原題:DECALAGE HORAIRE/JET LAG

あなたが心を溶かす。

2002年/フランス映画/カラー/86分/ドルビーSRD/7巻2343m/シネマスコープサイズ/ 翻訳:松浦美奈 配給:日本ヘラルド映画

2004年02月25日よりDVDリリース 2003年8月30日よりヴァージンシネマズ六本木ヒルズにてロードショー

公開初日 2003/08/30

配給会社名 0058

公開日メモ 恋人に捨てられようとしている男と恋人と別れようとしている女。空港で出会ったふたりはなぜか24時間を共に過ごすことに・・・二大スター共演で贈るハッピーなフレンチ・ラブストーリー

解説



これほど共演を待ち望まれていた二人はいないだろう。フランスを代表する俳優、ジュリエット・ビノシュとジャン・レノ。フランス映画の近年の名作・ヒット作に名を必ず連ねるこの二人がいまだ共演していなかったという事実も私たちを驚かせる。満を持して製作された映画「シェフと素顔と、おいしい時間」。フランス本国の大ヒット、そしていよいよ日本にて公開される。
パリのシャルル・ド・ゴール空港25時。恋人から逃げる女と恋人を追いかける男が出会った。女はメキシコのアカプルコへ向かおうとするトップ・メイキャップ・アーティストのローズ。男はアメリカで食品会社を経営しているかつての有名シェフのフランス人、フェリックス。ミュンヘンへ向かう途中、悪天候でパリに着陸した。お互い仕事は順調だが、プライベートではなぜか最良のパートナーにめぐり会えない日々。二人の心に何か問題が!?そんな二人の空港での出会いはやっぱり最悪。フェリックスは厚化粧で派手なローズに辟易。ローズは神経質なフェリックスにうんざり。ストさえなければ、二人はお互いの目的地に立って当然、それっきりになるはずだった。どうしても空港で一夜を過ごさなくてはならなくなった二人は…。
ローズには「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞助演女優賞を受賞したほか、「ショコラ」でもアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実力派女優ジュリエット・ビノシュ。フェリックスには「レオン」、「ミッション:インポッシブル」、「GODZILLA/ゴジラ」、「RONIN」などの超大作に主演し、全世界に活躍の場を広げているジャン・レノ。フランス映画界を代表する国際的俳優二人が夢の初共演を果たし、運命的な出会いと大人の恋を見事に謳いあげる。ローズの恋人、セルジオを演じたのは「ハリー、見知らぬ友人」、「ニノの空」で強烈な個性を発揮したセルジ・ロペス。凶暴で不気味なところがある男を演じさせたらピカイチだ。
俳優たちの個性的演技には酔わされる。ことにビノシュが素顔になるシーンは圧巻だ。フランス映画らしく元シェフがこだわる料理談義にも薀蓄が傾けられる。夜中にフェリックスがホテルの厨房でステーキを焼くシーンでは、空腹がこたえるに違いない。空港の待合室シーンは、9・11事件のあとできわめて条件が厳しかったが、監督の執念が実ってド・ゴール空港での撮影が実現した。大群衆がごった返す大空港の迫力は、セットでは再現不可能だっただろう。
監督は「王妃マルゴ」、「愛する者よ、汽車に乗れ」、「ラ・ブーム」などの脚本家で、「ブッシュ・ド・ノエル」で監督デビューを果たした女性監督ダニエル・トンプソン。本作では息子のクリストファー・トンプソンと共同で脚本を書いている。製作のアラン・サルドは、フランスではトップクラスの辣腕プロデューサー。最近ではアカデミー賞監督賞などに輝いたロマン・ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」のほか、「レセ・パセ」、「マルホランド・ドライブ」、「ピアニスト」、「デュラス 愛の最終章」、「ポネット」などの話題作、衝撃作をプロデュースしている。大人の恋をドラマチックに盛り上げる音楽は、「グラン・ブルー」、「レオン」のエリック・セラが担当している。

ストーリー



人々がざわめく、パリ、シャルル・ド・ゴール空港。たった今始まったストがそのざわめきに拍車をかけていた。そんな中、メキシコ行きの航空券を求めてカウンターに並ぶローズ。きっちりと髪を結い上げ、完壁なメイクと派手なファッションに身を包む彼女は、トップ・メイキャップ・アーティスト。手には商売道具の大きなメイクボックスを大事そうに抱えていた。メキシコ行きを決めたのは、アカプルコのホテルに仕事をみつけたことと12年間連れ添った、暴力的でしつこい恋人セルジオから遠ざかるため。ストで飛行機が飛ばないことを知ったローズは愕然。航空券を発券する空港職員と言葉を交わしつつ、同時に携帯では親友のサビーヌに慌てふためきながら、しきりに頼みごとをしていた。家を出ていく際に恋人のセルジオに残してきた別れの手紙を始末してもらいたかったのだ。頼みを聞くことをためらうサビーヌを何とか説得しようと必死になるローズ。そして説得しながらトイレに駆け込んだ時、ローズの携帯電話が不注意で便器の中に落ちてしまう。
一方、アメリカからミュンヘンに向かう飛行機に乗っていたフランス人のフェリックスは悪天候のため、やはりシャルル・ド・ゴール空港で足止めを食らうことに。ファーストクラスに搭乗する彼は、かつての有名シェフで今はアメリカで冷凍食品の会社経営をするビジネスマン。空港に降り立った彼は疲れた様子ながらも、携帯電話で仕事の指示を出していた。そして電話を切った彼に「電話をお借りしても?」と声を掛けてきた女性がローズだった。ストさえなければ予定通りメキシコに飛び立っていたはずなのに、手紙を見つけて逆上したセルジオが、空港まで追いかけてきたら大変なことに。焦るローズに公衆電話にならぶ時間などなかったのだ。無愛想に電話を渡すフェリックス。ローズは用件を済ませて電話をフェリックスに返したのも束の間、今度は番号を知ったローズのママからフェリックスの携帯に電話が掛かってくる始末。その時フェリックスを突然持病の発作が襲った。医務室から出てくるフェリックスに駆け寄り、携帯電話を返しながら「何かできることは?」と聞くローズに「何もない」とそっけなく答えるフェリックス。別れ際、何かを伝えようとしてローズが言葉を飲み込んだ瞬間、フェリックスに電話が掛かってくる。電話の相手は9ヶ月前に別れたナディア。ナディアのおばあさんの葬儀に参列する為にミュンヘンに向かおうとするフェリックスに、ナディアから返ってくる言葉は冷たいものばかり。どうやらナディアは自分を傷つけたフェリックスに会いたくないらしい。そしてフェリックスが葬儀に参列する目的は他でもなくナディアに一目会うためなのであった。そんな中、苦労のかいも空しく、手紙を見つけて逆上したセルジオが空港の二人の前に姿を現した。セルジオの横暴ぶりにさすがに見て見ぬ振りを出来ないフェリックスは、彼からローズを引き離すのに一役買うことに。
二人の飛行機はいっこうに飛び立たない。空港のベンチで横たわろうとするローズを見かねたフェリックスは自分のホテルがツインである事を告げる。部屋に入った二人は、何かぎごちない。部屋のタバコのにおい、ローズの香水にまで鼻を曲げる神経質なフェリックスに疲れているのにくつろげないローズ。それでも、部屋で元シェフのフェリックスがこだわりをもってオーダーしたワインと食事をとりながら、お互いを少しずつ知る二人。フェリックスには二度の離婚歴があり、二人目の妻には「一緒に朝食をたべられない男」と置き手紙をして出て行かれた過去があった。「朝は静かに独りでいたい。乱れたシーツや他愛ない会話に耐えられない」と話し、同じく手紙だけを置いて出てきたローズを「卑怯」だと攻めるフェリックス。さらに、ささいな事で言い争いになり、はずみでローズは、頭からドレッシングをかぶってしまうのだった。バスルームで化粧を落としすっかり素顔に戻ったローズとの会話に時にも皮肉が入り交じり、合間には仕事とナディアからの電話がひっきりなしに掛かっていた。話せば話すほど、趣味や人生観の違いが浮き彫りになる二人。
一度は部屋を出ようとしたローズを、フェリックスが引きとめ、もう一度ホテルの真夜中の厨房でフェリックス自身が腕をふるう二人だけのディナーがはじまった。フェリックスが長い間会っていない、料理人の父との確執やローズがかつて手に入れた、メイク界での輝かしい経歴と10歳の頃思い描いた“夢の家”の話。共通点のない二人に、心が溶けるような穏やかな時間が訪れようとしていた時、フェリックスの飛行機が飛び立つとの知らせが、そんな時間に終止符を打った。フェリックスの去った後、なかなか寝付けないローズ。ホテルを散策する彼女の目の前に霧の為にまたフライトが欠航になったフェリックスが戻ってきた。何となく心惹かれる二人を現実に戻したのは、葬儀の参列を許可するナディアからの電話。限られた時間をひとつのベッドで寄り添いながら過した二人。
翌朝、空港のカフェテリアで、新聞を買うフェリックスを待つローズ。ローズはふと思った。そう、自分たちは昨晩会ったばかりの見知らぬ相手。このまま何も言わずこの場を離れようと決心する。その場に戻ってきたフェリックスは、ローズの姿がないことに驚きを隠せない。しかし、彼にもある想いが浮かぶのだった。
彼の姿はミュンヘンには無かった。目の前には長い間会ってなかった父親がレストランの客を見送っていた。久しぶりに眺めるツタのからまる「レストラン・ドゥメルク」はローズが思い描いだ“夢の家”のよう。一方ローズは、アカプルコ空港で「携帯の暗証番号は1954」というメモを受け取る。新しい仕事場になるホテルにタクシーを走らせながら、持ってきてしまったフェリックスの携帯電話の留守電を聞くローズ。
そして輝いた笑顔のローズを乗せたタクシーは空港にUターンした…。

スタッフ

監督:ダニエル・トンプソン
脚本:ダニエル・トンプソン、クリストファー・トンプソン
製作:アラン・サルド
ライン・プロデューサー:クリスティーヌ・ゴズラン
キャスティング:ジェラール・ムルヴリエ
撮影監督:パトリック・ブロシェ
衣装デザイン:エリザベート・タヴェルニエ
衣装監督:ティエリー・ドレットル
プロダクション・デザイン:ミシェル・アベ
特殊効果監督:アラン・カルソー
編集:シルヴィー・ランドラ
作曲・音楽監督:エリック・セラ

キャスト

ローズ:ジュリエット・ビノシュ
フェリックス:ジャン・レノ
セルジオ:セルジ・ロペス
医師:スカリ・デルペイラ
フランス航空フライトアテンダント:カリーヌ・ベリー
フェリックスの父:ラウル・ビルレイ

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