帰り道なんて、とっくに忘れてしまいました。

2001年/日本/35mm/カラー/95分 配給:スローラーナー

2003年09月26日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年09月26日よりDVDリリース 2003年12月14日よりお正月ユーロスペースにてロードショー

公開初日 2002/12/14

配給会社名 0048

解説



時は2060年。まだ見ぬ故郷の“星”へGO!!
勝った負けたの世界はクソだツ!!
人生は作品。ホイップクリーム!

2035年、KENの人生は間違って拾われた捨て子として始まった。プロレスが大好きで、中でもカール・ゴッチが大好きで、地球に不法滞在している宇宙人に育てられたKENは、怪しげな“クスリ”を売って暮らしてる。でも、組織に追われて、麻薬Gメンに逃げ込んだKENは、地球人なのに育ての親の“星”に強制送還されてしまうのだ。ヤバメな移送担当官HIDEと、プロペラで動く宇宙船に乗って“故郷”へ。でも、そこは放射能に汚染されてるし、宇宙人は「ワラワラ」としか言わないし、革命には巻き込まれるし、美少女とは出会っちゃうし、村のお爺さんとお婆さんは愛しいし、もう帰り道なんて忘れてしまいそう…。恋人のRAYは、ちゃんと待っていてくれるかな?

瀬々敬久監督、待望の新作はなんとSF!!
宇宙船はプロペラで飛ぶわ、宇宙人は「ワラワラ」としか言わないわ、
まるで『不思議惑星キン・ザ・★』!?

Gackt、HYDE共演の『MOON CHILD』も楽しみな瀬々敬久監督、待望の新作はなんとSF!!監督が『不思議惑星キン・ザ・ザ』に惚れ込んで、暖めつづけていた企画が『SFホイップクリーム』だッ。主人公KENに、俳優やミュージシャンとしてだけでなく、『TAMALA 2010』では声優としても活躍中の武田真治、移送官HIDEに、崔洋一監督『刑務所の中』、大森一樹監督『T.R.Y.』、飯田譲治監督『ドラゴンヘッド』など、これからも出演作がめじろ押しの松重豊、謎の美少女は、映画デビューとなる池端絵美子。まるで某都知事みたいなことを言う総理大臣に“浅草キッド”の水道橋博士。「ワラワラ」としか話さないKENの故郷を、どこで撮影したかはナイショ。勝った負けたの世界じゃないぜッ!

ストーリー



昔々、カール・ゴツチというプロレスの神様がいた。
この神様はデカいだけのレスラーが大嫌いだった。
デカイ男はデカいクソしかタレない。
クソからはホイップクリームは作れない。
神様はこう言いたかったのさ。
勝った負けたの世界はクソだ。人に何も与えやしない。
プロレスはホイップクリーム、作品、人生だ!

2035年、オレ=KEN(武田真治)の人生は、間違って拾われた捨て子として始まった。育ての親は地球に不法滞在する宇宙人。あまり構ってもらえなかったけど、恨んでなんかいない。テレビのプロレス中継を子守唄代わりに大きくなって、10歳を過ぎた頃には一人で生きていた。そんなオレは、今もプロレスが大好きで、中でもカール・ゴッチが大好き。“クスリ”の売人をしながら暮らしている。アントニオ猪木という神様の弟子が言った。「レスラーが安住の場所を求めてどうするんだ?この地上に安住の場所なんてない」と。オレはこの言葉が好きだった。

2060年、オレが25歳になったある日のこと。“クスリ”の売り上げ金をごまかしていたことがバレて、組織の元締めホシ兄(森下能幸)と、麻薬Gメンの両方に追われる身となったオレは、麻薬Gメンへ逃げ込むことを選ぶ。だけど捨て子のオレのIDは偽造でしかも宇宙人仕様。移民局長官マック小笠原(塩野谷正幸)は、オレを故郷の星に強制送還すると言う。「だーかーら、オレ地球人なんすよっ!」と、必死に訴えてみても、「万が一そうだとしても、この先何十年もドラッグ売買とID偽造の罪で刑務所に入っているより、故郷の星に帰った方がずっといいんだよ。これも、キミ達異星人を差別しない、という総理のスバラシイ新方針のおかげなんだよ。」とかなんとか言って、聞く耳を持たない。フィアンセのRAY(片山佳)がやってきて言った。ホシ兄がオレを追っていると。組織に殺されるのはいやだ。しばらく地球を離れよう。オレはそう決心した。

移送途中でヤミ取引をしたり、いきなり拳銃をブッ放してみたり、と、かなりやバメな移送担当官HIDE(松重豊)と、プロペラで動く宇宙船に乗って“故郷”へ。「ワラワラ」としか言わない故郷の役人の言葉を翻訳機にかけると、どうやら書類の不備だからとにかく待機しろってことらしい。プロレスをして時間をつぶしてみたけど、全然将が明かない様子。仕方ないから、自カで故郷の村を探すことにした。子供の頃に聞いた英雄伝説に出てくる『アンドレ山』を目指して。

酒場で美少女KAZU(池端絵美子)に出会った。彼女も「ワラワラ」としか言わないけど、どうやら『アンドレ山』を知っている(?)らしい。一緒に連れて行くことにした。途中、砂漠に暮らす心優しい老夫婦に出会った。老夫婦の家に泊まった夜、久々にムラムラしちゃったオレは、寝入ったKAZUに近寄った。が、寝ているはずの、しかも「ワラワラ」としか言わないはずの彼女に、「ヘンな気起こさないでよね」といきなり怒鳴りつけられる。KAZUはオレ達の言葉も、オレがこの星の生まれでないこともわかっていた。

老夫婦の家での楽しい時間が過ぎていく中、HIDEは、KAZUに手を出そうとしたバチが当たったのか毒ヒルに噛まれてしまった。その夜KAUはオレに、自分がロボットであることを打ち明けた。オレはHIDEが死んでしまった時のことを考えて感傷的になっていたけど、老夫婦が祈祷をしてくれたおかげか、HIDEは翌日にはすっかり元気になりやがった。

ところがその日、オレが気持ちよく野グソをしている間に軍隊がやってきて、HIDEとKAZU、老夫婦を連れて行ってしまった。実はここは、放射能に汚染された立ち入り禁止区域で、KAZUは革命ゲリラ。老夫婦は人質だと思われ、HIDEはゲリラの仲間だと思われたのだった。「やった!自由の身だ」と一瞬は思ったけど、やっぱり助けに行くことにした。

HIDEを救い出し、この事態を地球に知らせようと通信機を叩く。が、そこには衝撃的な事実が待っていた。移民局長官マック小笠原はHIDEの妻と結婚していた。地球の時間では既に3年が経っていた。HIDEは上司にハメられていたのだ。そしてこの星の政府は、環境汚染のことを知られて地球からの援助がなくなるのを恐れ、秘密を知るオレ達を殺そうと企んでいた。

ショックですっかりイカレちまったHIDEと一緒に脱出を試みる中、地下で暮らしていた老夫婦と再会した。じいさんは病気で、先が短いらしい。「ワラ…ワラ」と必死に何か訴えている。「戻りたいんじゃないか?」そう思ったオレは、じいさんを担いで走り出した。途中、ゲリラ仲間に助け出され、何十人もの兵士を倒してぐったりと座り込んだKAUを見つけたHIDEは彼女に走り寄る。KAZUを抱きかかえて歩くHIDEの姿はどう見てもKAUへの愛を宣言していた。だがロボットのKAZUが疲労するはずもなく、「下ろして。一人で歩ける。」とHIDEを突っぱねるのだった。5人でやっと家までたどり着いたとき、じいさんの体は既にひんやりしていた。「ムダじゃなかったさ。」そうつぶやきながら、後ろ髪引かれる思いでばあさんを残し、再び『アンドレ山』を目指して宇宙船に乗り込むオレ達。だが見つかるはずもない。目指す場所は最初から存在しないのだ。

実は毒ヒルに噛まれたHlDEの傷が悪化していた。政府の建物に着陸し、HlDEを引き取りに来させる為、地球に連絡しようとするKAZU。そこヘホシ兄が現れた。オレはわき腹を撃たれ、何発もの銃弾がKAZUに向けて放たれた。ホシ兄がオレに留めの一発を放とうとしたそのとき、ホシ兄の胸を一発の銃弾が貫いた。HIDEが撃ったのだった。崩れこんだKAZUの側に座るHIDEにオレは言った。最初から、帰る場所などなかったのだと。

突然、瀕死のホシ兄がHIDEに銃弾を打ち込んだ。オレはホシ兄を撃ち、HIDEの側に座り込んだ。「オレ…ホイップクリーム作れたかな…」虫の息のHIDEがつぶやく。「ああ、作ったよ!」オレがそう言うと、HIDEは笑って、そして息を引き取った。

オレは地球へHIDEの遺体を連れ帰り、超法規的措置のおかげで自由の身となった。HIDEは移送途中のオレの命を守った“英雄”に祭り上げられた。とんだ茶番だ。そして、オレの目の前には6歳年を喰ったRAYが子供連れで現れた。こいつがオレの子だって?まあいいさ。始まるのはこれからだ。

スタッフ

プロデューサー:神野智、下田淳行
監督・脚本:瀬々敬久
撮影監督林淳一郎
V・E:三坂裕之
照明:豊見山明長
美術:丸尾知行
音楽:安川午朗
編集:菊池純一
録音:三澤武徳
助監督:吉村達矢
企画・製作:ツインズジヤパン
配給:スローラーナー

キャスト

KEN:武田真治
HIDE:松重豊
KAZU:池端絵美子
マック小笠原:塩野谷正幸
ホシ・セント:森下能幸
RAY:片山佳
消える青年:武田大和
総理:水道橋博士

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