原題:THE MAN WHO WIPES MIRRORS

2003年サンダンス国際映画祭ワールドプレミア上映 「サンダンス・NHK映像作家賞」2002入賞作品(堀田征則) 2003年モントリオール世界映画祭出品 2004年シネクエスト映画祭出品 函館イルミナシオン映画祭オープニング

2003年/日本/カラー/117分/ハイビジョン撮影/ビスタサイズ/ 配給:パル企画

2004年8月21日よりテアトル池袋ほか全国ロードショー公開

公開初日 2004/08/21

配給会社名 0072

解説


本作品で6回目となるサンダンス・NHK国際映像作家賞2002の受賞作品の映画化。
定年間近で思わぬ事故を起こしてしまった一人の会社員の物語を監督・脚本するのは梶田征則。ある部分、監督自身の家族をモデルにしたところがあると言う。家族の長として、会社員として長年勤めてきた父親の事故により家族のバランスが結果的に良くも悪くも崩れたという。本作品の主人公の様に全国カーブミラーを拭きに旅に出るまでではなくとも、現在の会社員の多くに見られる仕事に生き、家族とのふれあいも少なく、無趣味な生活は何かのはずみで主人公の様に、これまでの家族・社会関係が崩れる可能性は多分にあるでしょう。
家族から離れてカーブミラーを拭く旅にでる主人公・皆川勤役には、緒形拳。勤や家族を支える妻・紀子役を『未来への伝言』以来12年ぶりの映画出演となる、栗原小巻。勤がミラーを拭く旅に出るきっかけの人物・熊代秀治を大滝秀治。そして旅の途中、勤が出会う同年代のサイクリスト上野恒男役を津川雅彦が演じる。

ストーリー

皆川家は崩壊寸前だった。原因は定年間近の父・勤が起こした交通事故。飛び出してきた自転車を咄嵯によけたものの、その先にいた少女をはねてしまったのだ。生命
に別状はなくかすり傷程度で助かったのだが、少女の祖父は被害者意識をむきだしにして執拗に金銭を要求してくる。勤は一切の接触を避けて妻・紀子に対応を任せきりにし、紀子はなんとか夫と家族を支えようとしながらも疲れが隠せない。そんな二人を見つめる息子・芳郎と娘・真由美の視線は限りなくクールだ。働く意欲を失った勤は、つい事故現場へとやって来てしま
う。汚れたカーブミラー越しに見た事故の記憶が脳裏をよぎる。驚愕の表情、方向を見失った車、カーブミラーのポールに激突、衝撃、少女の泣き声…。
軽いうつ症状だと診断されたその日、勤は脚立と清掃用具を携えて事故現場のミラーを一心不乱に磨き始める。鏡面を拭き終えた勤は裏のパネル部分に“贈・くましろはずき”の刻印を発見。それは数年前、その場所で事故死した幼い子供の名前だった。遺族のもとを尋ねた勤はカーブミラー設置の経緯を聞かされる。事故以前から危険な場所であり、死亡事故が起きてしまったにもかかわらず動こうとしない役所の対応に業を煮やした彼らが事故の賠償金で強引に設置したものだった。
勤は仕事もやめて、市内全域のカーブミラーを拭き始めた。危険な交差点にはミラーの増設を求めて何度も役所に足を運んだ。市内のカーブミラーをすべて拭き終えた勤は突然家族の前から姿を消した。北海道に着いた勤の目標は無謀にも全国のカーブミラーをすべて拭くこと。ミラーを拭きながら旅を続ける中で勤は、テレビ局に取材されたことをきっかけにし、初老のサイクリストと出会って励まされたり、カーブミラーの設置を求める田舎町に歓待されたりする。しかし勤は、自分の行為が自らの意思とは離れたところで大仰な扱われ方になっていることに疲れを感じ始めていた。そんなある日、勤はミラー清掃中に事故にあってしまい病院に搬送される。連絡を受けて駆けつけた家族と、勤は三年ぶりに再会することになるが…。

スタッフ

脚本・監督:梶田征則
製作:張江肇、竹中功、鈴木ワタル
プロデューサー:木谷奈津子、吉田晴彦、大橋孝史
製作:日本スカイウエイ、パル企画、イエス・ビジョンズ、ビジョンファクトリー、NHKエンタープライズ

キャスト

緒形拳
大滝秀治
栗原小巻
津川雅彦
辺土名一茶(DA PUMP)
国仲涼子
岸部一徳
奥村公延
長門裕之
水野久美

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