原題:Take care of my cat

二十歳の春。 何だってできる、どこにだって行けると思っていたあの頃…

第6回(2001)釜山国際映画祭「新しい波」部門 第31回(2002)ロッテルダム国際映画祭コンペ部門 第52回(2002)ベルリン国際映画祭フォーラム部門 第26回(2002)香港国際映画祭

2001年10月13日韓国初公開

2001年/韓国/カラー/112分/ 提供:ポニーキャニオン 配給:ポニーキャニオン+オフィスエイト 配給協力:メディアスーツ

2005年01月19日よりビデオレンタル開始 2005年01月19日よりDVD発売開始 2004年6月26日よりユーロスペースにてロードショー

公開初日 2004/06/26

配給会社名 0068/0449

解説


過ぎ去った青春の日々は、もう帰らない…大人になることは現実と向合うこと。
友情の甘酸っぱさとその終わりを描いた作品は古今東西数多く作られている。しかし韓国の新鋭女性監督が描いた『子猫をお願い』は凡百の作品が束になってもかなわない新鮮なアプローチで、その過程を描いている。同じ高校を卒業した5人の女の子たちが20歳になるころ、1匹の子猫がたらい回しにされるように友情も終わりを告げる。
『子猫をお願い』は、ここ数年、日本公開が飛躍的に増えている韓国映画の中で、女性たちの青春群像をとらえた希有な作品である。どちらかと君えば男性ヒーロー中心の韓国映画界にあって、ヒロインの映画と君えば『猟奇的な彼女』くらいが現代の若い女性を描いた作品であろうか。だが「猟奇的な彼女』はコミカルで誇張されたヒロインだ。そしてまた、過去に名作と言われたヒロイン映画は、『シバジ』をはじめとする儒教社会で耐える女たちの姿が多かった。そんな中で本当に〈等身大〉といえる女の子が登場する『子猫をお願い』は、韓国の女性たちに熱烈に支持され、その結果、その年の〈韓国女性が選ぶ最高の韓国映画第1位〉(第2位は『猟奇的な彼女』)に選出された。また、『2001年の韓国映画の最大の収穫!』と批評家からも大絶賛され、アジア映画振興機構賞受賞、プサン国際映画祭、アムステルダム国際映画祭でも高い評価を受けた。
また、アメリカ、ヨーロッパなどの大都市で上映され、とくにヨーロッパで好評を博した。
フランスのクレテイユ映画祭は伝統ある女性映画祭だが、ロッテルダムで『子猫』を見たロビン・ガット(この名前はイタリア語で猫を意味するのでペンネームか)は【ホ・ジノの『春の日は過ぎゆく』と共に『子猫をお願い』が、2002年ロッテルダム映画祭における韓国映画の素晴らしい発見だ】と書いている。
観た後に昔の友だちに会いたくなるような、ノスタルジックな気分に浸れて同時にさわやかな後味が残る映画を脚本・監督したのは、本作品で長編デビューとなったチョン・ジェウン監督。韓国芸術総合学校映像院映画科1期卒業で、『われらの歪んだ英雄』『永遠なる帝国』のパク・チョンウォン監督に師事した。2本の短編『図形日記』と『二人の夜』で注目され、ソウル女性映画祭などで受賞、後者は【ぴあフィルムフェスティバル】にも招待されている。いつもユニセックスなファッションで、本人は〈女性〉を強調したくないという。性別を超えて、今韓国映画界で注目すべき監督のひとりだ。
主演に『ほえる犬は噛まない』での瑞々しい演技が記憶に新しいぺ・ドゥナ・韓国ではユニークな演技派女優として知られており、多くの監督からラブコールを送られている人気女優だ。日本では『シュリ』の助監督を勤めたペク・ウナク監督の『チューブ』他数本が夏に公開を控えている。ヘジュ役のイ・ヨウォンは、不倫を真正面から描いたことで問題作となった連続ドラマ『青い霧』の主演に抜擢されたが、本作が映画初主演作となる。日本でも人気を博した『アタック・ザ・ガス・ステーション!』にちらりと登場したのを覚えている方もいるだろうか?ドラマ、映画、CFとジャンルを選ばず大活躍したが、現在は惜しくも引退、アメリカに在住している。またジヨン役のオク・ジヨンはモデルとしてのキャリアが長く、この映画で俳優としてデビューした後、SBSのテレビドラマなどでも活躍している。双子を演じたのはイ・ウンジュとイ・ウンシル。彼女たちの明るい演技が話題となったが、二人は実際に中国系の双子で、『純愛譜』でも印象的な出演をしている。

ストーリー



ヘジュ、テヒ、ジヨン、ピリュ、オンジョが、ソウルから電車で1時間ほどの近郊都市、仁川〈インチョン〉の女子商業高校を卒業して1年。5人は、高校時代を毎日ともに過ごした仲だ。しかし、時間とともに、お互いの距離が開き始めているのを感じていた。
上昇志向の強いヘジュ(イ・ヨウォン)はソウルの高層インテリジェンス・ビルにある証券会社に就職した。ルックスがよく、職場でも愛嬌を振りまく彼女は男性上司にも気に入られている。女の子が欲しいものはみんな手にしているように見えるが、ヘジュは満足しない。整形手術にも視力回復手術にもトライし、お金は服につぎ込んで、新たなチャンスを逃さない。
職場の上司には従順だが、高校時代の友人を前にすると優越感が目然と態度に出てしまうヘジュとなにかにつけぶつかりあうことが多くなってきたのは、5人の中でも早くに両親を失い、バラック街で祖父・祖母と暮らすジヨン(オク・ジヨン)だ。彼女には定職がなく、屋根裏部屋でデザイン画を描きつづけているが、その才能を活かした仕事を見つけることはおろか、就職に四苦八苦している。学生時代は一番仲が良かったヘジュの言動が、いちいち癇に障るのだ。
こんな二人の間で5人の友情を守っていこうとするのは、夢見がちで「どこか違う広い世界に出て行きたい」と切望しているテヒ(ペ・ドゥナ)。自分の気持ちをストレートにぶつける本当の場所はどこなのか、探し続けている。彼女は家業の手伝いをしながら、小児まひの青年詩人の家に通い、彼の口述する詩をタイプに打つというボランティアもしている。それなりに成功している自営業の家に生まれ育った彼女だが、父親のワンマンぶり、そして自分を理解できもしない無神経さにキレかけている・中国にルーツを持つ双子のピリュ(イ・ウンシル)とオンジョ(イ・ウンジュ)は、仁川のチャイナ・タウンに暮らし・アクセサリーの露店を出して生計を立てている。彼女たちは19歳から20歳、つまり年齢の上で「未成年」から「大人」への橋を渡ろうとしている。ぶつかったりはしゃぎあった0しながら…。
ヘジュが20歳になる誕生日。それぞれにプレゼントを買ってパーティに集まるが、ジヨンにはお金がない。そこでジヨンが思いついたプレゼントはなんと、拾った子猫!この風変わりなプレゼントをいったんは受け取ったヘジュだが、ほどなくジヨンを呼び出して、子猫をつき返してしまう。
そんなある日。5人が集まって遊んでいる間に、ジヨンの住むバラック建の家がとうとう自然崩壊してしまう。祖父と祖母を一度に失った彼女は、天涯孤独の身になってしまった。それまで可愛がっていた子猫をテヒに預け、彼女は警察からの事情聴取を受けるが、捜査員に逆らい、それがもとで少年保護施設に収容されることになってしまう。
ジヨンにはこれから先のあてもなければ行き場所もない。誰が話しかけても完全黙秘を続けるジヨン。テヒはジヨンを施設に訪ねては対話し、その不安な心を受けとめようとする。
やがてジヨンが施設を出所する日がやってくる。子猫をピリュとオンジョに預けて、荷物をまとめたテヒは、施設にジヨンを迎えに行く。「どこに行くのかは、行きながら考えよう」とテヒはジヨンに笑いかける。二人は、仁川国際空港から飛行機に乗り・広くて未知の世界へと旅立っていく…。

スタッフ

監督:チョン・ジェウン
脚本:チョン・ジェウン
製作:オ・ギマン
製作投資:チャ・スンジェ、チェ・ジェウォン
ラインプロデューサー:オ・ジュヒョン
撮影:チェ・ヨンファン
照明:パク・ジョンファン
編集:イ・ヒョンミ
同時録音:イム・ドンソク Live
美術:キム・ジンチョル
音楽:M&F
製作会社:マスルピリ

キャスト

ペ・ドゥナ
イ・ヨウォン
オク・チヨン
イ・ウンシル
イ・ウンジュ

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