王様の漢方

見る薬膳。

2002年／日本＝中国合作／ビスタサイズ／ドルビーＳＲ／104min 提供：アスミック・エース エンタテインメント、東芝デジタルフロンティア、エデン 配給：ミック・エース、エデン

2003年07月04日よりビデオレンタル開始 2003年07月04日よりＤＶＤ発売開始 2002年10月12日よりシャンテ シネ、シネマスクウェアとうきゅうにてロードショー公開

公開初日　2002/10/12

配給会社名 0007/0113

公開日メモ　日本と中国を“漢方医学”というキーワードで結び、世界で活躍する映画人が中国に結集して創り上げるドラマチック・ヒーリング・ムービー。

解説

ストーリー

◎有什別有病、没什別没銭
(病は治せても、金がないのは治せない)

日々進化を遂げる現代の北京。かつて日中国交回復のチャンスに乗じ、日中間のビジネスの開拓者として名を馳せた市川一雄(50歳)だが、今や大手企業が次々と中国進出を果たしてすべての利権を奪われ、サラ金からの借金は雪だるま式に膨れ上がって彼が経営する小さな貿易会社は倒産の危機にあった。さらに、この大変な時期に彼は持病の目の病気が悪化し、まさに泣きっ面に蜂の状態だった。
そんなとき市川は、ホテルの一室で古びた漢方診療所を経営する李仁[リーレン]と出会う。李仁の診療所もまた、新しく派手な新興のマッサージパーラーに押されて客はさっぱりだった。李仁は市川の病状を診るや、すぐに鍼と漢方療法を使い、アッという間に市川が数十年悩まされてきた病気を治してしまう。
市川は何か新しい未来が開けた気がした。そして、この奇跡を多くの人々に体験させることで新しいビジネスができるのではないかとひらめくのだった…。

数週間後、市川は日本から男女2人づつ4人の患者と秘書の小泉純子(35歳)を連れて中国に戻ってくる。彼は“日中友好漢方旅行団”を企画し、日本から患者たらを連れてきたのだった。
市川からの借金の取り立てが第１の目的だが、自分のインポテンツも治そうと参加するやくざ、中村英雄(38歳)。妻に先立たれて傷心の上、末期のガンを患って自暴自棄気味の製紙会社の会長、大山忠(71歳)。西太后の美容法と漢方ダイエットを学ぼうとするモデル、和田貴美子(23歳)。そして、性同一性障害を治すべくけ親に無即やり送り込まれた青年、菊地五郎(19歳)。患者たちの症状や要望は様々だった。
旅行団は万里の長城にある李仁の家に合宿し、李仁とその息子夫婦、文重[ウェンジョン]と玉蘭[ユイラン]、孫の梅梅[メイメイ]、そして李仁のアメリカ人の弟子ノーマンによるユニークな漢方治療の数々を受けることになる。

◎看菜診病(看菜診療法)

まず彼らを待っていたのは、ずらりと並んだ料理の中から、その人が何を食べたかで病気を診断する“看菜”という薬膳料理を使った診察だった。李仁は何も知らされないまま患著たちの病状をズバリと言い当て、それぞれの治療法、を思案するのだった。

翌朝、和田は川でトイレ用の桶を洗っているノーマンと出会う。なぜ李仁の弟子になったのかと尋ねる和田にノーマンは、李仁だけが知っている秘密の不妊治療薬を伝授してもらい、西洋に伝えたいという想いを伝える。

◎陰差陽錯(陰と陽のアンバランス)

李仁はノーマンと共にまず、性同一性障害に悩む菊地の個別診察を行う。脈をとり、爪を観ることで李仁は菊地が家庭の事情で幼いころから精神的な重圧を受けてきたことを知り、彼の心を開かせるためにしばらく自由にしておこうと考える。

◎外強中干(外は強いが中は弱い)

次に李仁は中村の治療を行う。李仁は中村の背中一面に彫られた鮮やかな龍の刺青に感心しながら、中村のストレスで弱った内面を活性化させるため、水牛の角でできた特製の板で背中の皮膚を擦る“グアシャー”という伝統的な治療法を使うのだった。

◎医食同源(医食は同源なり)

玉蘭は薬膳の原点ともいうべきお粥を作りながら、その作り方のコツや歴史を説明し、日々の食事の大切さを講義する。そして、“良薬は口に苦し”ではない漢方の考え方である“医食同源”と“五味調和”を一行に体験させる。

治療で活力を回復した中村は、ノーマンと共に太極拳の鍛錬をする李仁に挑戦を挑む。腕っぷしには自身のあった中村だが、中村の攻撃を華麗にかわし、その力を逆に利用する李仁の技にはまったく歯が立たず、観念して李仁に弟子入りを志願する。

◎浪子回頭(悪人も足を洗う)

夜、李仁宅ではノーマンの鍼の試験が行われていた。そこへ、中村がやってきて自分にも鍼を打って欲しいと言いだす。中村は鍼の効果に感激し、漢方の鍼を使って日本の覚せい剤中毒を撲滅しようと心に誓うのだった。

夜中に長城を散歩していた大山が道に迷い、早朝発見される。疲れきった大山は李仁のマッサージを受けて回復するが、市川は念のため大山を市内の大病院へ送り、検査を勧める。

◎珍珠美容(真珠美容術)

薬草工房では和田の美容治療が始まる。李仁は和田の貞珠のイヤリングを粉にして梅梅の作った人参スープに人れて彼女に飲ませ、痛んだ髪の毛には西太后秘伝の養毛散をふりかける。

菊地は中国の丘、広大な大地に触れ、何か新しい自分を見つけようといてもたってもいられなくなり、宿舎を飛び出して長城の麓を放浪する。やがて彼は、古びたお堂で練習をしている旅回りの京劇一座と出会い探していた何かを発見する。

◎琉筋通絡(筋が伸びれば経絡が通る)

李仁とノーマンはさらに和田の治療を続ける。李仁はノーマンにマッサージのテクニンクを教えながら、和田の足裏のツボを指圧し、新陳代謝の活性化を促す。そのとき、大山の真の病状を知った市川が大急ぎでやってくる。

◎秘方(秘密の処方)

小泉はノーマンと和田から懇願され、李仁に不妊治療薬を処方して欲しいと顧む。李仁はそれを快諾し、紙を空中に広げたまま書く“懸紙書道”で巻紙に漢方薬の処方せんを書いていく。だが、そこには肝心の分量は記されていなかった。

◎平常心是道(平常心は生きる術)

やがて、数日間の漢方の旅は終わりを告げようとしていた。李仁が時間をかけて彼らに伝えたのは何より“平常心”の大切さだった。大山の病状は？中村の回復は？菊地の行方は？和田のダイエットは？小泉の妊娠は？そして、市川の信金は？果たしてどうなるのか？彼らが雄大な長城と大白然の中で出会った中国五千年の叡知の奥の深さは、ただ彼らの病を癒すだけではなく、彼らの人生観を一変させる驚くべき体験だった…。

スタッフ

監督(導演)：牛波
原作(原著)：牛波
脚本(編劇)：牛波、江戸木純
総合ブロデュース(出品人)：塞夫、古谷文雄
プロデューサー(監製)：海興元、江戸木純、張秀紅
製作総指揮(連合監製)：椎名保、宮里一義、川舟のり子
共同製作総指揮(策劃)：王迎慶、越部陽一耶
ライン・プロデューサー(裏片主任)：張玉育、帥躍
製作総指揮補(日方監製助理)：豊島雅郎、山田俊輔、宇田充、林田真由、渋谷恒一、広岡薫、奥平謙二
撮影監督(撮影指導)：津田豊滋
音楽監督(音楽総監)：徐志芳
音楽作曲(作曲)：史慮有
助監督(副導演)：徐成林
美術(美術)：中波、馮燕慶
録音(録音)：八木隆幸、李志忠
照明(照明)：柴田信弘、唐興武
編集(剪接)：冨田功、張恵敏

製作：「王様の漢方」製作委員合
　　　　(アスミック・エース エンタテインメント＋東芝デジタルフロンティア＋エデン)
製作プロダクション：エデン(東京)＝中国内モンゴル映画製作所(ウルムチ)
　　　　　　　　　　＝北京牛波文化発展有限責任公司(北京)
製作協力：ヤン・エンタープライズ、中国電影合作制片公司

キャスト

リ・レン(李仁)：チュウ・シュイ(朱旭)
市川一雄：渡辺篤史
ノーマン：ノーマン・リーダス
大山忠：沢本忠雄
中村英雄：中山一朗
和田貴美子：出川紗織
菊地五郎：中村正志
小泉純子：藤田佳子
ウェンジョン(文勢)：ソン・ピン(宗平)
ユイラン(玉蘭)：ハースカオワ(哈斯高娃)
メイメイ(梅梅)：ソン・ホワユー(宋華字)

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