レッドドラゴン
原題:Red Dragon
≪悪の根源≫を知る為にはその原点に戻らねばならない。
2002年10月4日全米初公開
2002年/アメリカ/カラー/125分/ 配給:UIP映画
2011年08月03日よりDVDリリース 2010年12月17日よりDVDリリース 2004年11月26日よりDVD発売開始 2003年07月25日よりビデオレンタル開始 2003年07月25日よりDVD発売開始 2003年2月8日より日比谷スカラ座1他全国ロードショー公開
公開初日 2003/02/08
配給会社名 0081
公開日メモ ハンニバル・レクターシリーズ最新作、監督は「ラッシュ・アワー」シリーズのブラッド・ラトナー。もちろん、レクター博士は、アンソニー・ホプキンス。
解説
アカデミー賞主要5部門を独占した『羊たちの沈黙』か11年—。
衝撃作『ハンニバル』を経て、今、“レクター”シリーズの最高傑作が誕生した。
全米でlO月4日に公開されるや3日間で興行収入3,750万ドルという10月封切り作品として映画史を塗り替える新記録を樹立した『レッド・ドラゴン』は、シリーズの第1章であると同時に、レクターの恐るべき全貌が明かされる3部作の中で最も恐るべき物語である。シリーズ前2作を超えるため製作スタッフは、オスカー俳優を含めた豪華な演技派俳優陣をズラリ揃え、更に『羊たちの沈黙』の脚本家を再び起用するなど、完全な態勢で挑んだ。結果、“サイコ・スリラーの域を超えた『羊たちの沈黙』に匹敵する傑作!”と全米のマスコミに絶賛され、アカデミー賞の呼び声も高い。
ハンニバル・レクター—類まれなる知性を誇り、何ものも見透かす洞察力と天才的頭脳をもち、人間の闇の部分に分け入ることを自ら選んだ……殺人鬼。冷徹で聡明、驚くべき瞬発力でおぞましい行為を平然と行う怪物。しかし、その残虐さと非道さで底知れぬ恐怖を媒介しながら、なおかつ私たちを妖しく魅了せずにはおかない。名優サー・アンソニー・ホプキンスの圧倒的な演技を得て、レクターはまさしく映画史に残る魔性のヒーローといっても過言ではない。本作品は、絶対悪の化身レクターの根源を辿りつつ、人間の心に潜む“魔”との相克を深く描き切った究極のサイコ・スリラーなのである。
レクターは具体的にどのような連続殺人を犯したのか?冷徹な彼がどんなミスを犯したのか?彼の級密な連続殺人に終止符を打ったのはいったい誰なのか?
レクターのカリスマ性を完全なものとする、そうした謎に的確に応えながら、本作品ではもう一人の殺人鬼レッド・ドラゴンの存在をクローズアップする。二組の家族全員をむごたらしく惨殺、被害者の眼に鏡の破片を差し込み、噛み傷を残す殺人鬼。
この連続殺人は、卓抜したプロファイラーでありながらレクター事件の衝撃で精神的に傷つき、引退した元FB1捜査官ウィル・グレアムが捜査に加わったことからレクターに結びつき、ここにグレアム、レット・ドラゴンの三つ巴のドラマが繰り広げられていく。
グレアムとレクターの緊張感に溢れた関係、心の奥に同じ根をもつレクターとレッド・ドラゴンの共感。追う者グレアムに対するレッド・ドラゴンの反撃まで、人間の心を見据え一一瞬たりと眼を離せない。スリル、サスペンスのみならず、人間という存在の哀しみも浮き彫りになる。悲しい軌跡に彩られた、いびつな愛のかたちが香り立ち、ここにエンターテインメントのあらゆる要素が紡がれる。
メガフォンを撮るのは若手監督のブレット・ラトナー。『ラッシュアワー』シリーズでハリウッドに確固たる地位を築いた彼にとっては初めてのシリアスなスリラーながら、巧みな心理描写とスタイリッシュでサスペンスに満ちた演出は、これまでのジョナサン・デミ、リドリー・スコットに優るとも劣らない。何よりテンションを落とさずに疾走しながらも誠実な語り口を維持するあたり、今までの彼のイメージを一新するほど見事な手腕である。またその陰には素晴らしい脚本の存在を見逃すことができない。トマス・ハリスが1981年に発表した同名小説をもとに、映画ならではの要素を編み込んだのは『羊たちの沈黙』でアカデミー脚色賞に輝いたテッド・タリー。『ぼくの美しい人だから』など、人物の描き込みでは定評のある彼が、レクター、グレアム、レッド・ドラゴンにとどまらず、登場人物すべての人間像にリアリティを与え、スクリーンにくっきりと浮び上がらせている。
もちろん、本作品の魅力を更に高めているのは演技派俳優たちによるキャスティングにある。サー・アンソニー・ホプキンスがこれまで以kにレクターの怪物性を優雅かつ知性的な演技で見せつければ、レクターとの精神的戦いに全知全能を傾けるグレアムには、『真実の行方』で注目され『アメリカン・ヒストリーX』など、アメリカ若手演技派NO.1の呼び声が高いエドワード・ノートン。
また悲しい過去をもつ男“D”(ダラハイド)にはアカデミー作品『イングリッシュ・ペイシェント』や『ことの終わり』で愛に焦がれる男性像を焼きつけたレイフ・ファインズ。ビルドアップした肉体をつくりあげ、愛を知って変貌するキャラクターを体現。その存在感には鬼気迫るものがある。グレアムの上司クロフォードには『タクシー・ドライバー』や『レザボアドッグス』などで知られる個性派ハーヴェイ・カイテル。“D”に心を寄せる盲目の女性リーバには『奇跡の海』や『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』などで、たびたびアカデミー賞のノミネートを受けているエミリー・ワトソン。『ブロードウェイと銃弾』のメアリー=ルイーズ・パーカーがグレアムの妻モリーを、『ブギー・ナイツ』や『マグノリア』のフィリップ・シーモア・ホフマンが事件を追う記者ラウンズにぞれぞれ扮して味を見せている他、『羊たちの沈黙』にも登場したチルトン博士には同じくアンソニー・ヒールド。精神病院の監視員バー二一には『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に続く出演となるフランキー・フェイソン。そしてグレアムの息子ジョシュには『マイノリティ・レポート』でデビューしたタイラー・パトリック・ジョーンズが抜擢された。
製作は『ハンニバル』に続きディノ・デ・ラウレンティスとマーサ・デ・ラウレンティス。イタリア映画界のタイフーンとして君臨し、ハリウッドに渡って以後も『コンドル』や『キング・コング』など話題作、大作を手掛けてきたラウレンティスと妻でもあるマーサとのコラボレーションがこの作品でも遺憾なく発揮されている。製作総指揮には『天使がくれた時間』などでラトナーとのつきあいの深いアンドリュー・Z・デイヴィス。さらに深みある映像でストーリーに奥行きをもたらせた撮影はイタリア出身の匠ダンテ・スピメッティ。『L.A.コンフィデンシャル』などで知られる彼は『天使のくれた時間』でラトナーの演出は体験済み。スリラーとしてのクオリティーを保ちながら、あざとくない映像を披露している。美術は『羊たちの沈黙』、『グッドフェローズ』のクリスティ・ゼア。編集はラトナーの全作品を手掛けるマーク・ヘルフリッチ。衣装デザイナーは『バニラ・スカイ』のべッツィ・ヘイマン。ドラマチックな音楽は『バットマン』シリーズなどでおなじみのダニー・エルフマン。文字通り選りすぐりのキャスト、スタッフが結集した、傑作の登場である。
ストーリー
風光明媚な土地フロリダ州マラソンに自宅を構えるウィル・グレアム(エドワード・ノートン)のもとに、かつての上司ジャック・クロフォード(ハ−ヴェイ・カイテル)が訪れた。プロファイルに優れ、FBIのトップ捜査官だったグレアムに、クロフォードは最近起きた連続殺人事件の協力を求める。何のつながりもないバーミングハムとアトランタの家族が同じ残忍なやり口で全員殺害された。そこには常識を超えた犯人がいると踏んで、彼の参加が不可欠だと力説する。
グレアムは“人食いハンニバル”と呼ばれた殺人鬼、ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)の心を読み、命懸けで逮捕したものの、精魂尽き果ててFBIを辞めた過去があった。
クロフォードの懇願に負けて現場を再検証することを承諾した彼は、妻のモリー(メアリー=ルイーズ・パーカー)と息子ジョシュ(タイラー・パトリック・ジョーンズ)の心配をよそに、凄惨な大量殺人事件の現場であるアトランタヘ飛ぶ。深夜、懐中電灯を片手に捜査を始めた彼は、血の跡が生々しく残った現場、割られていた鏡から殺害方法に頭をめぐらす。
翌日、大勢のFBI捜査官を前にしてグレアムは解析した犯人像を語るる。狙いは両家の夫人で、なぜ選ばれたかは不明ながら何らかの共通点があること。そして突発的な犯行ではなく入念に準備されたものであ
ることもつけ加えた。仕事を終えて帰ろうとするグレアムに犯人を“咬み付き魔”と名づけたタトラー紙の記者フレディ・ラウンズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、今回の事件についてうるさく近づいてくる。クロフォードもまたこれでグレアムを解放する気はなかった。犯罪心理学に長け、自らも殺人鬼である病院に幽閉されたレクター博士に意見を求めるように説得する。レクターにはグレアムが唯一、五分に渡り合える存在。グレアムにとっては精神をボロボロにされた相手だったが、真相を知りたい気持ちが勝る。
ボルティモア州立病院精神科。厳重な監視の目が光る病室へと向かうグレアム。レクターは彼との再会を不敵な笑みで迎える。そして会いに来たグレアムの心を見透かすような態度をとりながらも、資料から導かれた犯人像と犠牲者選択のヒントを口にする。グレアムはアトランタの被害者宅を再訪、一家のホームビデオを食い入るように見直した後、バーミングハムの被害者宅を訪れ、庭の大木に“中”という文字が彫られているのを発見する。鑑識の結果、文字は麻雀牌の“赤き竜(レッド・ドラゴン)”を示すものだった。この結果を持って、グレアムはレクターと面会するが、返
ってきたのは謎めいた“赤い胸の駒鳥…”という言葉だった。グレアムは本屋で尋ね、ウィリアム・ブレイクの画集に行き当たる。
一方、ホームビデオの製作やダビングを業とするクロマラックス社に務める、技術サービス部の通称“D”ことフランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)は、顔の傷がもとで孤独な日々を送っていた。だが赤外線フィルムを受け取りに赤外線室を訪れたとき、担当で盲目のリーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)と出会い、彼女に惹かれていく。それは愛を知らないDには思いもかけない混乱をもたらすものだった・……。
ワシントンに戻ったグレアムは、レクターがタトラ一紙の個人通信欄を使って“咬み付き魔”と文通をしていたことを知る。そして、レクターが犯人に送ったメッセージとは、“グレアムの家族を殺せ”との指示だったのだ……
自宅へと急ぐグレアム。ここに、グレアム、レクター、殺人鬼
による三つ巴の戦いの幕が切って落とされた一
スタッフ
監督:ブレット・ラトナー
脚色:テッド・タリー
原作:トマス・ハリス
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:アンドリュー・Z・デイヴィス
撮影:ダンテ・スビノッティ,A.S.C,A.I.C.
プロダクション・デザイナー:クリスティ・ゼア
編集:マーク・ヘルフリッチ,A.C,E.
衣裳:ベッツィ・ヘイマン
音楽:ダニー・エルフマン
キャスト
ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)
ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)
フランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)
ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)
リーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)
モリー・グレアム(メアリ=ルイーズ・パーカー)
フレディ・ラウンズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)
チルトン博士(アンソニー・ヒールド)
ロイド・ボウマン(ケン・リュン)
バー二一(フランキー・フェイソン)
ジョシュ・グレアム(タイラー・パトリック・ジョーンズ)
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