラール・ジュニョ、フィリップ・ロプ・キュルヴァル
撮影:ジェラール・シモン(A.F.C)
美術:ジャン=ルイ・ポヴェタ
衣装:マルティーヌ・ラパン
キャスティング:フランソワーズ・ムニドレイ
編集:カトリーヌ・ケルベ
音声:ミシェル・カラ
メイクアップ:ルシア・ブルトンヌ・メンデス
ヘアドレッサー:ジル・アラン
照明:パトリック・ルバテル
オリジナル音楽:ハリル・シャヒーン
プロデューサー:オリヴィエ・グラニエ、ドミニク・ファルジア、ジェラール・ジュニョ

キャスト

エドモン・バティニョール:ジェラール・ジュニョ
シモン・バーンスタイン:ジュール・シトリュック
マルグリット・バティニョール:ミシェル・ガルシア
ピエール=ジャン・ラムール:ジャン=ポール・ルーヴ
ミシュリーヌ・バティニョール:アレクシア・ポルタル
サラ・コーエン:ヴィオレット・ブランカエル
ギラ・コーエン:ダフネ・ベヴィール
スプライヒ大佐:ゴッツ・バーガー
イレーネ:エリザベット・コムラン
憲兵:ユベール・サン・マカリー
マックス・バーンスタイン:サム・カルマン
ラシェル・バーンスタイン:ナディーヌ・スピノザ
マルタン:ダミアン・ジュイルロー
エドウィージュ:マリー=ガエル・カル
ポール:フラナン・オーブ
看護婦:カリーヌ・ピノトー
アルベール伍長:ダニエル・マルタン
司祭:クリストフ・ルゾー
管理人:シルヴィ・エルベール
アルチュール:アルチュール・ジュニョ
リュシアン・モレル:ティッキー・オルガド
サッシャ・ギトリ:ジャン=マリー・ヴァンラン

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