原題:Hollywood Ending

第55回カンヌ国際映画祭オープニング作品

2002年5月3日全米初公開

2002年/アメリカ/113分/ビスタ/ 配給:日活

2005年11月11日よりDVDリリース 2005年4月23日、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー

公開初日 2005/04/23

配給会社名 0006

解説



<お待たせしました。ウディ・アレン、3年ぶりの登場です。恋愛あり、笑いありのドタバタ・ハッピーコメディ>
 とんでもなくドタバタ。ピリ辛く知的。うっとりとロマンティック。『さよなら、さよならハリウッド』にはウディ・アレンのすべてがある!カンヌ映画祭ではオープニングを飾った際は、アレンの奇跡の初登場が実現し大きな話題を呼んだ。70年代にはスラプスティックな笑いを、80年代にはドラマの深みを、90年代にはウェルメイドな温かさを追求してきたアレン。そして新世紀を迎えてからは、それらの要素をブレンド、シェイクし、さらに新たな面白さをめざして突き進んでいる。コメディの天才アレンの集大成。ここに漲るまだまだ熱い芸人魂と若々しい感性に魅せられずにはいられないだろう。
 今ではすっかり落ちぶれた映画監督ヴァル。ハリウッドのプロデューサーである元妻エリーの計らいで再起のチャンスが到来するも、クランクインを控えた夜、突然目が見えなくなり彼は窮地に陥ってしまう。西海岸の日光を嫌う典型的ニューヨーカーのアレンが、皮肉たっぷりに描くハリウッド・ビジネスの舞台裏。ただし、舞台はあくまでNY。アレン作品のトレードマーク、NYの街を背景に、映画作りに奔走する人々の悲喜こもごもが映しだされていく。
 ヴァルに扮するのはもちろんアレン自身。セルフ・パロディのような神経症の監督を底抜けにおかしく演じている。劇中でヴァルが撮る“眠りなき街”は、中国人の撮影監督を起用した40年代が舞台のフィルム・ノワール。この設定は、アレンの前作『スコルピオンの恋まじない』を連想させる。こちらもまた40年代を舞台にした物語のうえ(ロマンティック・コメディという違いはあるけれど)、撮影監督は中国人(チャオ・フェイ)だった。美人女優に囲まれていた辺りも共通し、いよいよアレンの虚実が錯綜してくる。
 ピーター・ホグダノビッチ、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ハーヴェイ・ワインスタインなど有名人の名前が面白おかしく飛び出したり、この業界に古くからある映画の芸術性と商業性をめぐる問答はじめ、アレンならではのウィットに富んだセリフが溢れているのも映画ファンにはうれしいところ。美女たちにモテモテになる役得を堪能しながら、胸の高鳴りを全身で表現するアレンのいじらしさも健在だ。
 アンサンブルを彩るキャストは実力派揃い。『ディープ・インパクト』『天使のくれた時間』のティア・レオーニが、落ちぶれ監督の元夫を助けるプロデューサー、エリー役を好演。製作スタジオの重役にしてヴァルの恋敵ハル役を、映画や舞台で活躍する名優トリート・ウィリアムズ。そのほか、ヴァルのエージェント、アル役にマーク・ライデル、会議には常に出席するスタジオの重役エド役にジョージ・ハミルトンと、アレン作品初参加となるベテラン俳優たちが顔を並べる。
 スタッフには、常連組にプロデューサーのレッティ・アロンソンとヘレン・ロビン。美術監督サント・ロカスト、キャスティングのジュリエット・テイラー。またドイツ人撮影監督ウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフと、衣装デザインのメリッサ・トスが、アレンと初タッグを組み活躍している。
 

ストーリー



アカデミー賞に2度も輝きながら、今やすっかり過去の人となった落ち目の映画監督・ヴァル・ワックスマン(ウディ・アレン)。そんな彼にある日、夢のようなオファーが舞い込む。ハリウッドのメジャー製作会社ギャラクシー・ピクチャーズで、話題作“眠りなき街”の監督をしないかとお声がかかったのだ。が、そこにはひとつ問題があった。映画のプロデューサー、エリー(トリート・ウィリアムズ)は、この製作会社の重役だった。とは言え、腹心のエージェント、アル(マーク・ライデル)の一押しが効き、重役たちとの面接も乗り越えたヴァルは正式に契約を締結。再起のチャンスをつかむことになる。
監督の座につくや、スタッフ・キャストを選ぶに当たってあれこれ注文を出すヴァル。撮影監督には新鮮さがほしいと中国人を起用。あげくに、自分の現恋人で女優の卵ロリ(デブラ・メッシング)に、こっそり役を与える始末。ギャラクシーのお偉いエド(ジョージ・ハミルトン)も頭を抱えつつ、準備は着々と進んでいった。ところが、クランクインを迎えたある夜、ヴァルにとんでもない災難が降りかかる。突然、心因性の失明状態になってしまったのだ。
この事態を知ったアルは、それでも何とかして現場へ向かうようヴァルを諭す。周囲にはひた隠し、ただし目が見えなくても映画が撮れるよう、中国人撮影監督の通訳にだけ秘密を打ち明け協力を得るという作戦を実行。こうしてどうにか撮影は進行するも、セクシーな主演女優(ティファニー・ティーセン)に誘惑されたり、記者の好奇の目にさらされたりと、ヴァルには気の休まる間もない。やがてついに現場のトラブルから通訳が解雇。結局、エリーに真実を打ち明け助けを請う。その甲斐あってヴァルの試練も残すところあとわずか。一方、彼はエリーの優しさを改めて実感し、恋心を再燃させていく。果たして、ヴァルの映画と恋は無事に実を結ぶのか!?

スタッフ

監督・脚本:ウディ・アレン
プロデューサー:レッティ・アロンソン
共同プロデューサー:ヘレン・ロビン
製作総指揮:ステファン・テネンバウム
撮影監督:ウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフ
美術監督:サント・ロカスト
衣装デザイン:メリッサ・トス
編集:アリサ・レプセルター
キャスティング:ジュリエット・テイラー、ローラ・ローゼンタール

キャスト

ウディ・アレン
ティア・レオーニ
トリート・ウィリアムズ
マーク・ライデル
デブラ・メッシング
ジョージ・ハミルトン
ティファニー・ティーセン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す