原題:Solaris

人類は、まだその領域には足を踏み入れてはならない

2003年/アメリカ/カラー/99分/ 配給:20世紀フォックス

2008年01月18日よりDVDリリース 2003年12月05日よりDVD発売開始 2003年12月05日よりビデオレンタル開始 2003年6月21日より日比谷映画、東宝洋画系にてロードショー公開

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公開初日 2003/06/21

配給会社名 0057

解説


ステイーヴン・ソダーバーグ、ジェームズ・キャメロン、そしてジョージ・クルーニー。この3人の異才が結集し、永遠のテーマを見事に描きだした異色SFドラマ、それが最新作の『ソラリス』である。
謎にみちた惑星《ソラリス》。それを探査する宇宙ステーション“プ□メテウス”の科学者グループは、突然、地球との連絡を絶つ。この不可解な行動の真相究明のため、心理学者のクリス・ケルヴィン博士が調査を依頼されるところから物語は始まる。
ケルヴィンは、プロメテウスの研究チームのリーダーで、親友でもあるジバリアンから送信されたビデオメッセージを見て、プロメテウス行きを決意する。そのメッセージは、ケルヴィンに助けを求める内容だったが、その理由は、意図的なのか、ジバリアン自身も理解できないせいか、まったく説明されていなかった。自分の調査結果が、《ソラリス》探査の命運を決定することを自覚してプ□メテウスに到着したケルヴィンは、そこで目にした事実に驚愕する。ジバリアンはすでに自殺した後で、生存していた2人の科学者も極度のストレスと妄想患者的な徴候を示していた。そしてその精神状態は《ソラリス》を探査したことでもたらされたようにケルヴィンは感じた。
そして、ケルヴィン自身も、特異な世界の超常的なミステリー現象に囚われてしまう。さらに、かつて彼に耐えがたい罪悪感と後悔の念を与えた過去の、ある人間関係の行く末を変え、失った愛を取り戻す第2のチャンスが《ソラリス》によってもたらされる。果たして、ケルヴィンは本当に過去に戻り、過去を変えることができるのだろうか?あるいは、過去の過ちを再び繰り返す運命なのか?
宇宙の果てを舞台に、神秘と愛のサスペンスが展開する。隔絶した宇宙ステーションに到着直後から、奇怪な謎に直面する心理学者クリス・ケルヴィンに、TVシリーズ『ER緊急救命室』(94〜99)で人気爆発、『オー・ブラザー!』(00)『オーシャンズ11』(01)と話題作・大ヒット作に主演を続けるハリウッドスター、ジョージ・クルーニー。数年前に不慮の死をとげたケルヴィンの妻レイアに、『トゥルーマン・ショー』(98)『フィアー・ドット・コム』(02)の知性派女優ナターシャ・マケルホーン。自分たちが破滅へと導かれる前に《ソラリス》の秘密を解明しようとする2人の科学者に、『プライベート・ライアン』(98)のジェレミー・デイヴィスと『ニューヨークの恋人』(01)のヴィオラ・デイヴィス。ドイツの名優ウルリッヒ・トゥクールが、不運なプロメテウスの研究チームのリーダー、ジバリアンを演じている。
監督・脚本・撮影・編集のすべてを手がけているのは、『トラフィック』(01)でアカデミー賞を受賞した鬼才ステイーヴン・ソダーパーグ。ポーランドの生んだ巨匠スタニスラフ・レムの名作SF「ソラリスの陽のもとに」を新たに脚色した意欲作で、72年のアンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』とは異なる独自の解釈が光り、従来の宇宙SF映画にはない重厚なカメラワークとクールな演出で濃密なムードを醸し出している。
製作は、本作の映画化権をいち早く取り、念願の企画として実現させた『タイタニック』(97)のジェームズ・キャメロン。キャメロンと製作プロダクションのライトストーム・エンターテインメントを共同経営し、『タイタニック』の製作チームとして輝かしい実績を誇っているレイ・サンチー二とジョン・ランドーも製作に加わった。製作総指揮は、本作がソダーバーグ監督との9本目のコラボレーションになるグレゴリー・ジェイコブズ。共同製作には『マルホランド・ドライブ』(02)のマイケル・ポレール、それにチャールズ・V・ベンダーがあたっている。
その他のスタッフには、プロダクション・デザインに『エリン・ブロコビッチ』(00)、『トラフィック』『オーシャンズ11』でもソダーバーグ監督と組んだフィリップ・メッシーナ、音楽はこれでソダーバーグ作品9作目となるクリフ・マルティネス、衣裳デザインは『パリー・リンドン』(75)、『炎のランナー』(81)でアカデミー受賞している名デザイナーのミレーナ・カノネロ。VFXは、ベテランのエフェクト・ハウスであるシネサイトと、驚異の《ソラリス》を創造したリズム&ヒューズの2社を中心に、プラネット・クリエーション、イメージ・サバントが担当した。

ストーリー


人類が遥かな宇宙まで進出するようになった未来の地球。降りやまぬ長雨のつづく街で、心理学者のクリス・ケルヴィン(ジョージ・クルーニー)は、孤独な生活を送っていた。いつものように集団セラピーの治療に立ち会ったクリスに訪問者があり、予期せぬ依頼が舞いこむ。依頼者は、謎にみちた惑星《ソラリス》の開発会社で、異変が起きたソラリスの探査宇宙ステーション、プロメテウスの調査を頼む。なぜ自分なのかというクリスの疑問に、会社側はブロメテウスからの最後の通信のビデオを見せる。そこには、探査チームのリーダーで、クリスの親友ジバリアン(ウルリッヒ・トゥクール)が映っていた。
何かに怯えるように挙動不審のジバリアンは、「とにかく助けに来てくれ。何か理解できない事態が起きている。ここを離れたくないが、どうしたらいいのか分からない。頼める人間はきみだけだ」と、途絶した通信でクリス個人に呼びかけていたのだ……。
極彩色の放電のアークに幾重も包まれた巨大惑星《ソラリス》。その軌道に浮かぶプロメテウスに、シャトルのアテナ号がドッキングする。アタッシュケースをさげ、与圧スーツ姿でプ□メテウスに足を踏み入れたクリスを待っていたのは、無人の空間だった。細心の注意を払いながら進むクリスが、まず見つけたのは血痕だった。その跡を追った先のラポには、ジバリアンの死体があった。一体、何があったのか。
プロメテウスで生き残っているのは、個室に閉じこもっている天才科学者のスノー(ジェレミー・デイヴィス)と女性科学者のゴードン(ヴィオラ・デイヴィス)だけで、他の者はジバリアンと同じく自殺したのだという。だが、その理由も、プ□メテウスで何が起こっているのかも、2人の言葉は要領を得ない。ゴードンは異常事態を止められるものなら止めたいというが、スノーは地球に帰るのは嫌で、「人間に必要なのは別世界ではなく、自分を映す鏡だ」と奇妙なことを言う。しかも、扉を閉めたスノーの部屋からは猿の鳴き声が、ゴードンの部屋からは宇宙ステーションではありえない騒音が響くが、クリスが呼びかけてもどちらも何の反応も示さない。
さらに、クリス自身も奇怪な現象を目撃する。ステーション内を探索していたクリスは、ここにいるはずのない少年を発見する。それはジバリアンの息子マイケルだった。すぐに追いかけるが、マイケルは忽然と姿を消してしまう。得体の知れない恐怖がクリスにも感染し、眠る前、自室のドアにしっかり鍵をかけるのだった。
そして、クリスは夢をみる。それは、妻のレイア(ナターシャ・マケルホーン)と出会ったころの夢。通勤列車の中で見かけた女性に、ジバリアンのホーム・パーティで再会し、お互いに魅かれあいベッドを共にする。そんな甘い記憶を残しつつ、ふと気づくとベッドの隣りにレイアがいる!完全に目の覚めたクリスは、相手の正体を知ろうと質問をあびせるが、確かにレイアしか知らない事実を知っている。だが、レイアであるはずがない。クリスは「私を捨てないで!」と叫ぶ彼女をポッドに押しこめ、プロメテウスの船外に射出する。
その夜、部屋にきたスノーからその現象がこの宇宙ステーションで“お客(ビジター)”と呼ばれている存在であること、レイアの姿をした彼女はまた戻ってくることを告げられる。
不眠症のようになったクリスは、記憶を反芻しているのか、とぎれとぎれに夢をみているのか自覚もないまま、レイアとの過去をたどる。ブックストアの中でのプロポーズ。雨の中でレイアがようやくOKしてくれたこと。そして気づくと、いつの間にか再び“お客”のレイアが実体化していた。彼女にも、しっかりと過去の記憶があった。妊娠を告げられず情緒不安定になり、中絶、そして服毒自殺して2人の関係が破綻した記憶が。しかし、そんな記憶があっても、本物だと実感できないと彼女は告白する。彼女もまた過去の記憶に苛まれ、自分の存在に、クリスヘの愛に疑念を抱いていたのだ。
夢の中で、クリスはジバリアンから「正解などない、あるのは選択だけだ」と忠告を受け、目覚めてみるとレイアの姿がなかった。彼女は液体酸素を飲んで自殺を計ったのだ。また悲劇が繰り返されるのを止めようと、クリスは必死になり、レイアの蘇生に成功する。船内でレイアと暮らしはじめるクリス。ゴードン博北からは、負の“ヒッグス場”を発生させれば“お客”は消えると聞かされていた。レイアも自分がソラリスに作られた存在であることを自覚し、ソラリスはコミュニケーションを望んでおらず、人間の記憶を、夢を探っているのだとクリスに告げる。必死で眠らずにいるクリスだったが、レイアはビデオ遺書を残し、消えていた。
やがて、ソラリスがその体積を膨脹させはじめた。そのままではプロメテウスは重力場に引きこまれて破壊されてしまう。ゴードン博士はAIを起動させて負の“ヒッグス場”を発生させると同時に、アテナ号を使って地球に帰還する計画を点てる。
博士に協力しソラリスからの脱出の瀬戸際、クリスはある選択を決断するのだった…。

スタッフ

監督・脚本:ステイーヴン・ソダーバーグ
製作:ジェームズ・キャメロン、レイ・サンチーニ、ジョン・ランドー
共同製作:マイケル・ポレール、チャールズ・V・ベンダー
製作総指揮:グレゴリー・ジェイコブズ
美術:フィリップ・メッシーナ
衣装:ミレーナ・カノネロ
音楽:クリフ・マルティネス
原作:スタニスワフ・レム
キャスティング:デブラ・ゼーン,C.S.A

キャスト

クリス・ケルヴィン:ジョージ・クルーニー
レイア:ナターシャ・マケルホーン
スノー:ジェレミー・デイヴィス
ゴードン:ヴィオラ・デイヴィス
ジバリアン:ウルリッヒ・トゥクール

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