原題:THE MISSING GUN

自分の足跡を探れ! 新世代の映像作家×世界に誇る名優が奏でる ミステリアス・ヒューマン・ドラマ

第59回ヴェネチア国際映画祭アップストリーム部門正式出品作品 北京大学生映画祭最優秀デビュー作品賞 日中国交正常化30周年記念中国映画祭正式上映作品

2001年/中国=アメリカ作品/ヴィスタ/SDDS・ドルビーデジタル・ドルビーSR/89min 配給:ソニー・ピクチャーズエンターティンメント

2003年10月22日よりDVD発売開始 2003年10月22日よりビデオレンタル開始 2003年5月10日よりシネマスクエアとうきゅうにてロードショー公開

(C)2001 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES,INC.ALL RIGHTS RESERVED.

公開初日 2003/05/10

配給会社名 0042

解説


ある朝、目覚めた警官のガンホルダーに大事な拳銃がなかった。焦る男は昨晩の記憶を頼りに拳銃を探して村をさまよう。だが、最悪なことにその拳銃で殺人事件が起こり、殺されたのは、若かりし頃の元恋人であった……
山奥の小さなな村で起こった拳銃紛失事件から端をなす殺人事件。拳銃を無くした一人の警官が自らおとしまえをつけるために、もがき苦しみながら自分の過去と向き合い、全ての真実に向かって歩きつづける。『ミッシング・ガン』は、人間が極限に追い込まれていった時、登場人物達がどういう状況に陥り、そしてどういう人間性を出していくかを見事に描いたミステリアス・ヒューマン・ドラマである。
中国映画では数少ないミステリー仕立ての映画を作り上げたのは、弱冠30歳の新鋭若手監督ルー・チュアン(陸川)。中国の代表的な監督チャン・イーモウを中心とする第5世代の監督たちより年齢が若い世代、第6世代の映画作家である彼は、本作において主人公のマーとその家族、そして捜査の手がかりとなるキーマンたち以外登場させず、村の表情も不気味なほどの静けさを保ちながら、随所にフラッシュバックを挿み込み、揺れるカメラやアングルなど、独特の撮影スタイルでマーの精神状態を浮き彫りにしている。その演出はまるでウォン・カーウァイ作品のようにスタイリッシュ。そして主人公の苦悩とは裏腹に、切羽詰った人間の姿をユーモラスに描いているのも面白い。
その悪夢と現実に苛まれる主人公マーを演じるのは、中国映画界が世界の誇る名優であり、『鬼が来た!』で監督と主演を務めカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したチアン・ウェン(姜文)。本作でプロデューサーも務める彼の堅実な演技力が、主人公の人間的な姿、心の弱さを見事に表現している。共演には、美人女優として人気の高い『太陽の少年』のニン・チン(寧静)、庶民派女優として人気のあるウー・ユーチアン(伍宇媚)といった、中国映画界の人気スターたちが顔を合わせているのも話題である。
また、本作の舞台となった貴州省の青岩村は、もともと四川の人々が多く住んでいるために、台詞もオール方言で、四川のイントネーションに近い喋りができる俳優たちを揃えて、地方色と生活感を全面的に出した、四川の辛味かぐいぐい伝わってくる作品に仕上がっている。

ストーリー


ある日の朝、警官のマー(チアン・ウェン)は妻のシャオマン(ウー・ユーチアン)に叩き起こされ、ボーつとした気分で支度をしていた。ところが、ガンホルダーに拳銃がないことに気付く。あわてふためき、ベッドの回り、はたまた、息子のトン(ワン・シャオフォン)にまで疑いをかげながらも、結局、拳銃が見つからない。あわてて署に行き自分のロッカーにあることを願うが、やはりそこにも拳銃はなかった。
頭の中が真っ白になりながら、どうやって署長にこれを報告しようと悩んでいると、その時トンが彼に声をかけ、昨晩マーの妹の結婚式に出席していたことを言う。マーはすぐに妹の家に向かい、彼らに自分がどんな状況だったか聞き出そうとするが、覚えていないと泣かれてしまう始末。がっくり肩を落として帰ろうとした時、妹が昨日の披露宴出席者の名簿があったことを思いだし、それを頼りに出席者たちに前夜の状況を尋ね歩いていく。そして尋ね歩いた最後が白亜の豪邸に住むチョウ(シー・リアン)の家だった。だが玄関に出てきたのは、マーのかつての恋人モン(ニン・チン)だったのである。モンはマーと別れた後に広州へ嫁いだものの、離婚をして今は村に戻ってチョウの世話を受けていたのだった。彼女の姿に驚いたマーは何も言わずに引き返してしまう。
妻や友人にさえ拳銃をなくしたことが言えず、気持ちだけあせるマー。しかし賞与支給時に署長からマーが模範警官として選ばれたと告げられたのに、マーが何も答えないので、冒長が冗談まじりに拳銃をなくしたのかと聞かれたことで、ついに真実を言ってしまう。報告を受けた警察の上層部は、署の警官たちに密偵して犯人を捕まえるよう命令を出し、マーの警官の制服を剥奪剥する。
家に帰ると、斐が息子のことで相談を持ちかけるもののマーがあまりに無反応のために、妻はマーが寝言でモンの名をつぶやいていたと怒り、彼が結婚式に出席していたモンに送られて帰ったと言い始める。出席名簿を見返したマーはそこに一行だけ削られていた名前を発見し、再び友人たちの元へそのことを問い正しに行く。だが、彼らは口々にマーの過去のこともあって彼女のことを話さなかったと認めたのだった。だが、拳銃がどこで紛失したかは誰も知らないというばかりだった。
そうしているうちについに事件が起こった。なんとチョウの邸宅でモンが殺害されたのだ。検視の結果、マーの拳銃から弾が発射されたということが判り、チョウを呼んで尋問すると、彼女がチョウの身代わりになったことが判明する。マーは独自にチョウの身辺を捜査し、その結果、チョウが粗悪なアルコールを使った密造酒でボロ儲けしていることを突き止めた。
命を狙われているとわかったチョウはマーに助けを求めた。だがマーはそれを無視したが、チョウが村を出ようとしたために、彼を縛り上げて服を剥ぎ取り、彼に成り済まして駅のプラットホームに立った。するとそこへ一人の男が近づいてきた。男の手にはマーの拳銃が握られている。
マーは命を賭けて拳銃を取り戻そうと大芝居を打った……

スタッフ

監督・脚本:ルー・チューアン
製作:ヤン・プーティン、ワン・チョンジュン
製作総指揮:トン・ガン、ワン・チョンレイ
プロデューサー:チアン・ウェン、ツァオ・ピヤオ
撮影:シェ・ツェンユー
美術:ル・トン
編集:チャン・イーフォン
衣装:リュウ・チェソファ
原作:フォン・イーピン
音楽:フェイ・リン

キャスト

マー・シャン:チアン・ウェン
モン:ニン・チン
シャオマン(マーの妻):ウー・ユーチアン
チェン・ユン:リウ・シャオニン
トン(マーの息子):ワン・シャオフオン
チュウ:シー・リアン
ジアン:パン・ヨン
リウ:ウエイ・シアオピン

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