原題:The Thirteen Step

被告人ヲ死刑ニ処ス。

2003年/日本/カラー/122分/ 配給:東宝

2003年09月05日よりビデオレンタル開始 2003年09月05日よりDVDリリース 2003年2月8日より東宝邦画系にてロードショー公開

©2002 フジテレビ・東宝・ポニーキャニオン・イマジカ

公開初日 2003/02/08

配給会社名 0001

解説


どんでん返しの連続する真犯人探しの謎解きを縦軸に、”死刑”というあまりにも重いテーマを、この極刑に関わる被害者、加害者、刑を執行する者の多角的な視線を通して描ききってみせた高野和明による原作「13階段」は、宮部みゆき、赤川次郎、逢坂剛、北方謙三ら江戸川乱歩賞選考委員の大絶賛を浴びた。同年8月に原作が発売されるやミステリー小説界で権威ある「週刊文春ミステリーベスト10」第2位、「このミステリーがすごい 02年度版」第8位にランクインしてその評価を高めるとともに、ミステリージャンルにおいて圧倒的な売り上げを誇っている。今回、この原作に映画的要素を大胆に取り入れることで、緊迫感溢れるミステリーは”命の尊厳”や“償い”を考えさせる、より厚みのある人間ドラマとなって結実した。
 主人公の三上純一を演じるのはドラマ・映画・CM・歌手、あらゆる分野でその苛烈なまでの個性を発しつづける反町隆史。最近ではNHK大河ドラマ「利家とまつ・加賀百万石物語」で織田信長役を凄まじい迫力で演じきった。本作ではかつて人を殺め、心に深い闇を抱える青年という、今までにない
難役に挑戦した。そして、法の名の下に死刑執行を行った刑務官・南郷正:二を演じるのは山崎努。黒澤明監督の「天国と地獄」(63年)から、昨年公開されてあらゆる映画賞を総ナメにした「GO」や本年の「模倣犯」に至るまで、永年に渡って銀幕にその圧倒的な存在感を残し続けるベテラン俳優が、職務と倫理観の間で苦悩する刑務主任役に挑んだ。共演には純一と南郷に真相の調査を依頼する杉浦弁護士役に笑福亭鶴瓶、南郷の娘・杏子役を田中麗奈が演じ、また・冤罪の死刑囚・樹原に扮するのは作家としても若者から絶大な支持を集める宮藤官九郎。さらにバラエティ分野で活躍する雨上がり決死隊の宮迫博之は極刑を執行される死刑囚・寺田役を熱演した。ほかにも大杉漣、井川比佐志、別所哲也、石橋蓮司、崔洋一、大滝秀治など個性派、演技派のキャストがこの一級エンターテインメント大作の脇を固め、物語に一層の厚みを加えている。
 この作品のメガホンを取ったのは長澤雅彦。2001年「ココニイルコト」で映画監督デビューを果たし、その繊細なタッチで若者の心瑛を描き、透き通るような美しい映像で観る者を魅了した。さらに本年にはアクション超大作「ソウル」を監督。繊細さとメジャーエンターテインメント性を兼ね備えた新鋭ディレクターが、今回サスペンスと感動の融合した一級の娯楽作品を亀み出した。脚本を担当したのは「誘拐」(97年)のオリジナル脚本で第21回城戸賞を受賞した森下直。その卓越した手腕でサスペンス溢れる謎解きと骨太の人間ドラマを巧みに編み込んだ。音楽を手掛けたのは、話題のCM音楽を作曲しているイギリス人音楽アーティスト・NickWood(ニッタ・ウッド)’。最近ではキリンビールのサッカー日本代表サポートCM曲「PASS10N」が大ヒットを記録した。今回、時に静かに、時にエモーショナルに、抑制の効いた音楽で作品世界を盛りげている。

ストーリー

かつて喧嘩相手を誤って死に至らしめ、3年の刑に服していた三上純一(反町
隆史)は4ケ月の刑期を残して仮釈放された。そんな折、純一の服役していた刑務所の刑務主任・南郷正二(山崎努)が彼を訪れ、ある死刑確定囚の冤罪を晴らす調査に純一を誘う。この調査を依頼したクライアントの仲介役として弁護士の杉消(笑福亭鶴瓶)は、事件の全容を純一に話した…。
死刑確定囚の樹原亮(官藤官九郎)は窃盗の前科があり、仮出所中に自分の保護司の宇津木夫妻を金目当てで殺害した容疑をかけられていた。現場に残されたあらゆる証拠は樹原が犯人であることを裏付けていた。しかし、樹原は事件直後の交通事故で犯行時刻の記憶を一切無<していたのだった。その為犯行を否認することも出来なければ、改俊の情を示す事も出来ず、不服を申し立てる被告には恩赦の望みも無かった。最高裁でも上告は棄却され、事件から3年後、樹原の死刑は確定した。刑執行の可能性を考えると残された時間は3ヶ月。手がかりは樹原がふと思い出した犯行当時の「階段を昇っていた」という記憶の断片のみ。  純一は迷いながらも報酬の1000万円が逼迫する家計の一助となればと考えこの仕事を引き受ける。早速二人は事件現場に赴<が、偶然にもそこはかって純一が殺してしまった佐村恭介が住んでいた町だった。佐村家へ土下座して謝罪した純一と南郷。しかし恭介の父・光男(井川比佐志)の怒りは3年経うた今も鎮まってはいなかった。 調査を開始した二人は犯行現場からの行動範囲で絞り込んだ山の中に「階段」を探し続ける。そこに未だ発見されていない被害者の貯金通帳と印鑑があるのではないか。 そんなある日、純一はかつて人を殺めた自分が、祀酬の金欲しさに真犯人探しを行っていることに疑問を労え、この事件の網査から降りると言い出す。そんな純一に南郷は自らの過去を打ち明けた…。刑務官である南郷は法の名の下に、その指で死刑執行のボタンを押したことがあったのだ。 13年前。金目当てに資産家一家を皆殺しにしたその死刑囚・寺田(宮迫博之) は服役中に改心し、真剣に被害者の冥福を祈り続けていた。そんな彼の現状を聞いた被害者衆族は減刑嘆願書を出したほどだった。だが、死刑執行の日は訪れた。受けとめがたい現実に南郷は苦悩しながらも職務を遂行した。 「俺もこの手で、人を殺した」 南郷はその贖罪と自身の再生を懸けてこの仕事を引き受けたのだった。 決して癒えることのない心の傷を抱える純一と南郷。彼等の捜査の行方に待ちうける驚愕の真実とは?やがて、南郷の前に信じがたい事実が津かび上がる。10年前、保護司夫妻が殺された日、純一はこの町に来ていた…。

スタッフ

原作:高野和明「13階段」
製作:フジテレビ、東宝、ポニーキャニオン、イマジカ
プロデューサー:角谷優
監督:長澤雅彦
脚本:森下直
音楽:ニック・ウッド
撮影:藤澤順一
美術:小川富美夫
照明:渡邊孝一
録音:滝澤修
編集:掛須秀一

キャスト

三上純一:反町隆史
南郷正ニ:山崎努
南郷杏子:田中麗奈
木下友里:木内晶子
杉浦弁護士:笑福亭鶴瓶
安藤紀夫:大杉漣
佐村光男:井川比佐志
樹原亮:宮藤官九郎

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す